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あのMr.HANAのSAP馬場さんが今度はMr.クラウドになる

先日都内で行われたイベント「AWS Summit Tokyo 2013」は、大盛況だったようだ。初日の受け付け大渋滞の様子は、多くの友人がツイートしていたので、参加しなかった人も盛り上がりの様子を垣間見たのでは。自分もあいにく他の予定があり参加できなかったが、東京リージョンでクラウドデータウェアハウスのAmazon Redshifが利用できるようになるとの発表もあり、この辺りの話題については追い追い取材しフォローしていきたいと思う。

今年はクラウド、クラウド、クラウドで行きます!

SAPジャパン代表取締役社長の安斎 富太郎氏
SAPジャパン 代表取締役社長
安斎 富太郎氏

 そんなこんなで、クラウドはバズワードの域を超え、確実に定着しつつあるようだ。そのクラウドの大きな波に乗ろうとしているのが、SAPだ。SAPは、クラウドビジネス戦略の発表会を開催、新たにクラウド専門部隊を発足し国内でも本格的にクラウドビジネスに注力する。そのSAPだが、ワールドワイドでは、すでにNo1のクラウドベンダーだとSAPジャパン代表取締役社長の安斎 富太郎氏は言う。すでにSAPには世界でクラウドに関する売り上げが11億ドル以上あり、2900万を超えるユーザーがいる。

 クラウド、モバイル、そしてSAP HANAによるインメモリにイノベーションといった3つの領域に注力するSAP。それぞれの分野が大きく伸びているが、その状況は日本におけるビジネスでも同様だ。これは、SAPがこれらの領域で強いだけでなく、「世界中がまさにその方向に向かっている」からだと安斎氏は言う。そしてこの3つはそれぞれに関連しており、クラウドを活用する1つのシーンを形作るのがモバイルであり、クラウドを構成する基盤となるのがHANAである。

 安斎氏は、また「SAPはまさにクラウドをやるべき会社へと変化している」と言う。これは、買収したSuccessFactorsのクラウドネイティブなソリューションを実現したDNAがあること。また、オンプレミスのソリューションから100%クラウドに移行したAribaというDNAもある。さらにそこにインメモリのHANAという強力なクラウド基盤がある。これら3つの要素を持っている企業は、他にはない。なのでSAPが現時点で、クラウドに最適な会社だと言うのだ。「今年は徹底的にクラウド、クラウド、クラウドで行きます」と安斎氏は力強く発言する。

ついにMr.クラウドに!SAPの馬場渉氏
ついにMr.クラウドに!
馬場渉氏

 その安斎氏の直下で4月1日から活動を始めたのが、クラウドファースト事業本部。この組織の牽引役に抜擢されたのが、あのMr.HANAの馬場 渉事業部長だ。「4月にHANAに別れを告げクラウドに専念することにしたら、5月にはすべてのクラウドサービスの基盤をHANAにするという発表となり、5月にはHANAが戻ってきた感じです」と馬場氏。ちなみに、この「クラウドファースト」というカタカナ表記の部署名、英語では「Cloud First, Cloud Fast」となっている。これはCloud Firstでイノベーションを起こすようなアイデアを生み出すスピードを、Cloud Fastでそのアイデア実装するスピードを提供するという意味が込められている。

 ところでSAPは、2007年から2010年にかけすでにクラウドビジネスに参入していた。とはいえ当時は、「クラウドの本質を見誤っていました」と馬場氏は言う。それを反省し、全面的に戦略を見直し、2011年から2012年にかけてはクラウド関連の大型の買収も行い、いまは全社員がクラウドにシフトしようとしているとのこと。

 「クラウドは、従来のエンタープライズITの技術とかから理解しようとすると難しい面もあります。利用者主導で考えなければなりません。この利用者主導というのは、じつはSAPがもともと強いところでもあります」(馬場氏)

 もともとSAPのビジネススタイルは、顧客とはITの話をするのではなくビジネスの話をすると言うものだった。業務部門のユーザーと業務の話ができる。それこそが他のITベンダーではなかなか難しい、ERPベンダーとしてのSAPの強さでもあった。クラウドの世界になると、ITの複雑さはクラウドが排除してくれる。それによりスピーディーに業務を行えるようになる。これは、まさに業務部門主導で進めることであり、SAPにはかなり有利なところなのだ。

 今後は、グローバルで展開しているクラウドサービスすべてを、日本でも展開する。これは単純に日本語化するだけでなく、日本の商習慣であるとか、日本ならではの業務の進め方といったことにも対応できるように、きちんとローカライズをするということ。さらに、オンプレミス製品の開発についてもクラウド対応を優先して行う。つまりは、まずはHANAに対応するということに。これらを聞いても、SAPがかなりの本気モードであることが分かる。さてさて、これは本当に馬場さんが、Mr.クラウドと呼ばれるようになる日も近いかな。

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クラウドと農業が出会うと新たな可能性が生まれる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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