古河電気工業は、フィリピンに有するデータセンター向け放熱・冷却製品(以下、ヒートシンク)の主力生産拠点である「FURUKAWA ELECTRIC THERMAL MANAGEMENT SOLUTIONS & PRODUCTS LAGUNA(以下、FTL)」の水冷モジュール工場の隣接地に工場を拡張し、開発拠点である平塚工場(神奈川県)で関連設備を増強すると発表した。
同社は、データセンターで用いられる演算装置(CPU・GPUなど)の放熱・冷却を行うヒートシンクを開発・設計し、データセンター向け製品として展開している。FTLは、ヒートシンクに対する国際的な調達ニーズの多様化とBCPを踏まえ、安定した製造体制の構築を図るために2019年に開設された。
近年、生成AI市場の成長を背景に、データセンタの高発熱化に対応する高性能なヒートシンクへの要求が高まっている。また、従来は空冷方式が主流だったが、今後は水冷方式が主力になると見られている。
同社は従来の空冷方式に加えて、水冷方式によるソリューションについても研究開発を行い、平塚工場とFTLで2026年9月の量産開始に向けた準備を進めてきたとのことだ。
今後は、FTL内のデータセンター向け水冷モジュール工場の隣接地に工場を拡張し、2028年1月に量産開始を目指すとしている。この増産対応により、同工場の総面積は3万6100平方メートル、生産能力は昨年7月の計画時点と比べ2倍以上となり、受注増加と水冷モジュールの適用範囲の拡大に対応するとのことだ。
平塚工場では、新機種への対応や製造体制を強化するため、関連設備を増強するという。またBCPを踏まえ、これら複数拠点による製造体制の整備をさらに強化すると述べている。
なお、先行して稼働する製造ラインでの増産対応も含め、水冷モジュールの売上は、2027年度に500億円以上、2030年度に1000億円を計画しているとのことだ。
また、FTLで使用するすべての電力は再生可能エネルギー由来の電力で、新設する製造工場についてもスコープ1・2の温室効果ガス排出量はゼロになるという。平塚工場で使用するすべての電力についても再生可能エネルギー由来の電力を導入し、スコープ2の温室効果ガス排出量はゼロになるとしている。
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