DBソムリエに聞く、DBaaS市場の現況とデータベース担当者が抱える悩み──自社に適したベンダーをどう探すか?
『マルチクラウドデータベースの教科書』発売記念インタビュー
これ一冊で複数ベンダーを比較できる、導入の“その先”を思い描ける
──『マルチクラウドデータベースの教科書』は、そうした悩みを抱える読者にとって、どう役に立つとお考えですか。本書ならではの特徴や、工夫されている点、類書との違いなどを教えてください。
小林:本書では、マルチクラウドにデータベースを利用するための前提知識として、4つのパブリッククラウドが提供しているDBaaSについて網羅的に説明しています。
これまでも、クラウドベンダー1社のサービスにフォーカスして紹介している書籍はいくつか出ていましたが、複数のクラウドベンダーを比較する際には、出版時期も異なる多くの本を買い集め、目を通す必要がありました。しかし、本書の3章を見ていただければ、(主にリレーショナルデータベースの観点ではありますが)こうした比較検討を迅速に進められるでしょう。
また、新たなプロジェクトで長年親しんだクラウドと別の製品を利用するというケースも、現実にはよくあります。そうした際には、以前獲得したノウハウを活かしながら、「別のクラウドでは、〇〇に相当するDBaaSはどれなのか?」といった疑問を解消する必要がありますが、これについても本書でカバーしています。
加えて、「新しいDBaaSが解決できる課題を具体的に知りたい」という意欲的な読者の皆さまには、4章以降でマルチクラウドに展開されたデータベースを利用する動機や、技術的な課題、それらが解消された先に見える新たなDBaaSの形についても詳しく解説しています。NewSQLを既に取り入れているユーザーや、今後導入を検討している方々にとっても、この技術が将来的に何を実現するのか考察を深められる内容となっています。
──最後に、皆さんがどういった信念でこの書籍をご執筆されたのかお聞きしてもよろしいですか。
小林:「マルチクラウド」という言葉は広い意味を持っており、著者一同の議論においても、その定義を合わせるところから執筆は始まりました。そのうえで、
- マルチクラウドなデータベースとは、どんな構成を指すのか
- マルチクラウドなデータベースは、利用者にどんな価値を提供するのか
について、章を追って解説することに取り組みました。結論から言えば、現時点でマルチクラウドなデータベースの利用は、「万人に必要」なことではないかもしれません。しかし、それを理解して備えることは、エンジニアとしての視座を一段高めることにつながると信じています。
本書が読者の皆さまのサービスを支えるデータベース選定の一助となれば、これに勝る喜びはありません。

マルチクラウドデータベースの教科書 クラウドロックインを乗り越えるデータベース構築ノウハウ
朝日英彦、小林隆浩、矢野純平 著
出版社:翔泳社
発売日:2024年8月6日
価格:3,740円(税込)
本書について
マルチクラウドにおける、現代的なデータベース構築・設計を解説する書籍です。4大クラウド(AWS, Microsoft Azure, Google Cloud, Olacle Cloud Infrastructure)のDBaaSの解説はもちろん、データベースの観点からマルチクラウドの優位性や課題を紹介します。
本書の特徴
- マルチクラウドジャーニーを徹底解説:データベースという視点から一段登って、システム全体を俯瞰してマルチクラウドを推進する際に必要な点を整理しています
- DBaaSを網羅的に紹介:発行時点でのDBaaSの特徴を保存したスナップショットとして、クラウド選定時やDBaaS選定時に活用いただけます
- マルチクラウドで利用可能なDBaaS、その構成パターンを紹介:現時点で採用可能な構成パターンを本書にまとめました。マルチクラウドデータベースのもたらす価値も丁寧にまとめています
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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