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日本人としての特性を踏まえた21世紀のキャリア論-慶應義塾大学大学院 高橋俊介特任教授インタビュー(第4回)

『事業変革時代のキャリア論が必要なワケ』


前回は、企業の人材育成機能のあるべき姿を解説いただきました。今回は、日本人の特質を踏まえて、会社と個人の関係性の変遷などを振り返りながら、日本人に適した21世紀のキャリア論を解説いただきます。今回でインタビュー記事は終了となります。第1回記事はこちら、第2回記事はこちら、第3回記事はこちらです。あわせて、お読みください。

損害回避志向が高く、慎重性の低い日本人

 日本では学び直しのために大学や大学院に入学すること以外にも、転職でさえリスクのある行為だとみなされる傾向にあります。独立もそうです。日本人は全体的に「損害回避志向」が強まっています。それにも関わらず「慎重性が低い」。これが日本人のよくないところです。

 損害回避志向が高いというのは、損害を受けるのが嫌ということです。一方の慎重性というのは、「もしこれをすればこういう結果になるかもしれない。だからここでリスクヘッジをしよう」という考えです。中国人は慎重性が凄く高い。最低でも2社以上から内定を貰わないと辞表は出さない。あるいは、子供が何人かいたら、色んな国に分散させて国籍を取らせたりします。国がおかしくなったときに、どこに逃げるかをいつも考えているのです。これが慎重性です。

 個人差も大きいですが、日本人はもともと慎重性が非常に低いと言えます。だから、脇が甘いので、海外ですぐにスリに狙われる。慎重性が低いと、万が一のことを考えてリスクヘッジをするのが面倒になるからです。それにも関わらず、損害は受けたくない。仮に、損害回避志向が強くても慎重性が高ければ、考えながらリスクヘッジを行うので問題ありません(図では2の領域)。損害回避志向が低くて慎重性が高い場合(図では1の領域)も同様です。慎重性が低くて損害回避志向も低い場合(図では3の領域)がありますが、、典型的なリスクテーカーです。ひどい目にあうことも少なくないでしょうが、とんでもないことをやらかす可能性もあります。しかし、損害回避志向が高くて慎重性が低いのは、最悪の組み合わせです(図では4の領域)。チャレンジや決断を避ける状態を作るからです。

          図1:損害回避志向と慎重性

 日本人がそうなった理由を悲観的な観点から言うなら、民族が入れ替わってないことがあげられます。ユーラシア大陸の一番端ですので、ここまで来るともう行き場がありません。また、1億人以上の人口がいて、新しい血が長い間入っていない国は他にありません。梅沢忠雄さんの『文明の生態史観』にもありますが、大陸の両側は安定しているからです。

  一方、大陸の中間的な国々では、異民族の侵略のし合いが常です。トルコやロシア、インドやモンゴルでもそうです。日本では弥生人が来たのでも、二千何百年以上前です。それ以来、異民族がやって来ることは基本的にありませんでした。それだけ長く安定した時代が続くことによって、もしかしたら、リスク志向の人は物足りなくて外に出て行ったのかもしれません。仮に外には出たとしても、中には入ってこない。だから、残るのは安定志向の強い人間です。もし中国みたいに激変があれば、慎重性の低い人間は淘汰されます。でも日本は安全で隔離されていたから、慎重性が低くても淘汰されなかった。他にも色々な歴史的背景がありますが、何かを決断すること、学び直すこと、独立するといった考えは、日本に馴染みにくいのです。こうやってみていくと、日本の活性化を考えるうえで、ダイバーシティやグローバルという発想は必要不可欠と言えますね。

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会社の過去と未来-居心地のよかった日本の会社

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慶應義塾大学SFCデザイン思考研究会(ケイオウギジュクダイガクエスエフシーデザインシコウケンキュウカイ)

  イノベーションツールの1つである「デザイン思考」の普及活動に取り組む。研究会が翻訳したスタンフォード大学d.school発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』は公開3日で2万件ダウンロード。イノベーション実践のためのデザイン思考ワークショップは常に満員で、企業向けのイノベーター育成プログラムも提供している。問題発見・問題解決を行うクリエイティブクラスに向けた、10年後の知識社会で活躍するための学習環境づく...

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