SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

IT Compliance Reviewスペシャル

IT部門の内部統制意識の現状と課題(前編)

前編

内部統制は一時的な取り組みで終わるようなものではない。初年度を乗り越えたところで、各企業の現状や課題を振り返ってみよう。

 

 3月期決算企業の内部統制報告書が出そろい、その影響が比較的軽微だったこともあって、一部の企業の間には、金融商品取引法が求める財務報告に係る内部統制報告制度(以下、J―SOX)に対して、ある種の楽観論が広がっているように思われる。しかしながら、内部統制は決して一時的な取り組みで終わるようなものではない。事実、IT部門責任者を対象にした調査データを読み解くと、現場レベルでは依然としてITによる内部統制対策に対して、大なり小なりの課題を抱えていることがうかがえる。企業においては、制度適用初年度のヤマ場を越えた今だからこそ、あらためて自社の対応状況を総点検し、次年度以降の改善へとつなげていく努力が求められる。

 

大きな混乱なく進んだJ―SOX初年度報告

 読者諸氏もすでにご承知のとおり、ついに今年6月、日本の上場企業の多くが該当する3月期決算企業に対して、J―SOXが求める初の内部統制報告書の提出が締め切られた。提出企業2,672社のうち、内部統制に「重要な欠陥がある」と報告した企業は55社。その割合は全体の約2%にとどまるという結果となった。注目された株価への影響がさほど見られなかったこともあり、対応に追われた関係者の多くはひとまず胸をなで下ろしているといったところであろう。

 制度の誕生に際して、企業の経営者はもとより、財務担当者や情報システム担当者、さらには外部の監査法人やITベンダーまでをも巻き込み、壮大な“狂想曲”が繰り広げられたことを思い起こせば、至って「滞りなく」報告プロセスが進んでいると言える。

 しかしながら、そうした直近の動向によってもたらされる安堵感が、制度そのものの趣旨や理念を軽視するような動きにつながるとすれば、問題であると言わざるをえない。そもそも「自社の内部統制を評価・開示する」という制度は、今日の資本主義社会が企業に対して「透明性のある経営」を強く求めるようになったことを受けて生まれたものである。そうした時代の要請は今後高まりこそすれ、低くなることはない。したがって、現時点で発せられる断片的な情報をもって、J―SOXそのものの意義や自社の活動を総括したり、対策を緩めたりといった方向に舵を切るのはいささか早計であると言える。

 IT部門関係者を含め、J―SOXの実務作業にかかわる方々には、自社の対応状況をあらためて点検し、今後の改善ポイントを見いだし、それらの取り組みを社内にしっかりと定着させるための施策を打つ ― というサイクルを粛々と進めていくことが求められる。その参考としてもらうべく、以下、ITによる内部統制対策にかかわる調査データをいくつか紹介したい。

次のページ
IT予算に占める「内部統制対策」の比率は10%前後

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
IT Compliance Reviewスペシャル連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

舘野 真人(タテノ マサト)

株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
上智大学文学部新聞学科卒業後、地方紙の記者を経て2000年に株式会社IDGジャパン入社。同年に創刊された「月刊CIO Magazine」の編集に携わり、企業のCIO・情報システム部門長を相手に、経営/ IT戦略立案、ガバナンス、各種システム導入プロジェクトに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/1746 2009/09/02 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング