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第10回:イノベーションに効く翻訳書06:『コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて』  「消費者との共創」をいかに実現するのか?コ・イノベーション時代のビジネスモデルを考える

  2013/12/20 08:00

イノベーションの新時代-多くのパートナーと「個客」のニーズに対応する

 本書「コ・イノベーション経営」と「ネクスト・マーケット」は、2004年に発刊されたものです。それまでは、イノベーションといえば、主にプロダクトやサービスまたは業務プロセスのイノベーションに焦点が置かれるものでした。プラハード氏の提唱により、消費者との共創による経験のイノベーション、新興国によるリバース・イノベーションという新しい考え方が生まれ、現実のビジネス世界に大きな影響を与えました。じっくり読み返してみると、当時の事例はさておき、10年前に出版されたものとは思えないぐらいの新鮮さと予見力に脱帽してしまいます。プラハード氏の生まれが1941年ということを考えると、なおさら驚きです。プラハード氏が、経営学者というよりはビジネス思想家として高い評価を得ている所以です。

 その後、この2冊の集大成ともいえる「イノベーションの新時代(原題:The new Age of Innovation)」が出版され、新しいビジネスモデルの到来を予言しています(図6)。そこでは、個客経験の共創とグローバル資源の利用というビジネスモデルの大きな2つの柱を見据えて、消費者全体を視野に入れながら自社単独でそのニーズを満たそうとするビジネスモデルから、多くの企業が力を合わせて1人1人の消費者(個客)のニーズに対応するビジネスモデルへの変革が描かれています。

個客経験の共創とグローバル資源の利用
図6:個客経験の共創とグローバル資源の利用

 本書は、ビジネスモデルのイノベーションに取り組んでいるビジネス層のみならず、顧客イノベーションの改善に励むマーケティング担当者、ビッグデータやビジネスアナリティクスといったテクノロジーや手法のビジネス活用を考えているデータサイエンティストにとっても非常に参考になるかと思います。

 プラハード氏は、残念ながら2010年に他界してしまいましたが、天国でも今後のビジネスはどうなっていくのか、どうあるべきかの考察に余念がないことでしょう。



著者プロフィール

  • 白井 和康(シライ カズヤス)

      ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン) Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。

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