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精度の高い需要予測を実現する SASならではの技術と知見

SAS Forum Japan 2019レポート

製造業の需要予測における課題

 河野氏は続いて、製造業で一般的に見られる主な課題を紹介した。その内容は一変し、部品に関する課題がその多くを占めるようになる。まず、販売実績レコードがない中での予測値・計画値の策定、およびその策定方法の確立といった「発売前の需要把握・算出」。販売開始後の初回生産分のはけ方と、その後の極端な動きの捉え方といった「急激な動きへの対応」。製品の供給・サポートの年限を見越した部品の一括購買、およびその適切な必要量の算出といった「部品の一括調達」。

 限られた予算枠内での、製品稼働率を最大化するための「部品発注の最適化」。部品数など予測対象数が非常に多い、予測業務工数や予測算出処理がともに重いといった「予測対象の多さ」。そして、対象数が多い中での「適切なクラスター化」。これには単なるカテゴライズではない需要・出荷の動きの類似度も加味したクラスター処理も含まれる。

 リテール業で一般的に見られる主な課題においても、独特のものとなっている。特に、変化への対応に関する課題が多いことが特徴的だ。まず、B to Bではないため受注データは残らないが、欠品などにより「需要数と販売数はイコールではない」ケースが多く発生する。在庫切れや異常気象、近隣イベント・近隣競合などにより恣意的な動きが多く入り込み「データに問題・ノイズが多い」こと。チラシ特売などにより、通常は0~数十個の販売数の商品が、数百~千個単位で売れるといった「販売数の急激な変化」。

 販売数だけでなく、「同日中の価格の変化」もある。いわゆる見切り品などによるもので、これの販売数への影響が見えづらくなる。「季節性、間欠性」も課題で、間欠データによりモデルの作成が困難になる。また、販売開始時の予測の立ち上がり・ボリューム感を捉えづらくしてしまう。そして「在庫データの不在」。在庫状況がデータとして取れていないため、欠品=機会損失状況の実際が把握できない。

製造業で一般的に見られる需要予測の主な課題

製造業で一般的に見られる需要予測の主な課題

 こうした課題をいかに解決し成功したか。河野氏は需要予測プロジェクトの成功事例から、その要因を具体的に紹介した。まず、成功したプロジェクトには「対象とする課題の適切な選定」と「プロダクト・手法の最大活用」の2つがあるとした。さらに細かく見ていくと、課題の選定では「正確な課題の把握」「ユーザー様の強いコミットメント」「現場側の巻き込み、取り組みテーマへの賛同取り付け」「蓄積されたコンサルティング経験、知見」を挙げた。

 プロダクト・手法の活用では「最新鋭かつ高生産性な分析プロダクト」「システム化可能かつ大量処理実行可能なプロダクト」、そして「蓄積されたコンサルティング経験、知見」を挙げた。いずれも、蓄積されたコンサルティング経験、知見が重要な要素であり、SASはその点で創業1976年から多くのナレッジの集積と豊富なコンサルティング経験がある。また、予測手法のマルチアプローチが可能である点も特徴で、お客様に合わせて様々なアルゴリズムを組み合わせることも可能で、最適な解を提案できるとした。

製造業の需要予測に有効な施策

 河野氏は、製造業向けの需要予測の成功事例から、有効であった施策を紹介した。具体的には「フェーズごとの予測手法切り替え」「発売前、発売直後予測」「予測精度の自律的改善」「新製品~既存品へのトランジション」「既存品予測」「カニバリゼーション」「部品の一括調達」「部品調達最適化」となる。河野氏は実際のフェーズを追いながらポイントを説明した。

 第1フェーズは発売前、第2フェーズは発売直後、第3フェーズは既存品になるまでの間ということになる。フェーズに応じて適切な予測モデルを作ることで、高い成果が得られる。それがSASの知見であるとした。なお、それ以降は既存品となるため、既存品としての需要予測を活用する。第1フェーズには、類似品を計算により算出するケースと、類似品をユーザー自身が選定するケースがある。

 計算で算出する場合は、商品の属性や特徴、対象ユーザー層などの条件から過去の新商品を照会し、多次元空間で距離計算を行って近いものを選ぶ。過去の新商品の販売波形は参照できるので、これに類似度を掛け合わせて波形の合成を行う。これにより、今回の新商品の販売予測値が算出される。ユーザー自身が選定する場合は、ユーザーが類似品を数個選定し、それらの波形を合成する。この「合成する」というところにSASの知見があり、精度の高い予測値を導き出せる。

 発売直後の第2フェーズは、多少の実績値があるので、この動きを過去の新商品と照らし合わせる。SASには、波形の類似性を計算できる機能が搭載されており、これにより類似度の高い波形を数個選び出し、重み付けをした上で波形を合成、予測値を作成できる。「これをヤドカリ方式と呼んでいます」と河野氏。この予測方式は、誤差率が12週目で20.8%、16週目で12.9%と、時間が経つにつれて精度の高い予測値に自ら変わっていくことが特徴となっている。

「ヤドカリ方式」による需要予測
「ヤドカリ方式」による需要予測

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リテール業の需要予測における課題

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この記事の著者

吉澤 亨史(ヨシザワ コウジ)

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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