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クラウドサービスの利用を想定し、効率的にWindows 10へ移行しよう(第5回)

2017/06/16 07:00

 Windows 10は、Office 365をはじめとしたクラウドサービスとの親和性が高いOSです。移行を検討するにあたり、クラウドサービスの利用を最初から想定すると、移行作業をより効率的に行うことができます。デバイスに縛られない新しいワークスタイルの実現方法として、クラウドの有効活用を解説します。

クラウド連携のメリット

 Windows 10には標準機能として、様々なクラウドとの連携が実装されています。以下の代表的な機能について説明します。

  1. ユーザアカウントとしてクラウドアカウントを利用
  2. ユーザ設定情報がマルチデバイスで共有
  3. エクスプローラにクラウドストレージ連携機能が統合
  4. MDM製品連携によるデバイスポリシーの設定・紛失対応
  5. Office 365との連携

1.ユーザアカウントとしてクラウドアカウントを利用

 以前のバージョンでは、OSにログインするアカウントとして利用できるのは、ローカルアカウントとドメインアカウントの2種類でした。Windows 10はこれに加え、クラウドアカウントによるOSログインが可能となります。

【クラウドアカウント】

 利用可能なクラウドアカウントは以下の2種類となります。

  • マイクロソフトアカウント:
    マイクロソフトが管理する個人向けのクラウドアカウント。無償で利用可能。
  • Azure ADアカウント:
    マイクロソフトのクラウドサービスである Microsoft Azure上で提供される企業向けのクラウドアカウント。Office 365のユーザ管理に使用されているため、Office 365利用ユーザは自動的にAzure AD アカウントを利用することが可能。

【クラウドアカウントでのOSログオンメリット】

 クラウドアカウントはユーザ情報がクラウド上に存在するため、OSにログインするユーザにクラウドアカウントが利用できると以下のようなメリットが生まれます。

  • デバイスにユーザ登録をしなくてもOSにログインできる
  • 複数のデバイスから同じユーザアカウントでログインできる
  • 同じユーザでログインするとユーザ設定やストアで購入したアプリ、個人ファイル等の情報共有ができる
  • パスワードを忘れた場合、クラウド上のアカウントパスワードリセットを行うことで再利用できる
  • Azure ADを利用する場合、社外でインターネットにつながる環境があれば、自分の組織アカウントにログインし、社内システムへの認証ができるため、モバイルワーカーや在宅ワーカーに対する業務環境の改善等に利用できる

 ただし、これらのメリットはデバイスがインターネットにつながっていないと利用することができないため、ネットワーク環境の整備が必要となります。

2.ユーザ設定情報がマルチデバイスで共有

 クラウドアカウントを利用すると複数デバイスで、ユーザ設定情報の共有が簡単に実現できます。具体的には以下の項目が共有できます。

  • テーマ(スタートメニュー、ロック画面、デスクトップ、ウィンドウなど、個人用設定から変更できるもの)
  • Internet Explorer(ネットワーク、セキュリティ設定など)
  • パスワード(アプリ、Web サイト、ネットワークなどのサインイン情報)
  • 言語(キーボード、入力方式、表示言語、ユーザ辞書など、時刻と言語などから変更できる設定)簡単操作(ナレーター、拡大鏡など、簡単操作などから変更できる設定)
  • その他のWindows (いくつかのデバイス設定 (プリンターやマウスのオプションなど)、エクスプローラの設定、通知設定)

 このほか、無線LANアクセスポイントへの接続情報(SSID、セキュリティキーなど)もアカウントに紐づいて同期されるため、デバイス毎に無線LANへの接続情報を入力する必要はありません。

3.エクスプローラにクラウドストレージ連携機能が統合

 Windows 10のエクスプローラにクラウドストレージアクセスが統合され、以前のOSよりも格段に使いやすくなっています。マイクロソフトが提供しているOneDriveとの連携はOS標準機能として実装されており、クラウドアカウントでログインすると自動的にマイドキュメントの替わりにOneDriveがデフォルトの保存先として利用されます。このため、デバイスの故障時でもデータはクラウド上にあるため、新しいデバイスにクラウドアカウントでログインするだけで、作業中のデータにアクセスが可能です。

4.MDM製品連携によるデバイスポリシーの設定・紛失対応

 Windows 10ではOS標準機能として、MDM連携が可能となりました。これにより、デバイスを社外に持ち出して利用する場合に、多くの企業がiPhoneやAndroidなどのスマートフォンで利用している標準的なデバイス管理がWindowsでも可能となります。具体的には、以下の機能が利用可能となります。

Windows 10で利用可能になったデバイス管理機能

5.Office 365との連携

 企業の情報基盤として Office 365を採用している場合は、Windows 10を利用することにより利便性が向上します。Office 365のユーザアカウントは、Azure ADアカウントが利用されているため、追加投資なしで上記クラウドアカウント利用のメリットが適用されます。

 Office 365のメールやWebシステムに対して、OSログイン時の認証情報によるシングルサインオンが利用できます。さらに Windows 10では、Windows Helloによる指紋や虹彩等の生体認証もOS標準機能で利用できるため、Office 365のパスワードをユーザに意識させない運用が可能となります。

 また、セキュリティ対策としてMDMとの組み合わせによるデバイス認証を利用することで、Office 365 へのログオンを許可されたデバイスからのみ可能とすることもできます。

 このように、Windows 10はクラウド利用に最適化されたOSとなっています。これまでと同じ使い方も可能ですが、Windows 10の検証を進めるのであれば、ぜひクラウドサービスとの連携環境で実施してください。

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著者プロフィール

  • 田中祥太(タナカ ショウタ)

    株式会社ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 マネージャー メインフレームの運用からオープン系インフラ環境の設計・構築、また全国規模のネットワーク環境の設計・構築を手掛ける 大手流通企業の基幹系業務のインフラ環境構築や、メガバンクの社内インフラ構築に従事し、高品質で安全なインフラ環境構築を実現...

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連載:Windows 10へ移行するための5つのポイント<導入メリット>
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