導入のためには「キックオフ」も重要
オマケとして、導入プロセスの要となるキックオフの重要性について記しておく。通常、こうした改革やDXプロジェクトでは、関係者の数がシステム導入(開発)のフェーズから急激に増えていく(ユーザー側もベンダー側も)。こうした中でも高い品質の態勢と企画を維持するためには、新しい関係者も交えたキックオフが欠かせない。キックオフでは、およそ以下のようなことを確認しあう。
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導入の背景と目的:これまで描いてきた「あるべき姿」を示す。これがなければ、新しい関係者は、何のためにそのツールを導入したのか、わからないまま関わることになり、高い品質の態勢が維持できない。
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導入の進め方:ツール導入を含む大きな改革のロードマップがあるなら、それをまず提示した上で、導入プロセスの全体像を示す。ベンダーとの打合せの日程や参加者まで決まっていれば、なおよい。
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体制図と役割分担:ツール導入ではたびたび「これはどうすればよいか」と難解な問題が発生するので、必ず意思決定者を決めておく。導入が順調に進むかどうかは、意思決定のスピードに依存する。一人に判断が集中してボトルネックにならないよう、権限移譲できる体制になっているのがベストだ。また、導入プロセスの各タスクに対して、ユーザーとベンダーのどちらが主担当になるのかを示し、責任範囲を明確にしておく。
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成果物:ツールに施した設定資料や、既存システムとのデータマッピング表、意思決定の記録など、運用してから「迷わない」ために必要なドキュメントを定義する。
- 決意表明/期待値交換:初対面のメンバーと短期間で新しいことをやり遂げるためには、各メンバーが、どういう決意を持っているのか、周囲のメンバーにどういうことを期待しているのか、を表明しあう必要がある。キックオフでは極めて重要なアジェンダである。度々述べているが、よい企画はよい態勢からしか生まれない。
こうしたキックオフは、もちろん導入着手時に関係者が一堂に会して実施する。それだけでなく、新しい関係者が増える都度、中心メンバーとの間でも実施するとよい。そうすれば、高い品質の態勢を維持したまま、導入を終えることがでるだろう。
第2回から続けてきた、デジタル化を前提としたマーケティング組織の立ち上げ方は、今回で終わりである。次回からは、デジタル化したマーケティング組織の運営のコツについてお伝えしていく。
以上