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クラウド時代に求められる「オブザーバビリティ」とは

オブザーバビリティの有効性をどう評価する? ROIを判断するための指標「MTTD」「MTTR」

徹底理解「オブザーバリティ」その④ オブザーバビリティの経営効果を測る、知る

 本連載『クラウド時代に求められる『オブザーバビリティ』とは」は、エンタープライズITの領域で注目と関心を集めている「オブザーバビリティ」の全容を明らかにするためのものです。その最終回となる今回は、オブザーバビリティの実現によってどのような経営効果がもたらされるのかについて、その計測の方法や実例などを交えながら解説します。

オブザーバビリティへの投資対効果(ROI)をどうとらえるべきか

 前回(本連載第3回)、オブザーバビリティの確保にはITインフラの運用管理チームだけではなく、アプリケーション、サービスの開発チームも主体的に動く必要があり、そのための体制を整えたうえで、オブザーバビリティ製品の導入へと歩みを進める必要があるとお話しました。

 言うまでもなく、そうした体制変更には一定の工数と労力をかけなければならず、製品の導入コストとあわせて考えると、オブザーバビリティの実現には相応の投資が必要とされることになります。オブザーバビリティを実現する仕組み(以下、オブザーバビリティ製品と呼ぶ)として、オープンソースソフトウェア(OSS)製品を使えば、製品の導入費はかなり安価(場合によってはゼロ)になります。ただし、OSSを用いてオブザーバビリティのための仕組みを構築する技術的な難度は高く、一般的に見ても構築までに相当の時間と工数を要します。そうした時間と工数をコストに換算した場合、商用製品を使ったほうが結果的に安上がりで済むことも多いです。

 いずれにしても、オブザーバビリティの実現には相応の投資が必要とされるため、その投資には相当の見返り(リターン)が要求され、どのような効果を追求するかを明確に定めておくことが重要となります。言い換えれば、オブザーバビリティによって、どのような経営上のメリットを創出するかを明確にし、その目的に向けて体制を整え、製品を選定・導入、活用していく必要があるということです。

 では、オブザーバビリティが生み出す経営効果、あるいは経営上のベネフィットをどのように想定すると適切なのでしょうか。

 ここでまず留意することは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流の中で、顧客接点のデジタル化や社内業務のデジタル化が進む今日では、システム障害やアプリケーション、サービスの性能の悪さが、企業の収益に大きな負のインパクトを与えかねないという点です。たとえば、自社でeコマースサイト(自社製品の直販サイト)を運営しているとしましょう。仮に、そのサイトがシステム障害で長時間ダウンすれば、販売機会が失われるだけでなく顧客からの信頼も失い、顧客離れを誘発します。結果として、致命的なダメージを被る恐れがあるのです。

 同様にサイトの性能が悪ければ、顧客はそのサイトを使おうとしなくなるうえに、サイトの運営企業の評価も低下させてしまう可能性があります。社内で使う業務システムについても、障害による停止が長引いたり、性能が劣化したりすれば、企業収益に負のインパクトをもたらす可能性が大いにあります。たとえば、顧客との取り引きや対話に使用している業務システムが停止した、あるいは性能が極端に低下したとしましょう。そうなれば、業務の現場は、顧客の要求や問い合わせにスピーディーに対応することができなくなり、顧客の信頼を低下させることになります。

 オブザーバビリティの実現は、こうした事態を未然に防いだり、抑止したりするうえで不可欠なものといえます。また、オブザーバビリティのソリューションによって、システムの問題個所を早期に発見し、改革・改善を繰り返していくことで、システムの利用者体験(UX)、あるいは顧客体験(CX)を良質化させ、従業員や顧客の満足度を高めていくことが可能になります。それが最終的に企業の収益アップへとつながっていくのです。

次のページ
オブザーバビリティの効果を測る標準的な指標とは

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この記事の著者

清水 幸弥(シミズ ユキヤ)

Elasticsearch株式会社
ソリューションアーキテクチャ、シニアマネージャーSolution Architectとして、Elastic製品の提案活動、顧客の検索プロジェクトやデータ分析プロジェクトにおける技術支援に従事。Elastic入社前は、複数の外資系ベンダーにて、主にクラウドインフラやITO...

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