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未来の起業家を育てる-VCや教育機関、行政が取り組む「起業体験プログラム」

「第22回ベンチャー・プライベート・カンファレンス」レポート:第4回


 3月12日、第22回ベンチャー・プライベート・カンファレンス白熱ベンチャー教室2014が慶應義塾大学ビジネス・スクール(KBS)と日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)の共催で開催された。同カンファレンスにて行われた「起業体験プログラム実施経験から見える、新しい日本の自立教育の未来」と題したセッションをレポートする。

 ベンチャー・プライベート・カンファレンス白熱ベンチャー教室2014では、起業家や投資家が集まり起業に関するトークセッションや、世界を目指す日本発コンテンツの最先端についての議論がなされた。「起業体験プログラム実施経験から見える、新しい日本の自立教育の未来」と題したセッションでは、福岡大学商学部准教授の飛田努氏、郁文館グローバル高等学校教頭の土屋俊之氏、品川女子学院校長の漆紫穂子氏、成蹊大学法学部教授の北川徹氏、徳島ニュービジネス協議会の杉野景氏、東京情報大学総合情報学部教授の堂下浩氏、モデレーターにNTVP代表の村口和孝氏が登壇した。

起業体験プログラムの特色と効果:学校の理念、社会課題、自律的な生き方

 NTVPでは、青少年を対象にした起業体験プログラムを1999年から社会貢献活動として実施している。 学園祭会場を一つの経済社会と捉え、現実社会のルールに近い形でプログラムは運営される。

 参加者はチームを作り、事業構想を練り、実際にお金を使い、定款等を作成し、模擬的に会社設立を行う。  そして、事業計画を作成し投資家役に説明する。投資家から準備資本を集め、商品等の試作や、材料の仕入れ、店舗準備を進めながら、学園祭で販売活動を行う。

 終了後には、決算書を作成し公認会計士の監査を受け、株主総会を開催し、会社を解散。利益が出た場合は、株主名簿に応じて参加者に分配し、一部は税金として寄付をする。短期間で子供達に、資本主義経済を実体験を伴って理解してもらう事を意図している。

 現在、徳島、郁文館夢学園、品川女子学院など全国の高校や地域、慶應義塾大学理工学部、九州大学、成蹊大学、福岡大学などの大学などに、起業体験プログラムは広がっており、累計参加者は1万人を越えた。

 地域と大学が連携してプログラムを開催したり、プログラム卒業生や保護者がアドバイザー役や投資家役になるなどし、年を追うごとにプログラムの中身も充実している。起業体験プログラムを実践してきた方々から、プログラムを通じて感じたノウハウや教育効果についてプレゼンがなされた。

女性が活躍する社会を目指す:品川女子学院の取り組み

 品川女子学院
 品川女子学院 校長  
 漆 紫穂子氏  

 1926年に開校(開校時は荏原女学校)した当時から「女性の手に職をつける」を目指した品川女子学院。ミッションを踏まえ「28project」という教育方針が誕生し、その中で2006年からスタートした「起業体験プログラム」は、文化祭で高校生が株式会社を設立・運営する。体制などの課題を次第に解消しながらプログラムに取り組んできた。

「取引先にお金を振り込んだ瞬間にその会社が倒産したりといったトラブルもあり、仮想ではなく実際の企業とのやりとりをしている。まさに実社会だからこそ起きるトラブル。運営している私たちでさえも、問題を事前に察知することもできない状況で、学生たちと一緒になって悩んだりしながら進めてきた」

 2012年からは「デザイン思考」の授業にも力を入れ、身近な問題を発見し、改善策の立案という発想力を養う取り組みも行っている。

「女性の参政権がない時代から、社会で活躍する女性を育てたいという思いで作られた学校だからこそ、“女性の起業”というこれからの時代にとって大きな要素となる取り組みを充実させていきたい」

目的意識を持った大学進学の選択が生まれる:郁文館グローバル高等学校

 郁文館グローバル高等学校
 郁文館グローバル高等学校  
 教頭 土屋 俊之氏  

 2004年からスタートした郁文館は、キャリア教育の一貫として「起業体験プログラム」を行い、学園行事の集大成として位置づけ、子どもの主体性や実社会とのかかわり合いを通じながら、自ら人生を設計していくことを目指したプログラムだと語る。

「初年度は何が何だか分からない状態でしたが、震災復興に関連して現地で栽培しているきのこの素晴らしさを伝えるための企画を考えたりと、学校という枠を飛び越えて実社会と関わるものへと進化してきた。自分たちの起業で得た収益を誰に還元するのか。株主なのか、従業員なのか。いわゆるソーシャルビジネス的な視点をもとに事業プランを考えるようになってきた」

 大学進学にも変化が起き始めたという。これまで偏差値で大学選択を行ってきたのが、目的意識を明確にした大学進学を考える学生が増えるようになった。現在は、中学1年生でも起業体験プログラムに有志での参加が可能となっており、高校卒業までの6年間で計6回参加する生徒が現れるのを楽しみにしているという。

次のページ
大学教育での起業体験プログラム:社会人の基礎力を養う疑似体験

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この記事の著者

江口 晋太朗(エグチ シンタロウ)

TOKYObeta。編集者。これからの未来のための情報設計や環境デザインを実践する編集者。スタートアップやテクノロジー、デザインやカルチャーの分野のコンセプトワークやメディアづくり、企画設計などで企業の事業支援を行う。Twitter@eshintaro

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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