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花王のデジタルリモート決算は「PDCA」ならぬ「DCAP」アプローチで実現

「BeyondTheBlack TOKYO 2021」レポート #04

 ブラックラインは8月18日から19日にかけて年次イベント「BeyondTheBlack TOKYO 2021」をオンラインで開催した。2日目の事例セッションに登場した花王は、「BlackLineを開けば決算業務が完結=在宅100%の完全デジタルリモート決算に向けた取り組み」と題した講演で、BlackLine導入から始まった経理業務の変革の過程を解説した。

「出社率10〜20%」要請で気付いた投資の偏り

(左より)花王株式会社 会計財務部門 管理部長 牧野秀生氏
花王株式会社 会計財務部門 管理部 部長(制度会計担当)今川康則氏

 「豊かな生活文化の実現」をミッションに、日本を代表する消費財メーカーとして知られる花王。2020年12月期の連結売上高は1兆3819億円にのぼる。その売上の多くを占めるのが、衛生と生活に関する製品を扱う「ハイジーン&リビングケア事業(36.4%)」、身体ケア製品の「ヘルス&ビューティケア事業(26.2%)」である。「化粧品事業(16.9%)」を含めてB2Cのビジネスが多くを占めるものの、B2Bのケミカル事業(16.7%)もこれらに続く規模を誇る。海外売上高比率は38.2%。欧州、米州、アジア、日本の四極体制で事業を展開している。

 前半に登壇した管理部長の牧野氏は、経理畑が長く、海外現地法人でのコントローラーとしての経験も持つ人物である。2021年8月現在の花王グループの経理組織は、全世界で約700人。このうち国内は「経理企画部」「管理部」「財務部」に約230人が在籍しているという。

 古くは1990年代の「EVA導入」から始まり、2000年代は「同時決算迅速化・グローバル化」、2010年代に入っては「同時連結・効率化」などの取り組みを進め、常に現状を否定し、どうすればよくなるかを追求してきたのが花王の経理部門のDNAである。「絶えざる革新」を当たり前のこととして実践するほど先進的な花王でも、2020年初めの新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務へのシフトには戸惑うところも多かったようだ。

 12月決算の会社ということもあり、年次決算では毎年2月がピークとなる。会社全体の出社率を30%にするようにとの要請があったのが同年3月のこと。花王はメーカーなので、生産部門の出社率はもっと高くても良いが、「経理のような間接部門は出社率を10〜20%に抑えることが求められた」と牧野氏は当時を振り返る。

 いざ在宅勤務で業務を進めようとして気付いたのは、制度会計分野への投資が手薄だったことだ。図1の左側では、「Deloitte Financial Assessment Wheel(Deloitte保有のファイナンス組織診断のフレームワーク)」に沿って、これまでの取り組みをマッピングした結果を示している。このフレームワークでは、ファイナンス組織が持つべき機能を、「Business Finance(管理会計)」「Operational Finance(制度会計)」「Specialized Finance(税務会計)」「Organization & People」Process & Policy」「Information & System」の6領域で整理している。改めて制度会計周辺の業務プロセスを調べてみたところ、手作業で行っている業務や手書きのサインを必要とする業務が多いことが判明した。

図1:ファイナンス組織診断フレームワークとの照合で気付いた投資の必要性 出典:花王[クリックして拡大]

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DCAPアプローチで進めたBlackLine導入

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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