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DB Press

AWS、新データベースエンジンAmazon Auroraを発表


 11月12日、Amazon Web Services(以下、AWS)は年次イベント「re:Invent」の基調講演にて新しいデータベースエンジン「Amazon Aurora」、コード管理と展開のためのサービス群、鍵管理などセキュリティやガバナンスのためのサービス群を発表した。

 基調講演で登壇したのはAWSシニアバイスプレジデント Andy Jassy氏。ガートナーのクラウドサービス評価報告にて、AWSが「ほかの14のクラウドサービス事業者のトータルより5倍のコンピュートキャパシティがある」と評価されたことなどを引用し、AWSがクラウドサービスでは主導的な立場であることを強調した。

Andy Jassy氏
Andy Jassy氏

 今年はこれまでに新しいサービスや新機能などを442個発表し、2014年はトータルで500個程度になる見込み。近年では毎年前年比で倍となるペースでイノベーションを進めている。講演中にJassy氏は繰り返し「ニューノーマル」という言葉を用い、クラウドがこれからの新しい標準となるとの確信を示した。

 12日の基調講演でハイライトとなったのは新しいデータベースエンジンの発表だ。Jessy氏は「ニューノーマルではリレーショナルデータベースに希望はあるだろうか」と切り出し、「Amazon Aurora」を発表した。正確には「Amazon RDS for Aurora」で、Amazon RDSで利用可能なデータベースエンジンが新たに増えたことになる。

 Amazon AuroraはMySQL互換で高いスループットを出せるように設計されたデータベースエンジン。同日からUS Eastにて限定プレビューで利用可能となった。同サービスのゼネラルマネージャーのAnurag Gupta氏は「3年かけて開発した」と述べた。

Anurag Gupta氏
Anurag Gupta氏

 周知の通り、Amazon RDSではすでにメジャーなデータベースはほぼ網羅するように提供されている。ただしオープンソースデータベースなら「コストが安価だがスケールや信頼性が課題」であったり、商用データベースなら「信頼性があるが、高価でロックインが課題」など一長一短となっていた。

 両者のいいところどりを目指したのがAmazon Aurora。商用データベースが持つ高い性能や信頼性を持ち、オープンソースデータベースが持つシンプルさと高い費用対効果を目指して構築された。MySQLと高い互換性を持ち、Gupta氏によると「MySQLと切り替え可能」とのこと。またAmazon AuroraはS3、EC2、VPC、DynamoDB、SWFなど既存のAWS機能やインフラを駆使するように設計されている。もちろんフルマネージド。

 価格体系は多くのAWSサービスと同様に従量課金制。データベースのライセンスは不要だ。現時点では仮想CPUの数とメモリ容量別に5段階の価格体系に分かれており、時間当たり0.29から4.64米ドルとなる。

 性能は「標準的なMySQLの5倍のスループット」とうたわれている。毎分で600万件のインサート、3000万件のセレクトが可能とのこと。MySQLと比較するとAmazon Auroraはレプリケーションにかかるマスターの負荷を軽減し、レプリカ遅延を限りなく小さくした。読み取り専用のレプリカを作成することでスループットを高めている。

 データは複数のAZや複数ストレージノードに自動的にレプリケーションできる。また保存されたデータを暗号化、SSLで転送中のデータを保護、標準でAmazon VPCを用いているなど、安全性にも配慮されている。

 ほかにも新しいサービスが発表された。コード管理と展開のためのサービス群とセキュリティやガバナンスのためのサービス群だ。

 まずはコード管理と展開のためのサービス群。ソフトウェアのライフサイクルを早く回すことを目指して提供されたサービス群と考えていいだろう。具体的にはコードをデプロイするためのAWS CodeDeploy、ビルドとテストのためのAWS CodePipeline、コーディングのためのAWS CodeCommitとなる。すでに提供されているモニタリングのためのAmazon CloudWatch、プロビジョンのためのAmazon CloudFormationと合わせると、ソフトウェアのライフサイクルをひととおり網羅できることになる。

 Amazon CodeDeployは無料で発表当日から利用可能。デプロイを設定すると繰り返しデプロイを実行可能となりデプロイの自動化が可能となる。デプロイのヘルスチェックやロールバックなどによりダウンタイムの最小化にも役立つと期待されている。またGithub、CircleCl、Atlassian、Codeshipなど既存の開発環境と統合して利用可能だ。

 Amazon CodePipelineとAmazon CodeCommitは2015年初頭には利用可能となる予定。前者はビルド、テスト、デプロイといったリリースの自動化を行い、後者はプライベートなGitリポジトリを提供するマネージドサービスだ。

 もうひとつの新発表サービス群は企業向けセキュリティやガバナンスのためのものとなる。Jessy氏は「これまでセキュリティやコンプライアンス(担保できるかどうか)がクラウドへの移行への懸念となっていたが、これからはセキュリティやコンプライアンスを求めてクラウドへ移行するようになる」と述べ、AWSのセキュリティやコンプライアンスは十分に拡充されていることをアピールした。

 新しく発表されたサービスは具体的にはAWS Key Management Service、AWS Config、AWS Service Catalogとなる。いずれも発表当日からプレビューが開始となった。

 まずはAWS Key Management。企業におけるセキュリティで重要なものの1つに暗号化がある。しかし暗号化の管理はなかなか大変である。暗号化の範囲を指定する、鍵のローテーションを行えば再度暗号化処理が発生することもあり、また性能を高めるために高価なハードウェアが必要になることもある。

 AWS Key Managementを使うと企業内の暗号化を管理するための機能が管理コンソールから利用できるようになり、暗号鍵の可用性と鍵の安全性はAWSが行う。想定としてはEBSボリューム、S3のオブジェクト、Redshiftクラスタの暗号化管理、AWS SDKを用いたカスタムアプリケーションの暗号化などでの利用が見込まれている。

 AWS ConfigはAWSリソースの構成管理を行う。履歴を蓄積したり、構成変更の通知を行うことにより、コンプライアンスやトラブルシューティングに役立つと期待されている。AWS Service Catalogは企業で利用可能なサービスの一覧表示などに使う。利用可能なプロダクトをエンドユーザーに向けて表示し、ユーザーからはポートフォリオからプロダクトを選択して利用開始できる。プロダクト提供側とエンドユーザーを仲介するためのサービスだ。

 顧客事例ではメジャーリーグベースボールの「statcast」を紹介。試合中のあらゆる選手の動きをキャプチャーし、試合映像にボールや選手の軌跡を重ね合わせたり、統計情報を重ねて表示する。ここにAmazon Redshift、Amazon KinesisなどAWSの技術が採用されている。MLB Advanced MediaのJoe Inzerillo氏はAWSを選んだ理由として拡張性やサービスの豊富さを挙げていた。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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