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週刊DBオンライン 谷川耕一

AIに力を入れているSalesforceは着実にEinstein機能を拡充中

 今やAI、機械学習という言葉を耳にしない日はない。ラジオやテレビからも日常的にも耳にすることも多く、AIという言葉がこれほど蔓延するとは80年代後半のAIブームの頃には思いもよらなかった。ここまでくれば今回のAIは、さすがに一過性のブームで終わることはないだろう。

Einsteinが世界でもっとも賢いCRMを実現した

米国セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏
米国セールスフォース・ドットコム
エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当
アダム・ブリッツァー氏

 そんなAI、機械学習を本格的に自社サービスの優位性として位置づけているのが、セールスフォース・ドットコムだ。SalesforceのAIエンジンとして「Salesforce Einstein」を発表して、すでに今年で3年目。これまでの間、順次Salesforceのサービスの裏側でAI、機械学習を活用する機能を追加してきた。ここ最近の年次カンファレンス「Dreamforce」もEinstein一色の様相を呈している。実際セールスフォース・ドットコムでは、多数のデータサイエンティストやAI研究者を雇用し、AIの最先端技術の研究を行う「Salesforce Research」という組織も置いている。

 Salesforce Einsteinは、同社のクラウドサービスの中のAIレイヤーだ。これによりSalesforceのクラウドサービスの中でAIを活用できる。「顧客データとAIそしてSalesforceプラットフォームを組み合わせることで、世界でもっともスマートなCRMができあがりました」と語るのは、米国セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏だ。

 Einsteinはチェスに勝つためでも、クイズに答えるためでもない。つまり汎用的なAIではなく、CRMの課題を解決することに特化したAIだ。そしてSalesforceのクラウドプラットフォームにAIが含まれていることで、SalesforceのあらゆるアプリケーションでAI機能を組み込んで利用できる。これは、AIを活用してSalesforceの利用者が1つの場所でやりたいことを完結できるようにするための構成だ。つまり、AIや機械学習を使って何かを予測するために、Salesforceとは別のソリューションを立ち上げ利用する手間は必要ない。たとえばSalesforce Sales Cloudの中であれば、営業が日常的にSalesforceを使って行う業務がAIで賢く処理される。

 「営業担当がやらなければならないタスクは、全世界共通で課題も同じです。そのかだいを快活するために営業のサイクルすべての中でAIを活用できるようにしています。営業活動のリードからキャッシュに至る一連のサイクルを対象にしています」(ブリッツァー氏)

 Sales Cloud Einsteinでは、営業業務サイクルの中でまずはデータ入力を自動化した。営業担当に手作業でさまざまな情報をCRMのアプリケーションに入力させるのではなく、彼らが利用しているカレンダーやメールの内容を機械学習して把握し、そこから自動的にデータを入力するようにしたのだ。

 Sales Cloud Einsteinの次の機能が、Einsteinリードスコアリングだ。これは営業に渡されるリードに対し優先順位を自動的に決める機能だ。これまではマーケティング活動などから得られたリードを営業担当が受け取っても、どのリードに真っ先に連絡すべきかの判断は極めて難しいものがあった。対して、リードの行動データなどをもとにEinsteinがリードにスコアを付け優先順位が分かるようにしたのだ。

 ここで重要となるのが、なぜこのスコアになっているかの理由を表示することだとブリッツァー氏は指摘する。「理由をはっきりと出すことで、AIのスコアを信頼して営業担当者が動くことが重要です」。

 リードスコアリングを出すためには、基本的には過去6ヶ月のCRMのデータが利用される。Salesforceの標準項目はもちろん、カスタム項目のデータも使う。スコアリングをする機械学習のモデルは月単位で更新され、リードスコアの計算は時間単位で行われる。「Einsteinでは恒久的に変わらないモデルを使うわけではなく、顧客ごとにモデルは見直しています」と、ブリッツァー氏は説明する。このEinsteinのリードスコア機能は、すでにユーザーから高い評価を得ている。US Bankでは、リードスコアを活用してスコアの高いリードに優先的に営業をかけることで、商談化の率が2倍に上がったのだ。

 国内でもすでにリードスコアリング活用の事例がある。ANAグループのBtoB国際輸送会社OCSでは、5年前からSales Cloudを使い始め、翌年にはService Cloudも導入、さらに2年後にPardotを導入しマーケティングオートメーションも活用している。同社では1年前にSales Cloud Einsteinのトライアルを始め、リードスコアリング機能を評価した。そしてリードスコアの高さでグルーピングを行い、スコアの高いグループは営業アプローチのコンバージョン率が極めて高くなるとの結果を得たのだ。そこからリードスコアが高いところに対してはハイタッチの営業を行い、スコアが低いところはロータッチでマーケティングオートメーションのアプローチでリードスコアが高くなるよう育成するアプローチをとっている。

 Salesforceでは続いて商談のスコアリング機能も提供している。これは商談案件の成約可能性をスコアリングするもの。リードスコアリングと同様になぜそのスコアとなるかの理由も表示する。商談スコアリングの場合は、機械学習モデルは10日ごとに見直される。

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予測のための機械学習モデルが更新されるかどうかが鍵になる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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