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アプリケーションはビジネス価値と技術品質で評価せよ―米ガートナー デニス・ゴーハン氏が講演

モバイル、クラウド、ソーシャル、続々と登場している新技術により、これまでの企業アプリケーションのあり方、ひいてはビジネスのあり方が変わろうとしている。IT予算の削減が続くなか、いかにすれば新しい技術を用いたアプリケーション開発ができるのか。3月2日に開催した「ガートナー エンタープライズ・アプリケーションサミット2012」の基調講演では、ビジネス価値をもたらすアプリケーション・ポートフォリオの考え方について、米ガートナーのリサーチ部門マネージング バイスプレジデント、デニス・ゴーハン氏が語った。

 「多くの企業ではIT予算が縮小されるなかで、いまだPCを中心とした開発モデルを採用し、古くなったアプリケーションをいかに効果的に使うか頭を悩ませている。技術は劇的に変化している。それら新しい技術がどう企業にインパクトを与えるかを知り、過去、現在、さらにそれらの新しい未来の技術への投資戦略をいかに組み立てていくか、考えていかねばならないときに来ている」。

 冒頭にこう語り、参加者の関心をひきつけた米ガートナーのリサーチ部門マネージング バイスプレジデント、デニス・ゴーハン氏。

メディアタブレットの台頭でポストPC時代到来

 同氏が最初に、企業のアプリケーション・ポートフォリオに大きなインパクトを与える新しいキーテクノロジーとして挙げたのはモバイルである。「ポストPC時代の到来」というわけだ。

写真:米ガートナー リサーチ部門マネージング バイスプレジデント デニス・ゴーハン氏

 iPadをはじめとするメディアタブレットの台頭によりどう変わっていくのか。これらの端末は、個人で所有することも多いため、企業ではそれら個人資産も企業の資産同様に管理が必要になる。しかもそれらの端末には、専用のアプリケーションがオンライン上で配布されており、ユーザーの好みで導入できるようになっている。「IT部門では配布や管理、サポートの複雑さが増大するが、これらのモバイル端末は場所や動き、方向などのコンテキスト対応が可能など、同時にチャンスももたらしてくれる」(ゴーハン氏)。

 第二はソーシャル技術である。ソーシャルメディアを使ってコラボレーションするなどの「集合的行動が価値を高める」とゴーハン氏は言う。したがってこれからの企業に求められるのは、プロフィールやコネクション、WiKi、ブログ、評価、コメント、ビデオなどの機能を持つソーシャルメディア機能を内在するようなアプリケーション。「それをいかに構築するかが課題である」(ゴーハン氏)。

 第三にゴーハン氏が挙げたのは、コンテキスト対応コンピューティング、エンドユーザーの場所、スキル、所属するコミュニティなどのコンテキスト情報に着目し、ユーザー・エクスペリエンスをより向上させる技術である。「2020年にはスマートフォンやタブレットメディア、さらにはPCと、一人の人が仕事をしながら次々とデバイスを変えて同じアプリケーションを利用していくようになる。そんな状況でもシームレスなユーザー・エクスペリエンスを提供できるようなアプリケーションを開発していかねばならない。そのためにはHTML5やSilverlight、Flashに対する戦略だけではなく、その先についても検討していく必要がある」(ゴーハン氏)。

次世代アナリティクス、ゲーミフィケーションなども注目

 第四は次世代アナリティクスへの対応である。従来のオフラインアナリティクスからインライン/組込みアナリティクスに変わっていくことを予想している。「例えば欧州のある食品店ではPOS情報に加え、ソーシャルネットワークの情報、天気の情報などを統合して、アイスクリームの在庫数を決定したりしている。従来は時間がかかっていたが、プロセッサやBI検索の向上、高度なモバイル・アプリケーションの登場などにより、短時間で分析ができるようになる」(ゴーハン氏)。

 第五はすでにアプリケーション・ポートフォリオに大きな影響を与えているクラウドである。「なかでも新しいアプリケーションの開発が迅速にできるPaaSは、今後さらに投資が増えていくはず」と示唆する。

 最後に取りあげたのが、ゲーミフィケーションである。まだ耳慣れない言葉かもしれないが、ゲームに使われているデザインやメカニズムなどを利用することを意味する。「社員のやる気を出させて離職率を低減するというようなタレントマネジメントなどに利用することが考えられる」とゴーハン氏。うまく活用すれば生産性向上につなげることができそうだが、まだまだ課題も多いという。ユーザー・エクスペリエンスの設計が難しいこと、新しいスキルが必要になること、ユーザーが仕事と遊びを混同する懸念があるからだ。

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変更ペースによってアプリケーション戦略を考える

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

教育大学卒業後、大手化学メーカーに入社。その後、ビジネスや技術に関する専門雑誌や書籍を発行する出版社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランスライターとして独立。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3841 2012/03/21 07:00

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