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週刊DBオンライン 谷川耕一

ビッグデータにはもう幻滅?ガートナー調査にみる、日本企業のビッグデータに対する意識

「ビッグデータ」という言葉、そろそろ食傷気味という読者も多いのでは。そんな中、ガートナー ジャパンが「国内の企業ユーザーのビッグデータに対する意識に関する調査結果」を発表した。この中で、2015から2017年にはビッグデータが新たな常識になると予測。また、ビッグデータは、ガートナーのハイプ・サイクルにおける「幻滅期」に入ったとも指摘している。

 

ビッグデータはハイプ・サイクルの「幻滅期」に

 幻滅期という言葉は、ビッグデータソリューションが終わりを告げるようにも感じさせるが、市場普及率が15から20%になり安定期に入ることを意味する。ここで言うハイプ・サイクルの「ハイプ」とは「過度の期待」のこと。なので、過度の期待の時期が終わりを告げ、安定期に入っていくと理解すればいいようだ。

 2012年11月にガートナーが実施した国内の市場調査において、ビッグデータをまったく知らないという企業は大幅に減少しており、企業規模の大小に関わらず過半数がビッグデータを「IT業界のはやり言葉として冷静に見ている」という結果が出ている。この認知度の向上は、ベンダーなりの積極的な情報発信の成果だろう。一方で、企業側では、ビッグデータに過度な期待はすでにしていないともガートナーは分析している。

 ガートナーのリサーチ バイス プレジデントの堀内秀明氏は、「ビッグデータに関しては、大量かつ多様なデータを比較的低いコストで処理できるテクノロジーが、多数市場に登場してきているのもまた事実です。上記の調査で関心があると回答した企業については、是非とも具体的な検証プロジェクトを立ち上げ、組織的な情報活用力の向上に着手していただきたい。また、まったく関心がない、あるいは、IT業界のはやり言葉として冷静に見ていると回答した企業においても、新たなテクノロジーやデータを活用するにはどのようなスキルが必要であり、その結果どのような効果が得られそうなのかを見極めた上で、自社における取り組みの要不要についての結論を出していただきたい」と述べている。

 これは、企業の受け止め方によりビッグデータへの対処方法が異なり、他社動向に戸惑うことなく、自社の方向性については冷静に考え対処すればいいことになる。そういう意味では、ベンダーにとってもユーザーにとっても、これからがビッグデータというソリューションの本番となりそうだ。個人的に、その際のポイントはビッグデータを活用することで、なし得たい目的の部分と、ビッグデータの普及により発展したテクノロジーの部分は分けて考えるべきということ。目的を達成する方策は、必ずしも新しいビッグデータのテクノロジーとは限らないし、逆に新しいビッグデータのテクノロジーは必ずしもベンダーなりが発しているようなことだけを解決するものではない。目的のための手段を見極める目と、手段を有効に活用できるスキルという2つが必要だ。

谷川出演予定のイベントなど

 さて、ビッグデータはこれからが本番になるわけだが、そうなるとビッグデータ用のテクノロジー、たとえばHadoopなどのNoSQLなどが一躍脚光を浴びることになるのだろうか。たしかに、これら新しい技術の利用は今後活性化するはずだが、それにも増して旧来のリレーショナルデータベースの世界が再び重要視されそうな予感がしている。多くのNoSQLデータベースがSQLでのアクセス機能をサポートしたり、逆にリレーショナルデータベースでkey-value型のデータを扱えたり、リレーショナルデータベースとHadoopなりの連携ソリューションが多数登場していることからも、これは予測として間違っていないだろう。

 実際にビッグデータに関連する取材をしていると、使ったことのないNoSQLを新規で導入するよりも、使い慣れたリレーショナルデータベースでやったほうがいいという意見はよく耳にする。もちろん、やろうとしていることのために必要なデータの量や扱うデータの種類などにより、選ぶべきデータベースは異なるのは当然だ。

 1つ言えるのは、ここ最近まで、データベースはITシステムの中ではインフラの1要素であり、あまり表には出てこないものになってきていた。それがビッグデータというキーワードが登場してから、データベースを主役にした話題が増えているのは事実だろう。リレーショナルであれNoSQLであれ、ビッグデータ時代にはデータベースが再び注目のプレイヤーとなっている印象は強い。

 というわけで、ここ最近のこの動向を踏まえ「ビッグデータ時代にますます重要性を増すDBMS」と題し、講演を行うことになったのでお知らせしておく。5月24日金曜日の午後に東京・新宿で行われるSCSK主催、Oracle協賛のMySQLに関するセミナーの基調講演だ。内容的には、各種取材の中で見えてきたビッグデータ時代のデータベースの動向をお伝えし、ビッグデータ時代にエンジニアや情報システム部門の人たちが、データベースというものをどう捉えていけばいいのかを考えるヒントをお伝えする予定だ。アプライアンスやフラッシュストレージなど、最近話題のテクノロジーについても言及するつもりだ。

 もう1つ、イベントの情報を。こちらは、インサイトテクノロジーが大阪で開催する「db tech showcase 大阪 2013」だ。昨年、同イベントを東京で開催した際に、国内外のデータベースベンダーの製品担当者を一堂に集め、日々直面している案件の現場でどんなやりとりがなされているのか、その本音トークのバトルセッションを行った。今回それと同様なもの、いやさらにパワーアップした拡大版を大阪で開催することに。なんと、5月29日から3日間のイベントの初日、それも基調講演枠がこのバトルトーク・セッションなのだ。今回も不肖DB Onlineチーフキュレーターの谷川が、ステージに登場する一癖も二癖もある面々が、暴走しすぎないようコントロールする役を仰せつかった。

 データベース業界の現場では、日々どんなバトルが繰り広げられているのか。普段ベンダーからはきれい事しか聞くことができないが、実際のところはどうなのか。各ベンダーの製品の、本当の強味はどこにあるのか。もちろん各社が自覚している弱味につても、本音のところを披露してもらう予定だ。当日のセッション会場でしか聞けない話が多数飛び出すはず。こんな機会は滅多にないので、お近くの方は是非とも大阪の会場まで脚を運んで欲しい。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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