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成長する企業のためのNetSuite、Oracleとの統合、棲み分けの塩梅も良好

SuiteWorld 2019が開幕


 SaaSの老舗ベンダーであるNetSuiteの年次カンファレンスイベント「SuiteWorld 2019」が、米国ラスベガスで開幕した。NetSuiteは、Oracleに買収された以降も「グローバル・ビジネスユニット」と呼ばれる組織体で、独立した形でビジネスを進めている。とはいえ徐々にOracleとの統合が進んでおり、今回のイベントではその効果が伝えられた。

NetSuiteはさらに成長する企業が使う

 今回のイベントのテーマは「GROW BEYOND...」で、企業の成長をさらに飛躍させると言った意味が含まれている。NetSuiteの創業者であり、現在はOracleでNetSuite部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントの立場にあるエバン・ゴールドバーグ氏は、基調講演の冒頭「NetSuiteの顧客は、他の3倍のスピードで成長しています」と語る。

Oracle NetSuite部門 エグゼクティブ・バイスプレジデント エバン・ゴールデンバーグ氏
Oracle NetSuite部門
エグゼクティブ・バイスプレジデント
エバン・ゴールドバーグ氏

 ローカルでビジネスをしていた企業がグローバル展開するなど、さらなる成長をしていくには「Visibility(透明性)」が重要となる。この透明性とは、単に企業の状況が見える化するだけでなく、そこからトレンドを見て将来を予測し「未来を見る」ことまでが含まれる。この未来を見るためにNetSuiteでは今回、SuiteAnalyticsの機能を強化している。従来あるWorkbookに機能を追加し、蓄積されているERPのデータの中から重要なものを簡単に見つけ出すことができる。得られたデータを解析し、意思決定に活用できるようにしている。

 この透明性の高さを評価しNetSuiteを利用しているのが、非営利団体の「米国がん協会」だ。米国がん協会では、多くの寄付金を集めており、その使い道については極めて高い透明性が求められる。同団体では多様な活動を行っており、財務的なお金の流れも複雑化している。46億ドルの資金があり、それを研究開発者の支援、禁煙のための活動、がん患者の移動手段のサポートなどさまざまな活動に投資しているのだ。その複雑な財務流れを処理するシステムを、シンプル化する目的で2019年1月にNetSuiteを立ち上げた。米国がん協会の最高財務責任者であるロブ・キング氏によれば、「NetSuiteはシステムが革新的でクラウドベースの仕組みによりさまざまな面での透明性が向上した」という。

 成長のためにもう1つ重要となるのが「コントロール」。これはリスクマネージメントを行うことでもある。スタートアップ企業などでは、どうしても当初は製品やサービスの開発に注力しがちだ。最初はそれでも大きな問題はないが、ビジネスが大きくなれば、社内をきちんとコントロールしていく必要がある。特にビジネスをグローバルに展開するようになれば、各国のレギュレーションに対応できるようにし、内部的には監査にも耐えうる管理が必要になる。

 世界30カ国以上に支部を持つデジタルメディアの「VICE」では、これまでに数億ものコンテンツを提供してきた。このようなビジネスを展開するには、社内のコントロールが重要であり職務分掌をきちんと行い、誰がいつ何を行ったかを記録し監査が行えるようにしなければならない。同社ではこれまで複数のシステムを利用し業務を行ってきたが、その状況では新たな業務プロセスを実装したり、業務プロセスのカスタマイズを行ったりに多くの手間がかかっていた。そこでNetSuiteを採用し、1つのSaaSの仕組みでグローバル展開する業務に対応したのだ。「NetSuiteはユーザーインターフェイスも優れており、グローバルレベルでの一元的な管理が可能になりました。またNetSuiteを採用する上では、セキュリティの高さも重要なポイントになりました」とVICE Mediaのチーフ・アカウントオフィサー ション・アサード氏は言う。

 企業の成長ポイントの3つめが「Agility(俊敏性)」だ。企業の成長の歩みは、ただまっすぐ進むだけではない。障害を避けジグザグに進むこともある。障害物を素早く回避し前に進むには、俊敏性が重要となる。ビジネスモデルを変える、新しいやり方を採用する。たとえば売り切り型から新たにサブスクリプションのモデルを採用する際には、ビジネスに俊敏性が求められる。新しいビジネスモデルの実装に、半年も1年もかかっていたのでは競合他社に追い抜かれてしまうからだ。

 メーカーはこれまで、流通業者に対応していれば良かった。それが新たにサブスクリプション型のモデルを導入すると、消費者に直接対応する変化が必要となる。新たなサブスクリプション型のビジネスでは、たとえばSuiteBillingの機能で請求管理を効率化することが可能だ。また顧客に直接対応するためには、キャンペーン管理を容易にするマーケティング・オートメーションの仕組みであるOracle Brontoも活用できる。

 これらの機能はクラウドで提供されるNetSuiteの1つのシステムで利用でき、そこで実現されるビジネスプロセスは自動化でき俊敏性が向上する。

 「NetSuiteでは個々のアプリケーション・モジュールを提供するだけでなく、それらをつなげ合わせた効果が発揮されます。クラウド上の1つのシステムだからこそ透明性が上がり、コントロールも容易になります。そして俊敏性も向上するのです」(ゴールドバーグ氏)

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Oracleは引き続きNetSuiteの進化に投資を続ける

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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