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新規事業計画に役立つ「経営分析・管理会計」の考え方・活かし方

「変動損益計算書」とは、“付加価値”が見える損益計算書

(第8回) 


第6回の記事から、事業計画に役に立つ損益分岐点分析の基本的な考え方と活用法を紹介してきました。利益を稼ぐための売上高の決定や生産量に制約がある場合の価格推定法なども考えました。一連の事例を通じて、変動費、固定費は、利益計画に欠くことのできない情報であることがわかっていただけたでしょうか。利益計画(損益計画)に最適な「変動損益計算書」も紹介しました。変動損益計算書については、詳しい説明をしていないので、今回は、変動損益計算書の見方・考え方について紹介します。事業計画においては、変動損益計算書を使って、シミュレーションを繰り返しながら、利益計画を立案していくのです。

通常の損益計算書と変動損益計算書の相違点

 変動損益計算書は、通常の損益計算書で集計される売上原価、販売費一般管理費を変動費、固定費に分類し、再集計して営業利益を求める管理会計で使われる損益計算書です。

 
  図1 通常の損益計算書と変動損益計算書                          

 両者の大きな違いは、「粗利益の考え方」にあります。通常の損益計算書は、「売上高-売上原価」によって、「売上総利益」という粗利益を算出します。変動損益計算書では、「売上高-変動費」という計算によって、「限界利益」という粗利益を算出します。すなわち売上原価と変動費の違いが、売上総利益と限界利益の違いに影響します

 売上総利益は、制度会計(法律で規制される会計制度)で使われてきた代表的な粗利益の考え方です。しかし事業計画では、条件を変更しながら利益水準、売上水準などを推計する必要があります。このようなシミュレーションを行う場面では、変動損益計算書が有効です。この点は、セルフ式うどん店の事例を考えていただければ、理解できるはずです。

「売上総利益」と「限界利益」の違いを理解しよう

 売上総利益と限界利益で大きな違いがでるのは、売上原価の中に変動費と固定費が含まれている会社です。製造業がその典型です。図2をご覧ください。

 
  図2 製造業の変動損益計算書                          

 製造業は工場部門で発生した費用を集計して、製品原価を計算します。これが原価計算です。製品原価は、材料費、労務費、経費の原価の3要素に分けることができます。外注加工費のウェートが高まっているので、経費は、外注加工費、その他の経費に分類して考えましょう。

 材料費外注加工費は、製品の製造・販売と比例して発生する変動費(比例費といういい方をする場合もある)です。製造・販売がストップすれば発生しないことから、変動費であることがわかります。労務費とその他の経費は固定費です。変動費は、販売費一般管理費にも含まれています。その典型的な変動費は、発送配達費です。製造した製品を、販売するまでの過程で発生するためです。販売をストップすれば、発生しません。

 これらの変動費を控除した限界利益と売上総利益を比較してみてください。TKC経営指標で見ると、平均的な黒字の製造業では売上総利益率(=売上総利益÷売上高)は20%程度ですが、限界利益率(=限界利益÷売上高)は40%程度と倍の大きさとなっています。

次のページ
事業計画では、製造業の粗利益率として20%、40%のどっちを利用すべきか?

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この記事の著者

千賀 秀信(センガ ヒデノブ)

公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。日本能率協...

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