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Oracle Database Standard Editionユーザーが次に選ぶべきDBはどれだ?!《前編》

 Oracle Database 12cのバージョン12.1.0.2のリリースを受けて、2016年1月末、小規模ユーザー向けライセンスとして広く提供されてきたStandard Edition(以下、SE)およびStandard Edition One(以下、SE1)は、新たにOracle Standard Edition 2(以下、SE2)に一本化された。この結果、Standard Editionの新規ユーザーは必然的にSE2を導入することになったが、既存のSEやSE1のユーザーは、どのようなアップグレードを選択しており、また今後選択すべきなのか。エンタープライズ データベースのエキスパートにお集まりいただき、考えなどを聞いてみた。

ゲスト(順不同)

  • 岸和田 隆氏(株式会社アシスト)
  • 渡部 亮太氏(株式会社コーソル)
  • 桑内 崇志氏(日本オラクル株式会社)

司会

  • 谷川 耕一氏(DB Online チーフキュレーター)

SE2への一本化で既存ユーザーに先行きの不安が生じた?

谷川 耕一氏(以下、谷川):昨年の1月末、オラクルがSEのライセンスをSE2に一本化した結果、従来のSEやSE1ユーザーは、この先の選択を迫られることになりました。しかし、たとえばSE1 ProcessorからSE2 Processorでは、ライセンス価格もサポート費用も値上がりしています。もっとも新しいライセンス体系では、導入後にコア数が増えても1ソケット当たりの価格が変わらないなど、急速にコア数が増える現代に合わせた配慮も盛り込まれているのですが、なにぶんコスト面での増加は目につきやすく、世の中からは「デグレードした」という印象を持たれがちです。オラクルとしては、どう見ていますか。

桑内 崇志氏(以下、桑内):率直なところ、製品価格が高くなったことで影響を受けるお客様は少なくないという認識は持っています。ただし一方で、さまざまな事情でOracleは変えられない、もしくは他の製品を検討しつつもOracleを使い続けて頂いているという現実もあると思います。そうした方々に対して私たちも、単純に価格が変わってもメリットは大きいですよと繰り返すだけではなく、お客様の企業にとって、本当に価値のあるデータベース選びとは何か。すなわち、ビジネスを成長させる戦略的なデータベースの考え方とは何かといった根本的な部分から、お客様と共に「次のデータベース」を考えるお手伝いをしていきたいと思っています。その結果として、改めてOracleを選んでいただければ大変ありがたいですね。

桑内 崇志氏
桑内 崇志氏(くわうち たかし)氏
日本オラクル株式会社 Cloud Platformビジネス推進本部 ビジネス推進第2部 部長
日本オラクル入社以来、一貫してテクノロジー製品の製品技術および販売推進に携わる。現在はデータベース製品を中心にセキュリティや運用管理製品およびクラウドの販売推進を担当。

世間で言うほどOracle離れは進んでいないという事実

谷川:ではまず、岸和田さんや渡部さんからご覧になって、SE2への一本化以降の市場やお客様の反応はどうですか。

岸和田 隆氏(以下、岸和田):全体を見るとOracle SEの売り上げ自体は落ちていませんし、むしろ10%アップくらいの伸びを見せています。ただ売り上げは伸びていますが、SE1からSE2になって単価が上がった点を考慮すると、顧客件数は減っているのではないかと推測しています。

谷川:SE2に変わったことで、バージョンアップや他製品への乗り換えはどうですか。

岸和田:価格改定の時にかなりのご相談をいただきましたが、その後は特に増えているという印象でもありません。

谷川:世間で言われているほど、一気にSE1から他製品に移ったわけではないと?

岸和田:当社の場合、販売方針も関係があると思います。というのも現在アシストでは、Oracle SE/SE1ユーザーに対して、Oracle Database Appliance(以下、ODA)を足がかりに、Oracle Database Enterprise Edition(以下、EE)の世界へのステップアップをお勧めしているからです。現在150台くらいあるODAのユーザーの約半分は、SEやSE1から移行されたお客様です。「SE2だけになってしまって、次の選択肢をどうしよう?」というお客様に対して、ODA=EEへのステップアップの機会と考えているので、他の方がおっしゃるようにユーザーが離れたと感じないのだと思います。

渡部 亮太氏(以下、渡部):当社の業務はサービス提供なので、ライセンス販売が今どうなっているかという情報は直接入ってこないのですが、SE2に限らなければ、EEのサポート料金への不満はかなり多く耳にします。とはいえ、それでは何か具体的なアクションを起こしているかと聞くと「特にない」。

渡部 亮太氏
渡部 亮太氏(わたべ りょうた)氏
株式会社コーソル 技術統括
製品サポートを経験したのち、ORACLE MASTER Platinum取得者数No.1に向けた技術者育成、Exadata向けリモート監視・リモートDBAサービスのビジネス拡大などに携わる。日本に8名しかいないOracle ACEの一人で、Japan Oracle User Groupの共同創設者、ボードメンバーでもある。著書・講演・執筆記事多数。

谷川:漠然とした不満はあるけれども、それに対して何か行動しているわけでもないという状態ですか。

岸和田:実際のところ、Oracleから他社製品への移行を検討しているお客様の例を見ると、SEやSE2云々というよりも保守料金の不満だったり、もっと現場での利用に即したところでの声が多いですね。

谷川:「Oracle以外の何を選択する」というよりも、「Oracleを選択したいのに採用しにくい」というのが大きいんですね。

「この機会にEEを」というユーザーにODAは有効かつ最適解

谷川:前章で岸和田さんが、「ODAを使ってSEからEEにステップアップ」というお話をされていましたが、実際のところSE1もEEもデータベースエンジンは同じで、インストールすら違いません。ただライセンス上の使い方だけが異なっているのですが、世の中のユーザーはどう使い分けているのでしょう。

渡部:Oracleは主に基幹系で使われてきたので、ユーザーの側にもEEを使うのが当たり前という世界があったとは思います。その流れでずっとEEを使っているお客様もいれば、どこかのタイミングで、Oracleからの移行は考えないけれど、一部のシステムはSEにダウンサイジングしてもいいと考えるお客様がいるのではないかと思います。

谷川:データベースの優先度や重要度で検討した上で、サブシステムなどの一部はコスト的にも運用的にも軽量化していくという考え方ですね。岸和田さんは、どうご覧になりますか。

岸和田:私はまた少し違う印象を持っています。というのも当社でODAに移行されたユーザーは、移行前にSEを基幹業務で使っていたケースが多いからなのです。もちろん「基幹」の定義にもよりますが、たとえば生産管理システムのバックエンドや、他社とのビジネス上のやりとりで不可欠のデータベースとか、あるいはEC系サイトのバックエンドのような絶対に止められないシステムに導入しているお客さまが、予想外に多かったのです。

株式会社アシスト 岸和田 隆氏
岸和田 隆(きしわだ たかし)氏
株式会社アシスト データベース技術本部 ビジネス推進部 部長
OracleDBの研修講師、フィールド技術、製品検証担当を経て、2007年 自社ブランド「DODAI」の準アプライアンス製品の企画・開発。その後、ODA、Exadataを含む新製品の立上を担当。現在「データベースのアシスト」を目指した活動に従事。

谷川:そういうユーザーは、やはりSEのライセンスの目いっぱいの範囲でRAC(Real Application Clusters)などを組んで使っているわけですか。

岸和田:SE+RACもしくはサードパーティー製品のクラスタリングを使ってHA構成というケースが多いですね。でもこれだと、当然ながらそのうち性能的に限界が出てきます。それで、この先どうしたらよいかというご相談をいただくのです。具体的には、パーテーションとか、あるいは夜間バッチの突き抜けをどう手当するとか。あるいは、そういう業務系のSQLというのはどうしても複雑になるので、その解決策が欲しいというわけです。

谷川:制限だらけの中でチューニングしているわけですから、工数もコストもかなりなものになりますね。現場としても経営としても、そのまま放置するわけにはいかないでしょう。

岸和田:そこで、「じゃあリプレースをどうするのか?」という話になるんです。そうなるともちろん皆さんEEはご存知で使いたいけれど、コスト的にやはり採用できない。さてどうするか? というところにODAがジャストフィットするのです。ODAの非常にいいところは、導入コストが安いだけでなく、Capacity-on-demandで利用するCPUが2CPUコア(1プロセッサライセンス)ずつなので、「小さく始めて、小さく拡張していける」点です。なので、この先パワーが足りなくなったら2CPUコア(1プロセッサライセンス)ずつ足していきましょうという計画が立てられるのです。そもそもアプライアンスだからワンパッケージになっているので、決めさえすれば、後はすんなり導入できるのも魅力です。

他製品への移行ではトータルコストを考えることが必要

谷川:SE/SE1からSE2になってライセンス料が上がった結果、「それならオープンソースソフトウェア(以下、OSS)にしよう」と言うようなお客様はいますか。

谷川 耕一氏
谷川 耕一氏(たにかわ こういち)氏
EnterpriseZine/DB Onlineチーフキュレーター。ブレインハーツ取締役
AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

岸和田:そういうお客様はいますし、当社でも取り扱っています。Oracleと互換性があるOSSのデータベースなので引き合いも多いのですが、ただ実際のところOracle SEから移行したのは、ユーザー全体の10%程度です。というのも、SE/SE1からOSSへの移行コストが意外にかさむのです。それを運用でカバーできるかというと、費用対効果としてなかなか厳しいのが事実です。

谷川:仮にライセンス料が安くなったとしても、移行コスト自体が負担になってしまっては、本末転倒ですからね。渡部さんの会社は技術サポートがメインですが、そうしたマイグレーションに関する話は何かありますか。

渡部:パターンとしては、岸和田さんとほぼ同じですね。ライセンス料の値上がりに対する不満含みでデータベース移行の検討は多いけれど、イニシャルコストがかかるのでなかなか踏み切れないという。もっとも不満はあるので、いろいろとあいまいな状況のまま相談に来て、こちらがこれだけのコストがかかりますという試算を示すと「じゃあ、また来ます」となるパターンが多いですね。当社としても、いざやれば苦労するのは目に見えているし、その割にコスト削減にもほとんどならないので、コスト削減効果を期待しているお客さんにとってハッピーな構図が見えないんです。

岸和田:当社がODAへの移行を強く勧めているのも、移行した場合のトータルコストがおさえられて、結果的にお客様にとってメリットが多いからなんです。いくつもあるSE/SE1をODAにまとめてしまえば当然トータルコストが下がります。また最初のライセンスをEEで購入しておけば、ハードウェアの性能が高いので、既存のSE/SE1のデータベースをOracle Multitenantなどの機能で移行・集約していけば、そのつど追加のライセンスを購入する必要がありません。

谷川:そうすると、今後もSE2で数多くのデータベースを立てていく予定がある場合には、どこかのタイミングで見直して、集約するかどうするかという判断もあり得るわけですね。

岸和田:そうですね。あとは新規をどう考えるか。新しく立ち上げるときに、どういうデータベースやプラットフォームをチョイスしていくのかという話になると思います。その場合は当然ながらOracleやSE以外の選択肢も出てきて、それをお客さんがどう判断するかという話になっていきます。

後編に続く

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