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2025年の崖をどう超えるか

2025年SAPサポート切れは、企業DXのマイルストーン──既存環境のリフトから始めよ


 連載「2025年の崖をどう超えるか」の第二回。2025年のSAPの保守切れは日本の企業のITにとって課題であるが、同時にデジタルトランスフォーメーション(DX)のマイルストーンにもなる。ERPに詳しいITコンサルタントの鍋野敬一郎氏へのインタビューを元にした谷川耕一氏の論稿の後編をお届けする(編集部)。  

 前回は、SAP ERPの2025年のサポート切れに対応するためには、まずは既存の環境をクラウドにリフトすることが有効だという話をした。2025年のSAP ERPのサポート切れを、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるための1つのマイルストーンと捉えることは有効だろう。

 仮にSAP ERPのS/4HANAへの移行などが、2025年の期限を越えてしまったからと言って、翌日からSAP ERPが動かなくなるわけではない。とりあえずリフト化して基幹系システムのモダナイズとなるシフトについては、2025年に間に合わせるもの、あるいはシフトは期限を過ぎても良いものを見極めて徐々に移行する。そのための自分たちなりの最適な基幹系システムの移行、モダナイズ・スケジュールをいち早く立てることが重要だ。

2段階での基幹系システムのモダナイズを進める理由

株式会社フロンティアワン代表取締役 鍋野敬一郎/著者(谷川耕一)

 既存のSAP ERPをクラウドにリフトして、その内の一部は急ぎS/4HANAに移行させる。残りはリソースの確保や自分たちの人材育成具合を考慮した上で大きくシフトさせる。こういったスケジュールは、2025年に拘らずに自分たちに最適なスケジュールが何かを考え決めて行けば良い。基幹系システムのリプレイスのタイミングは、以前はほぼ100%サーバーハードウェアの保守切れタイミングだった。直近の保守切れを逃せば、次はさらに5年後になる。これまではプラス5年後でも良いかどうかを判断してきたわけだ。クラウドにリフトすれば、その5年縛りの制約が外れる。このメリットは、思っている以上に大きい。

 もちろんパブリッククラウドへの移行には、メリットもあればデメリットもある。大規模障害が発生することもあれば、クラウドベンダーの都合でサービスが数時間停止することもある。SAP ERPに限らず、パブリッククラウド上でITシステムを動かす場合と、オンプレミス上で動かす場合との違いを受け入れる必要がある。不安定さのあるインフラで、ミッションクリティカルなシステムを動かすためのマインドセットを持つことは、今後クラウドを活用して企業がDXに取り組む際にも重要となるだろう。

 つまり、「クラウドへのリフトは基幹系システムの全面的なモダナイズの前段階」として捉えることだ。リフトであれば関係者も少なく、情報システム部門が主導的にプロジェクトを進められるはずだ。これがプラットフォームを変えアプリケーションも変更となれば、関係者が一気に増え調整にも大きな手間と時間がかかる。

 また2段階で基幹系システムのモダナイズを進めるのは、経営層の承認を得やすい。普通に考えれば、先進的なS/4HANAなりをいち早く使うほうがメリットは大きい。しかし基幹系システムの移行よりもIoTや顧客とのエンゲージメントなどの新しいDXへのIT投資が優先される企業も多いだろう。リソースが限られている現実の中、経営層がゴーサインを出しやすい選択肢を示すことも必要だ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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