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時代が求める攻守一体のIT部門 外資から転身し経営目線も有する資生堂CITOから見た課題と解決策


CIOの評価軸は事業理解の先にある

押久保:高野さんは各社でCIOを歴任されてきました。端的にCIOの評価軸はなんだと思われますか? 何を達成すれば評価されるのでしょうか。

高野氏:経産省が2015年から「攻めのIT経営銘柄」を選定しています。この取り組みではデータとデジタルで企業を変革して競争上の優位性を確立しているかをみているわけですが、これまで守り中心だったIT部門が、変革して競争上の優位性を確立させるために、攻めにも強くなる必要が出てきたことを意味しています。

成塚氏:これまでIT部門は社内ユーザーに相対してきたわけですが、それだけではなくなったというわけですね。しかし、IT部門といえば、トラブルはなくて当たり前。あったらとんでもない。つまり「守りの徹底さ」を常に求められてきた部門。その上で、さらに攻めが求められる——。

高野氏:その通りです。私もこの業界で30年弱ずっとやってきていますが、IT部門、そしてそれを率いるCIOにとって今は特に複雑で難しい時代かもしれません。攻めと守り、業務的には両方をバランス良く取るようにしています。今、評価軸として考えられるのは、この攻めと守りのITをどれだけバランス良く運用できるかではないでしょうか。

押久保:攻めと守りのITをバランス良く運用するコツはどこにあるでしょう?

高野氏:事業戦略理解が重要だと思います。ITは企業を変革するための道具になってきている現在、経営を理解した上でITを使いこなす力が求められます。ITが単体としてあるのではなく、経営とITは切り離せないと捉えます。

成塚氏:経営目線で考えると、IT部門への負担は増していきますね。具体的にはどのように推進されていますか?

高野氏:会社の中期経営計画や年度計画、事業部門のカウンターパートとのコミュニケーションを通じて、投資の優先順位やリソースの配置を決めています。

成塚氏:全体、または部門ごとに実現したいITサービスやシステムがあり、それを全部盛り込むことはできないですよね。

高野氏:その通りです。現場からの意見を聞いてしまうと、全てカバーしなくてはいけないという気持ちになってしまう。しかし予算とリソースは限られている。どうしても濃淡をつける必要が出てきます。よってコロナ禍での今年の投資の見直しや、次年度に向けての投資予算の準備において我々がガイドラインを作りました。事業部門がIT投資要望をまとめる際に、このガイドラインに沿って出すように依頼をしたのです。

成塚氏:確かに事業部門は欲しいITサービスはもらえるだけもらいたい。一方で提供するIT部門は予算面、リソース面からも全てを承諾できない。結果、IT部門と事業部門の間で膨大な調整工数がかかります。策定されたガイドラインはどのようなものですか?

高野氏:これまではコミュニケーションベースでしたが、前年度の実績をベースにデータを提示し、そのデータと投資における優先順位の考え方を提示し、それらを踏まえて要望を出してもらうようにしています。いわば「数字と優先順位のガイドライン」です。「要望を出して」というのと「こういう考え方と前提数字でこういう内容が知りたいからこういう形で要望を出して」では、出てくる内容はまったく違ってきます。これは予算策定の時だけでなく、実績管理でも同じですね。

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「予算」と「実績」の管理とチャージバックが大きな課題

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この記事の著者

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

株式会社エヌプラス代表取締役デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施...

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