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Security Online Day 2021レポート

PayPay銀行が“IT部門×経営陣”の共創で実現した数多のDXと業務改革 成功要因や苦悩を振り返る

IT統括部長 岩本俊二氏が語るDX推進の過程とセキュリティリスク管理の勘所

 企業がデジタル化をともなう変革を推進するには、IT部門と経営陣による“共創”が欠かせない。そして、様々な業務変革に挑戦する上で常につきまとう課題がセキュリティのリスクである。そこで、既にポストコロナ時代に適応した数々の業務改革を実現しているPayPay銀行 IT統括部長の岩本俊二氏が、「PayPay銀行が見据える“現場と経営陣で共創する”ポストコロナ時代のセキュリティ対策」と題した講演をおこなった。同行が実践してきた取り組みの詳細な内容や、直面した課題、さらには改革を成功させるための組織の作り方までを解説する。

“業務効率化だけにとどまらない”業務改革とは

 PayPay銀行の前身は、2000年10月に日本初のインターネット専業銀行として開業したジャパンネット銀行である。2018年のヤフーによる連結子会社化を経て、現在はZホールディングスの子会社であるZフィナンシャルの連結子会社となった。PayPay銀行に社名を変更したのは、2021年4月のことである。24時間365日いつでも取引が可能で、連携先の多様性とスマホ決済が強み。口座数は約550万、社員数も約500人規模の組織へと成長した(講演時点)。

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 同行のCSIRTチームは、2013年9月に7名のチームからスタートした。2015年9月にはサイバーセキュリティ対策室を立ち上げ、現在は20名体制でセキュリティ対策の企画から実施、外部との情報連携、社内のSOC(Security Operation Center)業務までを幅広く対応。行内では、リスク管理委員会の下部組織として位置付けられている。

PayPay銀行 IT統括部長 岩本 俊二氏
PayPay銀行 IT統括部長 岩本 俊二氏

 世界がコロナ禍に見舞われる前から、PayPay銀行は様々な改革に取り組んできた。その背景にある課題として、PayPay銀行 IT統括部長の岩本俊二氏(以下、岩本氏)は「労働生産性が低いこと」「中堅社員の離職率が高まっていること」「従業員満足度があまり高くないこと」を認識していたと話す。そこで、同行はそれぞれの課題に対し、「業務改革」「コミュニケーションの効率化」「働き方改革」の3つのテーマに基づいた施策を進めている。そして、それらの施策はテーマが異なっていても、それぞれが連動しているという。具体的にどのようなことに取り組んできたか、岩本氏は代表的な施策を取り上げて内容を紹介した。

RPA

 まだ、RPAという用語も認識していなかった2012年から導入を開始。その後、業務改革を担う専門組織をIT部門内に設置し、これまでに約200の定型業務を自動化している。

ビジネスチャット

 以前の主な社内コミュニケーション手段はメールであったが、深夜や休日にインシデントが発生すると、どうしても全社的な対応が遅れてしまう。そこで、コミュニケーションの効率化を図るべく導入したのがビジネスチャットである。現在は、対応者が連絡範囲を考えなくても迅速に情報共有ができるよう、事前にひな形として設定したグループチャットを活用した効率的な運用を実現している。

Web会議システム

 今でこそ当たり前のツールとして多くの企業が導入しているが、同行の場合は、テレビ会議システムから数回の更改を経て現在のシステムの導入を決定した。選定時には、双方向の対話を促す仕組みの実現を重視したという。

モバイルワーク

 「ワークライフミックス」を掲げ、業務効率化にとどまらず楽しんで仕事をすることを目的に、訪問先でのプレゼン、外出時のメールやスケジュール確認などを簡単に行えるようにする取り組みとして始まった。

テレワーク

 働き方改革をさらに進めるべく、実施を決意。モバイルワークを先に実施していた分、定着の下地はできていたという。セキュリティ上のリスク分析に加え、法制度対応も必要だったため、トライアルを数回繰り返しながら本格的な導入まで1年半を費やした。

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変革を進めるも、セキュリティ面で数々の課題に直面

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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