SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

韓流IT事情

国民に感動を与える、電子政府・電子自治体サービスとは何か? ―世界電子政府ランキング1位、韓国の実力

第2回


先日、韓国に住んでいる弟から電話が掛ってきた。「兄さん!役所から連絡が来て、すぐに転出届けを出さないと住民登録が職権抹消されるらしい!」と弟が言う。

韓国の行政手続きは、すべてインターネットで完結

 先日、韓国に住んでいる弟から電話が掛ってきた。「兄さん!役所から連絡が来て、すぐに転出届けを出さないと住民登録が職権抹消されるらしい!」と弟が言う。私の家族が日本に移住する前に、韓国に住民登録を残さなければならないので、弟の家に住民登録を移してきたのだが、弟が先日、引っ越しをしてしまい、新しく転入してきた住人から役所に通報があったらしい。お前が転出する時に同時に写してくれればよかったのに、と弟に文句を言いながら、国際電話をかけ、役所の担当者と電話でやり取りをした。

 「もしもし、住民登録移転の関係で、連絡を受けた廉と申しますが、私は今、日本に居住しており、すぐ住民登録の移転手続きのために韓国には行けませんが、どうしたらよいのですか?」と尋ねた。すると向こうからは、「そう言われても困ります、早く転出届けを出せばよいのではないですか?」と答えるのだ。しかも、明日までに転出届けを出さなければ、職権抹消処理をするしかありませんと付け加えて。

 日本からの電話をしていると伝えたは「あなたの話は分かりますが、ここは日本なので、すぐ動くとしても会社の都合などもあり、明日まで韓国に帰れないので、数日時間をいただけませんか?」と自分の置かれた立場を説明した。

 すると向こうから、「それが何だと言うのですか。韓国に帰国しなければいけないとも言っていませんし、日本で手続きをやってくれればよいのではないですか?」と再三文句を言ってきた。「日本で手続きをやると言ったって、どこでやるのですか?韓国大使館などでも転出手続きは可能ですか?」と聞くと、「何を言っているのですか?廉様が居られるのは、日本国でしょう?日本は韓国よりインターネットが進んでいると聞きますが、インターネットは使えませんか?インターネットを使って電子申請をすれば良いのではないですか?」と言われた。私は、「転出手続きはネットでできるのですね?ありがとうございます!それではすぐやります!」と伝えて電話を切った。

 そして、すぐに韓国政府のネット上の行政ポータルサイトに接続をした。国民IDや暗証番号を入れてログインをすると、初期画面に「転出届け出」のボタンが目に入ってきた。すでに自分の基本情報は、私の国民IDから検索され、ほとんどの入力項目は自動的に画面に入力される。転入先の住所だけ入れれば、それで手続きはすべて完了した。これで本当に良いのかと不安に思うくらい簡単だった(画面1)。

画面1:省庁、居住先の自治体問わず、すべての電子申請、電子届出、電子交付ができる
出典:電子民願ポータル http://www.minwon.go.kr 

 さらに、申請ボタンを押した瞬間、転入届け出を出すなら、同時にやるべき手続きが7つもあるというメッセージが表示され、それら自動で処理して良いですか?と尋ねられた。内容を見てみると、警察庁管轄の運転免許証の住所や子供の転学処理、年金関係の住所等の変更申請等が表示されている。要するに、韓国では全国の役所のコンピュータシステムがつながっており、転入手続きをすれば、以前住んでいた居住地の役所には自動的に転出手続きがされ、また、省庁をまたがって、必要な各種手続きを自動的に処理してくれるのである(図)。

図:韓国の都道府県と市町村のシステム連携図

 

次ページへ続く

 

次のページ
国民から見向きもされない日本の電子申請システム

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
韓流IT事情連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

廉 宗淳(ヨム ジョンスン)

イーコーポレーションドットジェーピー代表取締役社長、青森市 情報政策調整監(CIO補佐官)、佐賀県 統括本部 情報課 情報企画監。1962年ソウル市生まれ。1985年ソウル市公務員として3年間勤務。1989年に来日し、3年間、日本の企業でプログラマーとして勤務。1993年 韓国に帰国し、ITベンチャ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2688 2014/09/26 18:26

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング