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イノベーションを可視/加速化する「ビジネスアーキテクチャー」集中講義

ビジネスモデルと「新たな競争優位の戦略論」の関係性を理解する‐デルタモデルという戦略論(前編)

(第26回) 

 前回は、ビジネスモデルとの相性のよい戦略フレームワークとして「価値基準モデル」についてご説明いたしました。今回からは、さらにそれを発展させた「デルタモデル」という戦略論を2回にわたりご紹介していきましょう。

ネットワーク経済における競争優位の戦略フレームワーク「デルタモデル」とは何か?

 「戦略は大きな翼であり、戦術は頑丈な脚であるである」

 前回は、事業戦略のフレームワークとしての「価値基準モデル」についてお話ししました。事業戦略を策定するうえで必要となる最初のステップは、ビジネスモデルの3つの柱(プロダクト革新、顧客インターフェース、オペレーション基盤)のうち、どの柱に焦点を当てるかを決めることでした。これは、事業戦略であれ、ビジネスモデルのイノベーションであれ、最初に決めなくてはならないことです。

 価値基準モデルが提唱されたのは20年ほど前ですので、事例を含めて若干の古さは否めません。そこで今回は、事業戦略に対する基本的な考え方は踏襲しつつ、現代のようなネットワーク経済下で活用することができる「デルタモデル」というもう1つの戦略論をご紹介したいと思います。

 デルタモデルは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のスローン教授によって提唱されたものです。価値基準モデルと同じく、ビジネスモデルの3つの柱のいずれかに焦点を当てることからスタートします。デルタモデルにおいて、プロダクト革新は「プロダクトの経済性」、顧客インターフェースは「顧客の経済性」、オペレーション基盤は「システムの経済性」を追求することが重要な戦略テーマとなります(図1)。

戦略によって焦点が当てられる領域
図1:戦略によって焦点が当てられる領域

 このモデルの由来は、変化を意味するギリシャ語のデルタ(△)からきています。スローン教授によれば、従来の二大戦略論である「ポジショニング・アプローチ」と「リソースベースド・アプローチ」を継承しつつ、21世紀のネットワーク経済で競争優位を確立するための3つの戦略的方向性を示すものとのことです(図2)。なお、多くの企業調査の結果、ベストプロダクトよりもトータル顧客ソリューション、トータル顧客ソリューションよりもシステムロックインの方が、持続的な戦略優位が確立される可能性が高いことも示唆されています。

デルタモデル
図2:デルタモデル

競争優位をプロダクト視点で構築する「ベストプロダクト」戦略

 デルタモデルの1つ目の戦略的方向性は、ベストプロダクトです。これは、ポーター教授の3つの戦略、つまり「差別化」、「低コスト化」、「集中化」を意味しています(オリジナルのデルタモデルに、集中化を追加しています)。戦略とは競合他社と戦うことではなく、顧客との絆(ボンディング)を構築することにあるのがデルタモデルの根底にある概念です。この意味では、ベスト・プロダクトは顧客との絆が最も浅い戦略となります。より良いプロダクトやサービスを提供する企業が現れれば、現代の消費者は躊躇なく乗り換えてしまう傾向にあるからです(図3)。

ベストプロダクト
図3:ベストプロダクト

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デルタモデルの真骨頂「トータル顧客ソリューション/システムロックイン」

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

 ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。

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