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Data Tech 2022 レポート(AD)

Sansanは名刺管理から営業DXへ、なぜプロダクトの軸足を移して「顧客マスタ」の整備に注力するのか

4つの大きな成果を挙げたNECソリューションイノベータ、その裏には『Sansan Data Hub』

営業活動でのデータ活用を阻害する顧客マスタの問題

 さらにもう一歩踏み込んで、個社データを可視化した詳細なビューもABMダッシュボード上では見ることができる。前述した浅葉建設の例では、提案の規模やステータスに加えて、同社執行役員と過去に名刺交換をしたのは誰か、これまでの契約状況などの情報もわかる。同様のダッシュボードがない場合は、データが格納されているSFAなどのツール側から状況を確認しなくてはならないが、データを集約した環境があれば、そこから示唆を得て、提案の質や受注確度を高められるようになる。その結果、業務効率化に加えて適切なアプローチが可能になり、営業生産性の向上を実現できるとSansanはみている。

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 Sansanのような顧客データ活用を実践している企業はまだ少ない。と言うのも、各種ツールを導入して収益増大に取り組んではいるものの、顧客データの品質に問題を抱えているためだ。Sansanが独自に調査した結果からも、約9割の企業が同様の問題を抱えているとわかっている。顧客データ活用の問題を解決するための第一歩となるのが、ターゲット企業に紐づく人物の「顧客マスタの整備」と中西氏は語る。

 顧客マスタが整備されていない場合、大きく3つの問題がある。まず、1つはデータの不足である。たとえば、ターゲット企業の名前はわかっているが、一部に業種や従業員規模のデータの欠損がある場合、どんな分野の受注が増えているのか、あるいは失注が増えているのかを分析したいのに、正しい結果を得られない。2つ目はデータが古いこと、あるいは誤りがあることだ。たとえば、キーパーソンの昇進はアプローチ時の重要なポイントになるが、その事実を把握できていなければ、その人物との過去のつながりを活かすことができない。最後、3つ目がデータの重複である。たとえば、同一人物であるにもかかわらず、Sansanの山田さんのレコードが2つあるような場合、そのターゲット企業の理解が一面的になる他、重要なデータの見落としが出てくる。これら3つの問題を放置している限り、収益の増大を実現することは困難だろう。

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 Sansanが訴える法人営業で整備するべき顧客マスタとは、ターゲット企業に対してどんな提案をするべきか、その示唆を提供する仕組みである。この中のデータは、提案時に使った営業資料が、実際の契約という成果に結び付いたかを検証する場合にも使う。その意味で、顧客マスタは営業戦略の立案から実行段階も含めたPDCAサイクルを支えるものと言える。

顧客マスタを構成する「企業情報」と「接点情報」の2種類のデータ

 法人営業における顧客データ活用にともなう問題を解決するのがSansanである。Sansanと聞くと、名刺管理の会社というイメージが強いかもしれないが、中西氏は「コロナ禍における働き方の変化を考慮し、2022年は大きな製品アップデートを実施した」と話す。現在は、企業が営業DXを実現するためのソリューションを提供するサービスにポジショニングを変えたのだと言う。今のSansanは「企業情報」と「接点情報」の大きく2種類のデータを組み合わせ、営業を強くするデータベースを提供している。

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 企業情報では、事業概要、業種、売上、従業員数の他、その会社の役職者のデータや人事異動のデータ、さらには反社会的勢力ではないことを示すリスクデータなどを、名刺交換の有無に限らずSansan上で確認することができる。また、接点情報は、名刺交換ができていない人物のデータもデータベースに組み込んでいる。具体的には、コロナ禍で対面での名刺交換の機会がなくなったことを踏まえ、最新テクノロジーを用いてメール署名から自動で登録できるようにしている。この他、メールや電話のやり取り、Webフォームからの問い合せ内容、過去の商談内容も合わせて、接点情報としてデータベースに格納する。

 さらに、こうした最新のSansanの「営業を強くするデータベース」としての価値を一層高める機能が『Sansan Data Hub』だ。Sansan Data Hubとは、SalesforceやMarketoといったCRM・SFA・MAツール上にあるデータの名寄せとリッチ化を実現する機能である。

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 Sansan Data Hubがどんな処理をしているのか、中西氏は複数の例を挙げて説明した。たとえば、企業合併や社名変更があった場合、古い名刺のデータでも新旧の判定を行い、最新の社名でデータに名寄せを行う。また、同じ人物のデータが複数ある場合も、企業名と同様に最新のものに反映する。これらの名寄せの処理は半自動で行われる。さらに、帝国データバンクの企業情報のような外部データとの連携で顧客マスタの拡張も可能だ。先の例に出たSansan独自の6段階の役職レンジの他、部署の名称も33分類で整理しており、分析の切り口になるデータ分類機能を提供している。その分析結果は、テーマを絞り込んだセミナーの集客などに役立ちそうだ。各種ツールの顧客マスタを常に最新かつ正確な状態で維持することで、データが増え続ける中でも営業生産性の向上を実現できる。

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他社でも成果、NECソリューションイノベータの場合

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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