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なぜ企業のビックデータ活用はうまくいかないのか?―あらためて「本当に欲しいデータ」について考える

下手するとマーケティング・オートメーションが「嫌がらせ促進ツール」に? やりたいことが先、テクノロジーは後にあるべき。

横井:総務省が毎年出しているデータ活用の実態を見ると、2017年インターネットに接続しているデバイスは490億。流れるデータのほとんどは動画。データ量は2年でおおよそ2.7倍ほど増えています。そろそろネットワークで渋滞が始まってしまいそうです。「データをためましょう」とはよく言われますが、転送の課題についてまだ多くが意識していなさそうですね。

岡:設計屋としては一番気になります。帯域とか内部の動きとか。いま始まった話ではなく、昔から「性能が出ない」と言われて、見ると「こんなクエリーではそりゃ(性能は)出ないよね」と。

横井:まさかのフルスキャン (テーブルの範囲にあるレコードをすべて読み込んでいく非効率な動作。どうも遅いと思ったらなぜか全レコードをチェックしていた!!といったことは割とある話) とか。なぜそんなことが起こってしまうのですかね。

高木:動いちゃうから?でしょうか。

岡:内部でどのような処理をしているか、ステップが想像できないからですね。方程式をただ暗記して解くような。マイクロソフトさんも内部はどんどん公開したほうがいいですよ。わかっている人が使わないと広まらないですから。

横井:ブーメランのようにかえって来ちゃいました。網野さんはどう思われますか。

網野:コンテンツサービスはデータを流すのがビジネスだから、サービスのデジタル化によりデータが増えるのは自然な流れだと思います。フルデジタルデータ化時代に考えたいのは、データ活用をしようとする日本企業の姿勢です。データ分析する前にまずはストラテジーから入らなくてはならないというのが私の立場です。日本においては人口減少と人口構造変化は確定未来になっています。それなのに、かつての右肩上がりだった時代と同様に、「それいけどんどん新規獲得!」で良いのか? 既存顧客を大事にする時代ではないか?  と、問うべきだと考えています。

横井:確かに。

網野:既存顧客と言う観点で、最近はMA(マーケティング・オートメーション)の相談を受けます。MAって名前が悪いですね。「マーケティングをオートメーションしてくれる」と勘違いする人がいます。しかしこれはあくまでもメール配信の自動化ツールです。これまでメルマガは手作業だったから週1回配信が限界でした。しかしMAで自動化できたとしても、中身がないメールを毎日配信したら顧客はうんざりしてしまいます。クライアントには「顧客の立場になって考えてください」とよく言っています。「MA導入でジャンクメールという嫌がらせの頻度を上げたいのですか?かえって既存のお客様が離脱してしまいますよ」って。

横井:「嫌がらせ」にツボってしまいました(笑)。

網野:「売りつけて単価を上げる」発想では間違った方向に進んでしまいます。本来情報とは顧客が受け取ってうれしいものであるべきです。人間の時間は有限なので、自分の好みに合うものをリコメンドしてくれたらうれしいですよね。旅行だと、目的地や宿泊先を選ぶことも旅行の楽しみととらえる人もいますが、ぼくは休みに入ったら休むことに集中したいタイプです。だからぼくの趣味にあう旅行先とホテルをレコメンドしてくれたら押し売りではなく、ありがたい情報になります。適切なメッセージ、適切なクリエイティブ、適切なインセンティブ、適切なタイミング、適切なチャネル、本来リコメンデーションエンジンやMAツールは「いい情報をありがとう。それなら買うよ。」を提供すべきなのに、下手すると嫌がらせ促進ツールになってしまいます。

岡:ECサイトでも購入後に購入した製品の広告が出ますね。もう買ったから要らないのに。

網野:顧客理解が進み「こういう情報を送るといい」とわかったとしても、配信頻度は月に1度でいいかもしれません。ではMAは何のためにあるか。例えば顧客が100万人いて、細かくセグメンテーションしたら20万通りになったとします。20万通りを手作業でやるのは大変です。だからその後の手作業を効率化させる自動化ツールが必要だとなるわけです。やりたいことが先にあって、テクノロジーは後にないといけません。

横井:まさしく。

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「フェイルファスト」安く、早く失敗して迅速に改善するサイクルを確立すべき

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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