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SIAM入門

関係者とのコラボレーション!人・組織の変化を促す SIAM移行【クラウド時代のサービス管理】

 第6回では、SIAMモデルに移行するためのアプローチ、SIAMロードマップ(「ディスカバリ&戦略」「計画&構築」「実装」「運営&改善」の4ステージ)の「計画&構築」ステージについてご説明いたしました。今回は、残りのフェーズ「実装」「運営&改善」についてご説明いたします。

サービスの移行、そして継続的改善~実装、運営&改善ステージ

出典:アクセンチュア作成[画像クリックで拡大表示]

 第4回でも言及しましたが、実装ステージでは、組織の現在の状態から新しいSIAMモデルへの移行を管理します。そのために前ステージで作成した移行計画を詳細化し、実際に移行を推進します。SIAMでは以下の3つの活動が定義されています。

  1. 実装アプローチの選択
  2. 承認されたSIAMモデルへの移行
  3. 組織的なチェンジマネジメントの進行

 運用&改善ステージは、実際にSIAMモデルの移行が完了し、運用が開始される段階です。本ステージの活動は、以下の6つが定義されています。

  1. ガバナンス構造要素の運営
  2. パフォーマンス管理と改善
  3. マネジメント構造要素の運営
  4. 監査とコンプライアンス
  5. 褒賞
  6. 変更管理の進行

 本ステージの活動は、皆さんが日々実施されているサービス管理の業務と大きく相違はありません。しかし、SIAMで特徴的なコラボレーションの仕組みとして、今回は「5. 褒賞」をご説明いたします。

ビックバン?段階的?SIAM実装アプローチの選択

 SIAMでは、実装のアプローチとして「ビックバン」と「段階的」の2つが定義されています。ビックバンアプローチはすべてを一度に導入するアプローチで、組織全体へ影響を及ぼすためハイリスクですが1回で切替えが完了するため移行コストは最小化できます。一方、段階的アプローチはある特定の単位で移行を分割(フェージング)し、リスクを最小化できます。しかし、移行が複雑となり時間も要するためビックバンに比べてコスト高になる傾向があります。

出典:アクセンチュア作成[画像クリックで拡大表示]

 実態として、多くの組織は既存SPとのそれぞれ異なる契約関係(契約期間や契約内容など)がある中で移行を実施するため、ビックバンではなく段階的アプローチを選択するケースが多いです。段階の定義は組織の事情に異なりますが、企業戦略、契約期間、SP、機能、プロセス、場所、他プロジェクトとの関係など複数の観点で最適な単位を定義し、詳細な移行計画を作成したうえで実行します。

業務影響を最小化するSIAM移行の留意点

 業務影響が極力発生しない形でサービスを移行するために、今回は特に品質面で留意すべき点を2つご説明いたします。

 ・確実に既存SPからナレッジを引き継ぐ――まず1つ目は、ナレッジの確実な引継ぎです。特に運用保守の役務を引継ぐ場合は重要となります。SIAMでは引き継ぐナレッジとして以下が記載されています。

  • サービスの仕様
  • 業務一覧
  • 現在のプロセス、手順、およびインタフェース
  • 資産とその構成、構成データ
  • 契約と役割責任(R&R)
  • 業務知識と業務の需要パターン(利用ピークや業務イベントなど)
  • サービスおよびシステム設計
  • インシデント履歴、未解決な問題、継続中の改善活動

 また、実際に引き継ぐ際、「ドキュメントが揃っていない」「中核になる担当者が引継ぎ前にリリースされた」「既存SPが引継ぎに協力してくれない(質問しても答えてくれない)」などの問題が発生する可能性があり、SIAMでもその点は言及されています。契約内容と顧客組織と既存SP間の関係性に大きく依存しますが、経験上、このような課題は現場担当者同士で調整するのではなく、顧客組織の強力な後押しのもと、SIが中心となり新規・既存SPそれぞれと粘り強い対話と交渉を繰り返す必要があります。

 ・切替え後の初期サポート体制を確保する――2つ目はサービス切替え直後のサポート体制です。移行の規模や複雑さに依存しますが、切換え直後の一定期間(初期流動期間ともいう)に発生するさまざまなトラブルを迅速に対処するために、顧客組織、SI、SPの代表者で構成された暫定的なチームを立ち上げます。特に新規サービスをSIAMへ移行する際は、ナレッジが蓄積されていないため初期流動は必須となります。初期流動期間を終了するタイミングは、事前に合意された判定基準をクリアした時です。通常は「障害が収束(ゼロ件)しており、残課題も対応方針が明確になっていること」、「運用に必要な手順書(または簡易メモ)がすべて整っており、定常運用が可能な状態であること」など具体的な基準を定義します。初期サポートは、プロジェクト(開発)チームが運用品質に責任を持つという意味でも重要なプロセスです。

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関係者とのコラボレーション!積極的な関係者エンゲージメントを行うには?

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この記事の著者

加藤 明(カトウ アキラ)

アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド&インフラストラクチャグループ シニア・マネジャー。グローバル企業を軸とした組織変革に伴うIT組織変革支援を手がける。特に、複数ベンダーの管理手法であるSIAM適用の戦略、計画立案に関する豊富なサポート...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/11649 2019/02/06 06:00

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