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システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門

ディスクが壊れてもデータが読める「RAID」という魔法(1)

第2回

 現代のコンピュータの信頼性は不安との戦いでもある。処理中に電源が切れると途中まで処理していたメモリ内のデータは消失してしまうため、ディスク装置に書き込んでおかなければならない。しかしディスク装置も完全ではない。ディスクが壊れてもデータが読めるにはどうすればいいのか? この問いにコンピュータサイエンスが出した答えの1つが「RAID」だ。今回は様々なRAIDについて解説してみよう。

揮発性と不揮発性

 現在のコンピュータ・システムでは、パソコンから大型のホスト・サーバーに至るまで、一様にデータをディスクに書き込むことによってひと安心している。コンピュータ上で処理されるデータは、処理の最中には主記憶メモリ上に一時的に保管されるのみであり、例えば処理中に電源が切れると途中まで処理していたデータは消え失せてしまい、もう二度と戻らないからだ。皆様の中にもワープロ・ソフトなどで文章を書いている最中にパソコンの電源が落ちてしまい、折角書いた力作が残っていなかったと嘆いた経験をお持ちの方も多数おられる事であろう。

 このように電気が切れると消えてしまう属性を、アルコールなどがいつのまにか蒸発してしまうような様に例えて「揮発性」と呼ぶ。半導体メモリでできているコンピュータの主記憶装置は、電気が通電している最中のみデータを保持できる仕組みとなっているため、「揮発性記憶装置」と呼ぶことができる。

 これに対してディスク装置は磁気でデータを記録しているため、読書きする時には通電していないと動作はできないが、単に記録を保持するだけなら磁気の形でデータを保持できる。通電が停止してもデータが消えない。この属性を「不揮発性」と呼ぶ。言い換えるとディスクは「不揮発性記憶装置」の代表格であるといえるのだ。

不揮発性でも不安は残る

 揮発性より不揮発性のほうが安心であることは言うまでもない。世の中には雷で停電が起こることもあるし、なぜかソフトが固まって動かなくなってしまうこともあるであろう。故にワープロなどの編集作業を長時間行なう場合は、こまめにデータをセーブしたほうが良いということになる。

 ところが、不揮発性のディスクを置いただけでは安心できないことがある。ディスクの障害だ。ディスク装置はメモリやCPUのように単に電気が流れるだけの半導体でできているわけではない。電車や飛行機、自動車といったものに近い機械装置であるのだ。その部品にはモーターやアームなど駆動部分も数多く存在する。従って磨耗や劣化で故障することは避けられない。特にディスクで弱いのは空を飛んでいるヘッドの部分であり、これが地上(ディスク面)に激突する事故を「ヘッド・クラッシュ」と呼んでいる。

 ヘッド・クラッシュは本物の飛行機事故より悲惨であり、ヘッドやアームの残骸が回転するディスクによって四方八方へ飛び散り、その飛び散った残骸がまたディスク面や装置を傷つけるため、そのHDDにあったデータは2度と読めないと覚悟しなければならない。壊れないディスクがあったらどんなにすばらしいだろうとどんなに強く願い、頑張って研究しても、どうやら人の技では絶対に壊れないディスク装置はどうも作れないようだ。

 しかしながらディスクが壊れてもデータが読める魔法がある。それが「RAID」だ。

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RAIDという考え方の出現

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この記事の著者

佐野 正和(サノ マサカズ)

1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...

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