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躍進するVeeam、次の一手はバックアップ技術を軸としクラウド・データ・マネジメント領域へ

 2019年9月12日、Veeamの最新の戦略を紹介する「VeeamON FORUM Tokyo 2019」が開催された。データマネジメントやデータ保護の最新技術、トレンドが語られ、それを受けた形でVeeamからクラウド・データ・マネジメントの戦略について説明が行われた。

市場成長率を超える成長でシェアNo.1を目指す

 クラウドやモバイル、AIや機械学習、IoTやエッジコンピュータなど様々な技術が市場を変化させている。これら技術を使い市場に変化を起こす源となるのは情報、つまりはデータだ。そのデータを確実に保護し、活用するためのソリューションをVeeamは提供していると強調したのは、基調講演のステージに登壇したVeeam Software シニア・バイス・プレジデント アジアパシフィック・ジャパンのショーン・マクレガン氏だ。

Veeam Software シニア・バイス・プレジデント アジアパシフィック・ジャパン ショーン・マクレガン氏
Veeam Software シニア・バイス・プレジデント
アジアパシフィック・ジャパン ショーン・マクレガン氏

 データ保護の領域でVeeamは大きく成長しており、2019年には売り上げが10億ドルを超えると予測されている。中でもアジア太平洋、および日本地域の売り上げは2018年度に7,500万ドル、36%の高い成長率を誇っている。

 最先端のデータセンターにおけるデータの保護を行ってきた2008年からの10年間をACT 1とすれば、2019年移行のACT 2ではハイブリッドクラウドの世界におけるクラウド・データ・マネジメントをVeeamでは提供する。そしてこのクラウド・データ・マネジメントの市場は、2023年までに310億ドルの規模になる。Veeamは、クラウド・データ・マネジメントを提供するもっとも信頼できるバックアップソリューションのベンダーになるとマクレガン氏は主張した。

 続いて登壇したヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏は、2年前に日本法人の社長に着任して以降、重視してきたのが顧客やパートナーにとって扱い易く安心して使える製品にすることだと言う。そのためにドキュメントを日本語化、サポートチームを日本に置きSEチームも新たに作った。結果的に各業界のトップクラスの日本企業が、Veeamを採用するに至っている。

 とはいえ日本企業の多くが、バックアップに課題を抱えていると古館氏。たとえばグローバル平均に比べ日本ではダウンタイムが長い。バックアップは取得しているが、いざ戻すとするとなかなか戻らず復旧に時間がかかる。システム停止時間が長引き、ビジネスにもインパクトを与えてしまう。

 こういった企業の課題に対し、Veeamでは5つのステージでクラウド・データ・マネジメントを提案する。ステージ1のバックアップから始まり、ステージ5ではデータの保護を自動化する。「将来的にはAIが判断し、最適な場所に自動で保護すること目指します」と古館氏は言う。

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 そしてVeeamが支持されているのは、オンプレミスの保護からクラウドを使ったデータ管理のために必要な製品を全て揃えているからだとも主張する。既にヨーロッパ、中東およびアフリカ地域ではバックアップ・ソフトウェアのシェアでNo.1だが「日本でも必ずシェアNo.1を獲得します」と宣言した。

 エンタープライズ戦略担当 バイスプレジデントのデイブ・ラッセル氏は、企業はバックアップに投資しているがそれほど定着していないと指摘する。ガートナーの調査によれば、現状のバックアップに不満があり何らか変更や増強を考えている企業が半数以上いるのだ。そしてバックアップベンダーを変更する理由にはコスト、導入や運用のしやすさ、バックアップとリカバリのスピードが挙げられている。

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 そのような状況の中でVeeamは、バックアップおよび復元ソフトウェアの市場シェアで2018年に4位だった。市場成長率が前年比で6.8%の中、Veeamはグローバルで16%の成長を遂げており、日本では150%と極めて高い成長率がある。

 さらに新規ライセンスの獲得を見れば、他ベンダーがシェアを減らしている中Veeamだけが成長している。結果としてVeeamはガートナーのマジッククアドラントでリーダーに位置づけられ「マジッククアドラントで“マジック”を実現できる唯一のベンダーです」とラッセル氏。

 このように成長したのは、可用性の高さ、データのアジリティ、ビジネスのアクセラレーションの3つにVeeamが注力してきたからだと説明する。そしてクラウド・データ・マネジメントがまさに今求められており、信頼、コンフィデンス、ケイパビリティが必要であり、さらにカルチャーも重要だとも指摘した。

クラウド・データ・マネジメントで顧客のデジタル変革を支援する

 VeeamON FORUM Tokyoを締めくくるセッションは「MicrosoftプラットフォームへのVeeamの新提案」と題したMicrosoftとの協業メリットを紹介するものだった。Microsoft Azureに焦点を当て、それと組み合わせてVeeamを使い安心安全なデータ活用環境を構築できるかが説明された。

 Azureの中でVeeamの各種機能をどのように組み合わせて使えば、価値を高められるか。Veeamは今その部分に注力しており、「MicrosoftとVeeamを組み合わせて、その価値が“1+1=3”になるようなソリューションを考えています」とヴィーム・ソフトウェア クラウド&サービスプロバイダー 日本担当シニア・マネージャーの杉山達朗氏は言う。

 そのためにVeeamでは、オンプレミスで取得した仮想マシンや物理サーバーのバックアップを利用してAzureへ移行するソリューションはもちろん、クライド移行が済んでからも引き続き同じソフトウェアでバックアップ運用ができる。

 また次期バージョンでは、データをAzureに持っていきデータを保護するだけでなく、Data Integration APIを用いて持ってきたデータに対し、AIや機械学習の機能を最大限に活用できるきっかけになることが期待される。

ヴィーム・ソフトウェア クラウド&サービスプロバイダー 日本担当シニア・マネージャー 杉山達朗氏
ヴィーム・ソフトウェア クラウド&サービスプロバイダー 日本担当シニア・マネージャー 杉山達朗氏
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 杉山氏に紹介され登壇した日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 ISVビジネス技術本部 本部長の佐藤直樹氏は、「重要なのはデジタルファーストの目線で進めることで、その際には1から全てを自分で作るのではなく既にあるものを活用することです」と言う。

日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 ISVビジネス技術本部 本部長 佐藤直樹氏
日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部
ISVビジネス技術本部 本部長 佐藤直樹氏

 既に多くの人が便利に使えるパッケージがAzureには揃っており、それを自分たち用に組み合わせて使うべきだと指摘する。そのためのデジタルなプラットフォームは、Microsoftがしっかりと用意しているという。

 また「デジタル変革ではクラウドに行くことがゴールではありません。業務を通じて得た知見をいかにして新しい業務につなげていくかが重要です」と佐藤氏。デジタルなプラットフォームにシステムを載せることで、デジタル変革のためのデータ活用が容易に行えるようになる。Azureにシステムを載せればAIや機械学習を活用したデータ分析が簡単に行え、それによりビジネスの傾向を把握し事前に対策をとることもできる。

 さらにMicrosoft Office 365やMicrosoft Teamsを活用すれば、社内外のコラボレーションが実現され、アイデアを共有し新しいビジネス生み出すことも可能となる。これらをきっかけにデジタル変革を小さく始め、うまくいけばそれを横展開する。その際には、Azureのインフラを使えば容易に拡張できるのだ。

 本格的にクラウドでデジタル変革を行う際には、クラウドプラットフォームの信頼性も重要となる。Microsoft Azureは世界各国のコンプライアンス要件を満たす規制に準拠しており、本番ビジネスを展開する際にも安心して使える。日本でも「CS Mark(クラウドセキュリティ・マーク)」のゴールドをいち早く取得し、安心して本番のビジネスで活用できる。

 ところで、既存環境をクラウドに移行させデジタル変革に取り組むには、オンプレミスからクラウドへ「リホスト」し、次のステップでプログラムなどを「リファクタリング」する。そこからクラウド上で「リアーキテクト」し、さらに「リビルド」するのが一般的だろう。

 しかしながら、このステップを順に進めるのは得策ではないと佐藤氏は指摘する。むしろ一気にリビルドすることを考える。それが難しければリアーキテクト、リファクタリングと順に戻り、どこであれば実現できるかを考える。

 オンプレミスの仕組みをリホストしクラウドに載せることから始めてしまうと、往々にしてそれで満足し先に進まない。目的はクラウドに載せることではなく、デジタル変革を行うこと。なので難易度はもっとも高いが、リビルドを行い変革を起こすことを最初に考える、それが重要だと佐藤氏は改めて指摘した。

 クラウドに移行してシステムのリビルドをする際には、ローコードあるいはノーコードでアプリケーションを作れる環境も必要になる。それがあれば、新しいアプリケーションを素早く試すことができ、失敗すればやり直すことも容易だからだ。そのためにMicrosoftではMicrosoft Power Platformを提供している。

 その中のPower Appsを使えば、Webベースのインターフェイスを使いローコードでアプリケーションの開発が可能だ。スクリプト系言語を用い、あらかじめ用意されている入出力コントロールなどを使えば、様々なデータソースに接続し得られるデータに、AIや機械学習機能を適用するアプリケーションが簡単に構築できると佐藤氏は説明した。

Azureと組み合わせてデータを活用するためのVeeamの提案

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 杉山氏も「クラウド移行後にローコード、ノーコードでアプリケーションを構築できれば、ビジネス部門の人たちでもAI技術などを使えるようになるでしょう」と言う。

 様々な人がクラウド上でデータ活用する時には、まずは利用するデータを確実にバックアップし、管理する必要がある。そのためのVeeamの提案として、まずはAzure環境に効率的にデータを持っていくVeeam Cloud Tierを紹介した。これを使えば、アーカイブを管理する場所としてAzureが利用できる。そしてAzure BLOBにデータを置くことで、単にデータを保管するだけでなく新たな活用のためのデータソースにもできる。

 もう1つの提案が、Veeam Recovery to Microsoft Azureだ。これはオンプレミス含むカスタマープレミス上で取得されたバックアップを使い、数ステップでシステムをAzure上でリカバリする機能だ。「手動で切り替える簡易的な災害対策サイトとしても使え、本番のクラウド移行はもちろん、まずはクラウド移行を簡単に試しうまく動くことが確認できたら移行するといった使い方もできます」と杉山氏。

 そしてOffice 365上の企業データの管理はもちろん、その利活用のためのソリューションとして紹介したのが、Veeam Backup for Microsoft Office 365だ。Office 365のインフラ環境の保護はMicrosoft側で行われる。しかしサービスの上にあるデータに対する管理や保護の責任は、ユーザー側にある。そのため、たとえば人のオペレーションミスなどでなくなったデータの復旧や、監査などのために情報を保管し必要なものをすぐに取り出したいといった要望には、ユーザー側で対処しなければならない。

 これらの要求に応えるのがVeeam Backup for Microsoft Office 365で、ポイントインタイムでOffice 365のデータを世代管理できる。世代管理されたデータを使って過去と現在の状況の比較や、監査に必要な情報を迅速に取り出せる。

 さらに杉山氏は次期バージョンに含まれる現在ベータ版の機能ではあるが、Data Integration APIも紹介した。このAPIを利用すればバックアップデータの中を、サードパーティのツールなどに参照させることができる。これらの機能は、PCI-DSSやGDPR等のコンプリアンス対応や、今後はクラウド上でのさらなるデータ活用につながるものとなる。

 最後に古館氏が、「Veeamの技術は基本的にはバックアップですが、それをクラウド・データ・マネジメントにまで拡張しています。これをによってVeeamは、企業のデジタル変革を支援する会社になります」と言い、VeeamON FORUM Tokyoの全てのセッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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