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クラウド連携の極意はシステム階層を踏まえた適材適所の使い分け

2011/01/24 00:00

クラウドは情報処理システムの運用/構築における新たな形態の一つとして、今後のIT活用に少なからぬ影響を与えるであろうことは周知の通りである。だが、全ての情報処理システムが一気にクラウドへと移行されるわけではなく、自社内環境とクラウドが互いに連携する状況は避けて通れない。本稿ではこうした 「クラウド活用で必要となるシステム連携」の動向を俯瞰してみることにする。

用語の定義と本稿の範疇

 まず「クラウド」という言葉の定義を明確にしておこう。ノークリサーチではクラウドを『以下の三つの要素を備えた情報処理システムの構築/運用におけるビジネス形態、またはそうした情報処理システムそのもの』と定義している。

 

  • 要素1
  • ハードウェア/ミドルウェア/ソフトウェアといったITリソースを
    ネットワーク経由のサービスとして提供または利用する

  • 要素2
  • 仮想化/抽象化によって、
    システム構築/運用における柔軟性と迅速性を実現している

  • 要素3
  • ITリソースの規模拡大や共有により、
    スケールメリット/効率改善/可用性向上を実現している

 つまり、「サービス形態で各種ITリソースを活用する」というASP/SaaSなどが持つ要素に、「オンデマンド(必要な時に必要なだけ利用できる)」や「Elastic(拡張や縮小を自在に行える)」といった特徴が備わり、従来と比べてITリソースをより効率的に活用できるようになったものがクラウドである。

 また昨今は「プライベートクラウド」という言葉も良く聞かれる。本稿では「クラウドのうち、ユーザ企業がセキュリティや運用ポリシーの主導権(ガバナンス)を維持できるもの」をプライベートクラウドと位置付ける。ガバナンスという表現はやや抽象的であるが、具体的には

 

  • データ格納場所を含めたシステム構成をユーザ企業側が制御できる
  • バージョンアップやパッチ適用の内容やタイミングをユーザ企業が制御できる
  • ユーザ企業が自社内で定めているアクセス制御やセキュリティのポリシーに
    合致した内容をクラウド側の情報処理システムにも適用できる

 といった状況を実現できているものを指す。プライベートクラウドでないクラウドはパブリッククラウドとして区別する。プライベートクラウドの例としては以下のようなものが挙げられる。

パブリッククラウド内に仮想的な専用ITリソースを構築するもの

 

  • Amazon Web Servicesの「Amazon VPC」
  • ソニービジネスソリューションの「マネージドイントラネット」
従来のアウトソーシングの延長として、
データセンタ内にクラウドの特性を備えたユーザ企業毎のITリソースを構築するもの

 

  •   富士通の「Trusted-Service Platform」
  •   NECの「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」

 他にもプライベートクラウドと称されるものにはサーバ仮想化機能などを備えたアプライアンスを自社内に設置して活用するものもあるが、この形態はクラウドの「要素1」から外れるため、本稿ではプライベートクラウドには含めていない。

 以下で述べる「クラウド連携」とは上記のクラウドの定義を踏まえた上で『ITリソースを日常的に活用する際、クラウドと自社内環境ないしはクラウド間で必要となるシステム連携』のことを指す。類似のトピックとしては複数のクラウドに対するオペレーションを統合するもの(Morph Labsの「mCloud Controller」やRight Scaleの「RightScale」など)、BCPやDRのために同一システム環境を複数クラウドにレプリケートするといったものがあるが、本稿では日頃の業務遂行に必要となる「異なるシステム間の連携」に的を絞ることにする。

 (次ページへ続く)

 

 

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