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惑星の影を探せ。Googleのエンジニアが機械学習で新たな惑星を発見


 最新の科学技術は光らない星、太陽系外惑星を次々と発見している。Googleのクリス・シャルー氏はケプラー宇宙望遠鏡の観測データ分析に機械学習を用いることで、新たな惑星を発見することができた。いま太陽系外惑星探索はここまで進んでいる。

ケプラー宇宙望遠鏡の観測データから、いかにして惑星を発見するか

 夜空に見える星々のほとんどは太陽のように自ら光る恒星だ(金星や火星などは太陽の光を反射しているため例外)。光るため、地球の我々からも見える。こうした恒星には地球のような惑星があると考えられている。しかし惑星は光らない。だから地球から見ることができない……とされていた。  

 光らないから見えない惑星たち。太陽系外の惑星は無数にあると考えられる。なかには地球のように生命体を持つ惑星もあるかもしれない。宇宙人との遭遇にはまだほど遠いが、太陽系外惑星を探し、調べることはその一歩になる。今は多くの天文学者が、地球外生命体が存在できる条件を満たす惑星を探している。  

 太陽系外の惑星を探索するため、NASA(アメリカ航空宇宙局)は2009年に望遠鏡を搭載した探査機を打ち上げた。ここにケプラー宇宙望遠鏡がある。当初の活動期間は3年だったものの、予定よりも長く稼働した。ちなみに探査機の由来となった、天文学者ヨハネス・ケプラーは惑星の運動に関する「ケプラーの法則」を発表した人物。  

 ケプラー宇宙望遠鏡は特定の方向に向けて、4年間にわたり30分ごとに撮影を続けた。ここには約140億個ものデータポイントがあり、これは恒星の明るさを観測したデータとなる。  

 ケプラー宇宙望遠鏡は定点観測しているため、恒星の明るさの変化が分かる。現代の天文学者たちは、この「恒星」の明るさの変化からその「惑星」を発見している。「トランジット法」と呼ばれている。  

 日食を思い浮かべてほしい。太陽の前を月が横切ることで、太陽が欠ける。同時に明るさも落ちる。原理はこれに近い。恒星の前を惑星が横切れば、恒星の明るさが「U字」を描くように一時的に落ちる。この明るさの変化で惑星を探す。同じ恒星の明るさを時間ごとにプロットしたグラフは「ライトカーブ」と呼ばれ、光度の変化を示す。

ライトカーブの例。恒星の前を惑星が横切ると光度が変化する。  

 そうはいっても、ケプラー宇宙望遠鏡から見て、恒星の前を横切る軌道を持つ惑星でないと今回の観測方法では見つけられない。運よくケプラー宇宙望遠鏡がとらえた範囲内に、恒星の前を横切る惑星があったとしても、地球で見られる皆既日食ほど顕著な明るさの違いはない。ものすごく遠いところにある恒星の前を、それよりも小さい惑星が横切るのだから光度変化はほんのわずか。ケプラー宇宙望遠鏡で発見された惑星たちも光度の減少はせいぜい1%程度。もし惑星が複数あれば、どの光度の落ち込みがどの惑星のものなのかを判別するのも難しくなる。  

 光度に変化があったとしても、惑星が横切った証拠とは言い切れない。双子の太陽のような、連星の場合もある。無関係の天体がたまたま横切ったのかもしれない。機材の問題で生じたノイズのようなものかもしれない。また観測期間は4年なので、公転周期が長いと横切る回数も少なくなるので惑星と判定することが難しくなる。などなど、難しい条件だらけだ。  

 これまで多くの天文学者たちの努力により、観測データから約2600個以上の太陽系外の惑星を発見することができた。そのうち、いくつかは地球に似た条件を持つ惑星も発見できている。このケプラー宇宙望遠鏡からの観測データは太陽系外惑星探査は大きな成果をあげた。  

 それでも。ケプラー宇宙望遠鏡が観測したデータには20万個分もの恒星データがある。人手の問題で分析しきれていないデータが数多く残っている。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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