今回はITコンサルタントが実践しているRFP作成法を伝授します。RFPは、その出来不出来によって、あなたの作業が増えたり減ったりするとても重要なドキュメント。しかも、RFPの項目をしっかり定義しておけば、要件定義の品質も向上します。すでに、RFPのひな形がある場合でも、その内容が本当に妥当であるか、一度検証してみてはいかがでしょうか?
RFPはシステムの命運を決める

情報システム部の存在意義は、ITサービスを通したユーザ利便性の向上にあります。ITサービスとは単一、もしくは複数のシステムによって提供されるものですから、新しいシステムを企画立案して運用に漕ぎつけるまでの流れは、情報システム部の主たる業務と言えるでしょう。
新しいシステムを構築するためには、企画段階で得た構想を要件レベルに具体化し、システム設計者に引き渡します。企画をした人間が設計・構築・テスト・リリースまで担当できるにこしたことはないのですが、上流工程を担当する人間はスキルセット上、高コスト(月単価150万円以上)であることがほとんどですし、そもそも社内でシステム実装スキルを有する人間を必要数確保できないという根本的な課題もあって、要件定義フェーズ以前と設計フェーズ以降では担当者が異なることが多いのが実情です。
そこで要件定義フェーズで整理したことを正確に設計フェーズにつなげるために用いられるのがRFP(Request For Proposal 提案要求書)です。RFPをうまく作成できるかどうかで、そのシステムの命運が決まると言っても過言ではありません。なぜなら、システムの実装内容だけでなく、自社とベンダーの責任関係を決めるインプットになる文書であり、RFPで書かれた内容に従ってベンダーは提案書と契約書を作成するからです。曖昧な表現や適切性に欠ける責任関係を記してしまえば、そのまま契約内容に跳ね返ってきます。
今回は「適切なRFPの作り方」というテーマで、「委託内容」と「契約スキーム」の2つに分けてRFPに必要とされる項目の記入方法を紹介します。あなたの会社にもRFPのひな形があるかもしれませんが、その内容が本当に妥当であるか、一度検証してみることをおすすめします。もし、足りない項目や考慮不足があるようでしたら、次のRFP作成までに修正しておきましょう。
ちなみに、RFPで示す各項目の内容は要件定義フェーズで全て決めている必要があります。RFPの項目をしっかり定義できていれば、それを記入するために必要な情報も明らかになります。つまり、要件定義フェーズで決めるべきことも自ずと決まってくるということです。
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吉澤 準特(ヨシザワ ジュントク)
外資系コンサルティングファーム勤務。ビジネスからシステムまで幅広くコンサルティングを行う。専門分野はシステム運用改善をはじめとするインフラ領域だが、クライアントとの折衝経験も多く、ファシリテーションやコーチングにも造詣が深い。まぐまぐにてメールマガジン「IT業界の裏話」を発行中。著書に「最新会議運営...
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