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週刊DBオンライン 谷川耕一

日本各地のJavaコミュニティにJava Championが語る

 Oracleにとって、Sun Microsystemsを買収し手に入れた重要な技術の1つがJavaだろう。とはいえ、昨年9月のJava開発者向け年次カンファレンスイベント「JavaOne 2016」開催の頃には、Java EEに対するOracleの煮え切らない開発方針に不信感を抱くコミュニティメンバーなども出て、OracleのJavaへのスタンスに不満の声も上がっていた。それを払拭するかのように、JavaOneでは改めてOracleから、Java EE 8、さらには次なるバージョンのJava EE 9のロードマップが示された。

 現状のJava EE 8の動向については、昨年Oracleが提案したロードマップの内容より縮小し「Java EE 7のマイナーバージョンアップのような感じ」に落ち着いたこともあり、今のところ大きな問題もなくリリースに向け作業が進んでいるようだ。とはいえその後に控えているJava EE 9については、Java EE 8に入らなかった機能を取り入れるための調整や、マイクロサービスアーキテクチャに対応したアプリケーションを構築するためにIBMやRed Hatなどが進めている「MicroProfile」への対応などもあり、Java EE 8のリリースのように簡単にはことが運ばない可能性もありそうだ。

Java Championが直接語れば、Javaコミュニティは地方から盛り上がる

 ところで、2017年5月17日には「Java Day Tokyo 2017」が大々的に開催され、国内でもJavaの最新動向が伝えられた。今回は世界中に400名程度しかいないJava Championが6名も参加しスピーカーを勤めるなど、かなり国際色豊かなカンファレンスになったようだ。ちなみにJava Championは、既存のJava Championからのノミネーションと、他のChampionからの投票により選ばれる称号で簡単になれるものではない。日本では現状、櫻庭祐一氏と寺田佳央氏の2人しかいない。

 Java Day Tokyoのような大規模なイベントをOracleが開催したことで、OracleがJavaへ今後とも投資を続けるであろうことの確認にはなっただろう。こういったイベントとは別に、OracleがJavaを大事にしていることがうかがえる地道な活動も見られる。それが「Oracle Code Japan Tour」だ。

 これは、地方のJavaコミュニティのための「ナイトハッキング」形式のセミナーツアーで、Java EE、Java SEの話題をピックアップし、Java Championが各地のJavaコミュニティのメンバーに直接伝えるものとなっている。Oracle Code Java Tourは、米国のOracle Technology NetworkチームのメンバーでJava ChampionのStephen Chin氏の発案で実施している。昨年も世界中で開催され、日本でも国内各地で実施されトータル150名ほどのJavaエンジニアが参加した。

Java Champion Stephen Chin氏
Java Champion Stephen Chin氏

 このナイトハックツアー、基本は平日の夕方から2時間ほどのセミナーとして開催される。休日に開催される場合は半日ほどの拡大版となる。日本人ゲスト講師も話をするが、Chin氏に加えもう1人のJava ChampionであるSebastian Daschner氏の2人が中心となっている。なんと彼らは、デモンストレーションやライブストリーミングで利用する機材などをすべてバイクに搭載し、ツーリングをしながら全国を回っている。そして彼らは、セミナーでは英語で話をする。テクニカルタームであれば技術者同士、通訳がいなくても内容が伝わるのだ。

 2017年は5月29日に開催されたTour in Fukuokaが国内6カ所目。前日は熊本、福岡のあとは福井、仙台、最後に札幌とツアーが続いた。福岡のセミナーでは、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部担当 シニアマネジャーの伊藤敬氏が、Java Day Tokyoの振り返りを行った。続いて日本人ゲストスピーカーとして、NTTのOSSセンタ Javaテクニカルサポートエンジニアの久保田祐史氏が、JDK 9から大きく設定方法が変わったJVMのログについて解説を行った。JVMのログはこれまで、バージョンアップのタイミングでアドホックに変化し一貫性のないものだった。JDK 9からは、フレームワークを導入し一貫性を保つようになったことが大きな変更点だ。久保田氏の解説の中身はかなり技術的にも深いもので、普段からJVMの環境を運用しサポートを行っているような人向けのものとなっていた。

もう1人のJava ChampionであるSebastian Daschner氏
もう1人のJava ChampionであるSebastian Daschner氏

 続いてDaschner氏が、新しいJava EE 8のAPIに関する説明を行った。エンジニアは、エンタープライズ向けのアプリケーションをクラウドで動かすためにはどうしたらいいかに今頭を悩ませている。Java EEはこれを容易に実現できるように進化しているとDaschner氏は言う。アプリケーションのコードを書き、プロダクションとテストの環境に自動で配信できるようJava EE 8は進化しているとのこと。この機能を活用すれば、DevOps的にアプリケーションを開発、運用することも容易になる。さらには、Dockerコンテナの利用にも触れ、Kubernetesを使ったコンテナクラスターの管理、Dockerコンテナを使って行うゼロダウンタイムでのアプリケーション更新の仕方につていも解説が行われた。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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