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「握手する姿は想像つかない」―オラクルとマイクロソフトのクラウドサービス提携の裏にあるもの


今後もより親密度が増しそうなOracleとSalesforce.com

 対してSalesforce.comとOracleの提携は、両社のより親密な関係を明らかにしたものだ。たしかにここ数年は、Salesforce.comのCEO マーク・ベニオフ氏とOracleのCEO ラリー・エリソン氏は、ことあるごとに互いを酷評していた。偽物のクラウドとまで言ってのけたマークをラリーが許すのか。さすがにあり得ない、と思う人も多いかもしれない。とはいえ、舌戦はあくまでも表面的なものだった。今となっては、あの激しいやり取りも出来レースだったのかも。両社が激しくやり取りすればするほど、メディアではそれを大きく取りあげる。あれは互いに存在をアピールする、恰好のステージだったとも言える。

ラリーはマークを許すのか?
ラリーはマークを許すのか?

 実際、マークはOracle時代からラリーのお気に入りだった。Oracleでの終盤、彼はつねに新しいチャレンジングな製品担当を任され、たとえその製品が市場で成功せずバージョン1で終息しても、また新しいチャレンジを任される。そうやって彼がOracleで積んだ経験から生まれたのが、Salesforce.comのサービスだとも言える。

 今回の提携では、全面的にOracleのテクノロジーをSalesforce.comのサービスインフラに採用する。今もSalesforce.comではOracle Databaseを大規模に利用しているので、それほど驚くことではないのかもしれない。多くの顧客を抱え、止めることのできないサービスを提供している以上、いまさら中核となるOracleをやめ、他に乗り換えるのは簡単ではない。Oracleに払う莫大なライセンス費用の問題には、深く提携することで対処したことに。

 両社の親密度をより感じるのは、お互いにクラウドサービスを利用し合うと表明をしたこと。さらにラリーは、Salesforce.comと自社のクラウドサービスをネイティブに連携させることも明らかにした。

 「今後両社はコラボレーションを通じ、Salesforce.com社の市場をリードするCRMアプリケーションと弊社のクラウドアプリケーションのネイティブな連携に向けて共同で開発作業を進めていきます。このように製品を連携することで、ユーザーの皆様はSalesforce.comとOracleの両方からクラウドアプリケーションを購入することができます。連携したこれらのアプリケーション間では、データが自動的に共有され、連携して機能します。したがって、両社共同のユーザーの皆様はより短時間、より低いコストで導入することが可能になります」(エリソン氏)

 両方のクラウドサービスで、データが自動的に共有され連携するところは、今後かなり重要なポイントとなりそうだ。Salesforce.comが不得意なハイブリッドクラウドも、これをうまく利用すれば実現できるかもしれない。実際にこれをどんな仕組み、技術で実現するのか、まだこれから先の話ではあるがかなり興味深い。

 さらに今後の展開で気になるのが、現状のアプリケーションレベルでマルチテナント性を確保しているSalesforce.comのサービスが、最新版のOracle Database 12cが提供する機能を用い、データベースレベルでマルチテナント性を確保するようになるかということ。ここはまさにラリーが、Salesforce.comのサービスの脆弱性として攻撃していたポイントだ。さらなるインフラの効率化の面からも、12cの新機能は最大限に使いたいところだ。とはいえ、この移行はアーキテクチャの変更を伴うので、そう簡単ではない。実現しようとすれば、数年におよぶプロジェクトになるだろう。

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じつはラリーの後継はマーク?

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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