SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

組織的なイノベーション、道具としてのデザイン思考

デザイン思考は多様性を持つチームの「共通言語」

(第8回) 


前回の記事では、デザインは問題解決であると定義した。今回は、デザイン思考が問題解決のために異分野の知性を統合するプロセスであることを紹介したい。そのために、分析的思考と直観的思考の比較、デザイン思考のプロセス例としてIDEOやスタンフォード大学d.schoolで活用されている構造を紹介する。

分析的思考と直観的思考は対極に位置する

 一言で言えば、デザイン思考は問題解決のための思考法だ。思考法としてのデザイン思考を理解するために、特徴が異なる「分析的思考」と「直観的思考」をそれぞれ紹介したい。

 「分析的思考」の特徴は再現性にある。たとえば、自分の血液型を調べるために検査を受けるとする。その際に、「病院はどこか」「医者は誰か」「検査の時間帯はいつか」などは、結果に一切影響を与えない。何千回検査をしてもA型はA型、B型はB型という信頼できる結果が出る。属人的要素を排除できるため、常に一定の結果が保証される。

 しかし、欠点もある。出てきた結果の価値を判断できないのだ。どこかの企業が「血液型検査」を始めたとする。検査結果は間違いないとして、それがユーザーに対して何か新しい価値を提供するだろうか?…その可能性は低いだろう。

 価値提供であれば、「直観的思考」がより優れている。たとえば、タイプライターは、ピアノの演奏を聞いていたクリストファー・ショールズが、「鍵盤で叩くこと」に「文字を書くこと」を結びつけた結果、誕生した。パソコンに必須のキーボードも、彼のひらめき無しには存在していなかっただろう。

 世代を越えて価値を提供し続けるアイデアをショールズは生み出したが、「どうすればそのようにアイデアを生み出せるのか?」と聞いたところで、「まず最初にこれをやって、次にこれをやれば必ずうまくいく」という再現性のある答えは返ってこない。直観的思考は他の人が真似できないプロセスだとも言えるし、だからこそ誰もが思いつかない価値あるアイデアを生む可能性があるとも言える。

図1:分析的思考と直観的思考
(Martin, 2009を一部編集)

 このように、分析的思考と直観的思考は、対極に位置している。それでは、デザイン思考はどのような位置づけになるのだろうか?

次のページ
デザイン思考は「人間中心の統合的思考法」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
組織的なイノベーション、道具としてのデザイン思考連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/4983 2013/11/08 00:10

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング