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ePublishing Day 2010 セミナーレポート

電子書籍の衝撃

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏

『電子書籍の衝撃』というまさに衝撃的な書籍を上梓したばかりの佐々木俊尚氏。キンドルストアやiBookストアの日本語版がスタートすれば、単なる盛り上がりだけでなく、付随するさまざまなビジネスも立ち上がり、一方で新たな問題点も見えてきて、2011年には本当の「電子書籍元年」と言うべきエコシステムが現れるのではないかという期待から、佐々木氏は語りはじめた。  

デバイスの変化が文化的な変化を引き起こす

 『電子書籍の衝撃』、また、電子書籍に関連する講演を通じて、佐々木氏は「出版業界からの反論や反発がものすごく多い」ことを感じているという。

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏
ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏

 佐々木氏に対する出版社からの反論では、「紙はなくならない」として現在の紙の書籍というフォーマットへのこだわりや有利性を主張されるという。こうした反論に対して佐々木氏は、長いスパンで電子書籍の位置づけを考え直すべきだと提言する。

 たとえば500年前にグーテンベルクが活版印刷を発明したことによって、それまで育まれた羊皮紙への手書きによる写本という、美しい工芸文化は消滅してしまった。佐々木氏は、「悲しい出来事だが、逆に活版印刷という大量生産大量販売システムによるメリットも大きい」という。

 また、聖書の印刷が宗教改革につながり、支配者の発言が印刷されることが政治の転換も引き起こすなど、E・L・アイゼンステイン『印刷革命』の事例を紹介しつつ、書籍の「デバイス」の変化によって、文化的な変化を引き起こされたことを強調し、「いま電子書籍に向かうことで、何が変わるのかをもう一度考えなおさなければならない」と語った。

 さらに佐々木氏は、紙の書籍が持つ風合いや行間を保つという名目で、検索もできない画像データでの配信を行ったかつての電子書籍コンソーシアム(1998~2000)や、今でも同様の主張を繰り返す人たちを、印刷された紙の書籍を羊皮紙に写筆させた修道院長になぞらえ、「自分の感覚だけで『紙は永遠です』なんて言わない方がいい」と語った。

 たとえ紙の美しさが失われても、なおメリットが大きいのであればそれでもかまわないのだ、という発想に切り替えて考える必要があるようだ。

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