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週刊DBオンライン 谷川耕一

SAP HANAは速いだけじゃないんです/HPはソフトウェアにさらなる投資をする


あっと言う間に2013年も折り返し点を過ぎた。半分過ぎて今年のプランを見直さなきゃ、なんていう人もいるだろう。DB Online的には年初のプランというわけではないが、下期で新たにDB Offlineなるものを企画したいなと思っている。DB Onlineの取材記事に登場するあんな人やこんな人を呼んで、オフラインで谷川が話を訊くのだ。できれば記事にはなかなかできない裏話的なことを、多いに語ってもらう機会を設けられないかと。秋くらいまでには、「第1回DB Offlineミーティング」が開催できればなぁ。

SAP HANAは速いだけじゃないんです

 さて、先週はOracleがクラウドに関する協業を相次いで発表し、そのすきにOracle Database 12cが正式リリースとなるなど話題が満載だった。これらについてはこの週報ではなく、別途記事で紹介、考察したいと思う。

 そんな慌ただしい中、SAP HANAの最新版SP6の発表もあった。新製品の内容については、加山さんが記事にしてくれているのでそちらも参照して欲しい。今回のSP6の印象は、速さを売りにしていたHANAが、いよいよ本格的に企業に受け入れられるよう変化を見せたバージョンだなというもの。速さの追求は一段落し、むしろ運用管理のしやすさ、開発のしやすさに進化のポイントが移行し始めた印象を受けた。

 これまでは、インメモリーデータベースで、既存のOracleなりのリレーショナルデータベースを置き換えることができるのだ、これこそが次世代のデータベースだと言わんばかりの、勢いのあるメッセージが多かった。とはいえ、それが仮に可能だったとしても、すべてをHANAにするというのは、顧客にとってあまり現実的とは言えないだろう。であれば、既存の環境の中に、新しいHANAをスムースに取り入れてもらうようにする。そのための進化が今回のSP6なのではと思うところ。

馬場さんから引き継いで新しくHANAの顔となった SAPジャパンビジネスソリューション統括本部 リアルタイムプラットフォーム部 シニアマネージャー 大本修嗣氏
馬場さんから引き継いで新しくHANAの顔となった、
SAPジャパンビジネスソリューション統括本部
リアルタイムプラットフォーム部 シニアマネージャー
大本修嗣氏

 中でもスマート・データ・アクセスは、その象徴的なものだろう。これは、いわゆるデータベースの仮想化機能だ。これまでも、データベースの仮想化の機能は世の中にあったが、柔軟性面では評価に値したが、処理性能的には今ひとつだった。今回のスマート・データ・アクセスでは、あくまでも接続先はHANA。高速に処理したいものはもちろんHANAに置き、アーカイブ的なものはハードディスクベースのデータベースに置くというように、データベースの中で適切なデータ配置をとることができる。

 そしてここでは、先日発表されたSybase IQの存在が重要だ。データベースサイズが大きく、さらに成長が続くようなビッグデータを扱いたければ、メモリーベースのHANAではコストは跳ね上がりかねない。拡張性についても、それほど柔軟とは言えないだろう。そこにHANAよりは遅いけれど、データベースとしてはかなり速いSybase IQを融合することで、拡張性を安価に手に入れられるようになる。SAP的にはHANAとSybase IQの両方があってこその、リアルタイムデータ処理基盤の完成というわけだ。

 もう1つ、今回の進化で注目なのは、信頼性、可用性の向上部分だろう。まだまだこれらの領域は、実績あるOracleやSQL Serverなどには及ばない部分も多い。しかしながら、これらがしっかりしてこないと、特に日本の保守的な顧客からなかなか採用されない。今後は、よりいっそうHANAの信頼性、可用性の向上に、SAPも力を入れてきそうだ。速さに加えこれらの機能が市場でも評価されるようになると、本格的にHANAのデータベース市場でのポジションも大きく前進しそうだ。

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HPはソフトウェアにさらなる投資をすることになる

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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