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超学歴社会 韓国におけるデジタル教科書導入の裏側

2011/02/22 07:00

近年の韓国は超学歴社会である。学力の差が経済力の差につながり、国内の貧富の格差を広げるという悲しい状況になりつつある。行き過ぎた韓国社会の教育熱が「カモメパパの悲劇」という社会問題にまで発展した。こうした事情を抱える一方、 韓国政府は教育情報化への取り組みを推進し具体的な成果を挙げている。今回は、韓国の教育情報化の具体事例を取り上げ、昨今の日本のデジタル教科書ブームについて考えてみよう。

行き過ぎた韓国社会の教育熱「カモメパパの悲劇」

 「カモメパパの悲劇」。これは数年前、韓国の新聞やテレビなどで、大きく取り上げられた言葉だが、何の意味なのか想像がつくだろうか。

 ウィキペディアでは、カモメについて「夏季にユーラシア大陸北部やカナダ西部、アラスカ州などで繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部やヨーロッパ、ペルシャ湾沿岸部、アメリカ合衆国西部、中華人民共和国東部などへ南下し越冬する。日本では主に亜種カモメが冬季に越冬のため飛来(冬鳥)するが、亜種コカモメが飛来した例もある」と紹介されている。

 韓国の教育熱の高さについては、日本でもよく報じられるのでご存知の方も多いだろう。韓国では、昔から儒教の精神から勉強するというのは美徳になっている。また、社会で出世していくためには、必死に勉強をして良い大学に入学しない限り、有名企業に就職するチャンスもなくなるという、日本以上に超学歴主義の社会環境に置かれている。

 また、韓国では子供の教育費に親の年収の半分以上を毎年投資するという統計も出ており、私教育費の高騰が社会問題化している。もちろん、狭い国土で資源も乏しいため、人間の能力に頼るしかないのも事実であろう。

 例えば、教育関連省庁の名称が、以前は「教育人的資源部」(現在は教育科学技術部)であることからも、教育に対する韓国の国内事情をなんとなく理解できるのではないだろうか。特に、厳しい国際競争に勝つためには、語学力が必須のスキルとなることから、韓国では以前から小学校低学年から通常授業で英語を教えており、各小学校には源語民(ネイティブ)講師を採用している。

 しかし、日本人と同様に韓国人にとっても英語がそれほど学びやすい言語ではないことから、小学校から大学までの16年間かけて学校で学んだくらいでは、自由自在に英語を話せないのが現実だ。 それらの問題を解決するため、韓国の親たちは子供をアメリカやオーストラリアなど英語圏に小学校から早期留学をさせ始めたのである。先週2月9日に韓国政府のシンクタンクである韓国教育開発院が発表した2010年教育統計分析集によると、2009年3月から2010年2月までの早期留学生数は、1万8118名にものぼる。

 もちろん、いくら韓国人が教育熱心だといっても、現実的に早期留学はそう容易な選択でない。当然、親の経済力によっては、留学費用の捻出は大変な負担となる。それよりもまず、幼い子供が異国の地で単身一人暮らしをしながら勉強をするというのは、親の期待通りにはすんなり進むとは限らない。実際に早期留学した子どもたちが、悪い友だちとのつながりから、ギャング団との付き合いや薬物に手を出すなど、非行に走るケースが後を絶たなかったのだ。

 そこで、心配になった韓国の親たちは、母親と子供の2人での留学に舵を切ることになる。しかし、母親と子供が同時に行くことになると、住居の問題も含めて相当なお金が必要となる。それらの理由から、韓国の自宅を売り払い、父親はワンルームの賃貸住宅に引っ越し、自宅を売ったお金で母親と子供は異国の地に旅経つことになった。

 これらの経緯から父親の一人暮らしが始まり、慣れない一人暮らしの生活や家族への思いなどが重なり、寂しい思いをしながら凌いでいたのである。しかも毎月と給与の中で相当額を生活費として、仕送りをしないといけなくなった。家族と会いたい時に、妻子のいる留学先まで頻繁にいければよいのだが、経済状況上それもかなわない。

 夏休みと冬休みの頃に会社からボーナスを支給されると、その時期だけ家族の所に飛んで行けることから、季節ごとに移動をするという意味で、「カモメパパ」と言う名が付いたのである。しかし、家族と離れ離れになっているうちに、父親と母親はそれぞれ寂しい生活の中で寂しさを克服できなく、命を絶つ人もいれば、互いに不倫に走るケースもしばしば発生し、韓国ではこれが社会問題化していたのである。

 昨年から早期留学生が前年より1万人程度減ったという統計もあることから、少しは状況が改善されたかのもしれないが、もちろん根本的な問題解決にはつながっていない。上述したような問題が韓国では大きな社会問題として発展するほどであり、日本人の常識から考えると冗談かと思うほどかなり行き過ぎだと思われることだろう。韓国では、子供の教育に関する親の熱心ぶりは桁違いのものなのだ。(次ページへ続く

 

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