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「Twitterのすべてのデータを扱えるのは、世界でGnipとTwitterの2社だけ」―企業のソーシャル活用を支えるGnipをご存じですか?

2014/05/13 11:00

 ビッグデータを活用して売り上げを向上しろ―そんな業務命令を上司から受けても、自社内にはビッグデータと呼べるようなデータはないというIT担当者もいるかもしれない。そんな際に目を付けるのが、facebookやTwitterなどのソーシャルネットが生み出すビッグデータだ。ソーシャルメディアのデータを分析すれば、何かが見えてくるのではと考えるIT担当者も多いかもしれない。

ソーシャルデータを企業が扱うための3つの要件

 とはいえ、そんな発想でTwitterのつぶやきなりを漠然と眺めても、すぐに役立つ知見は見つからないだろう。これをうまく活用するには、じつはコツがいる世界なのだ。とはいえソーシャルネットワークは世の中の状況をリアルに映し出す鏡の1つとも言われている。そこから読み取れる変化に合わせ、タイムリーに自社ビジネスのやり方を変えられればビジネスへの好影響も期待できるはずだ。

 Twitterのつぶやきを分析するクラウドサービスは、いまやいくつものベンダーが提供している。そんなサービスを支えているのが、Gnipという企業の存在だ。

 「Gnipは世界最大のソーシャルデータのプロバイダーです」と語るのは、Gnip CTOのジャド・ヴァレスキー氏だ。ソーシャルデータを企業が利用しようとする際には、サステナビリティ、信頼性、データの完璧性という3つの要素が必要となる。これはサービスとしての継続性を確保し、一貫性のあるアクセス方法でデータを取得できるようにすること。さらに、すべてのデータの中から必要な情報を容易に取り出せるようにすることだ。

ヴァレスキー氏
ヴァレスキー氏

 「Twitterのすべてのデータを扱えるのは、世界でGnipとTwitterの2社だけです。両社だけが100%過去のデータにもアクセスできます」(ヴァレスキー氏)

 もちろんGnipはTwitterだけでなく、40以上のソーシャルアクティビティに対応している。それらでは、毎秒150億件を超える莫大なソーシャルネットワーク上のやりとりが行われている。扱うデータとしてはリアルタイムなデータと蓄積されたヒストリカルなデータがある。Gnipはビジネスを始めた当初からリアルタイムなストリームデータを扱っており、ビジネスとしてはこちらが主流だ。

 現在は蓄積されたデータも増えたことからヒストリカルなデータも提供し、これら両方をビッグデータとして活用できるようになっている。

ソーシャルデータをフィルタリングして付加価値を付ける

 Gnipでは、ソーシャルデータがシステムを流れるところで付加価値を付けている。言語的な分類や場所の特定が可能であり、さらにジオコードを追加するサービスもある。つぶやきの中の短縮URLを元のURLに戻すといったことも可能だ。こういった付加価値を付けることで「Gnipはサービスの信頼性を高めています」とヴァレスキー氏は言う。

 「数年前であればソーシャルネットワークのすべてのデータを受け取れば良かった。しかしいまは、それができません。いまや、すべてを格納して分析することはできないのです。そのためにGnipは適切なフィルターを提供しています」(ヴァレスキー氏)

 Gnipはこのように企業がソーシャルデータを活用するために必要な、インフラのサービスを提供している。しかしながら、Gnipがビッグデータを活用したいユーザー企業なりと直接契約することはない。実際のビッグデータ活用では、さまざまなパートナーがGnipとユーザーの間に入ることになる。顧客に直接の価値を提供するのはIBM、Pivotal、Microsoft、Oracle、セールスフォース・ドットコム、アドビシステムズなど、数多くのGnipのパートナーなのだ。日本ではホットリンクがGnipと積極的に協業しており、ソーシャルデータを活用するサービスを展開している。

実際のビッグデータ活用では、さまざまなパートナーがGnipとユーザーの間に入ることになる
実際のビッグデータ活用では、さまざまなパートナーがGnipとユーザーの間に入ることになる

 複数のソーシャルアクティビティのデータを、一元的なアクセス方法で付加価値を付けて提供する。このサービスをヴァレスキー氏は「ソーシャルカクテル」と表現する。

 「飲み物には人によって好みがあります。組み合わせによって、好きな味が決まってくる。そこに完璧な味はありません。Gnipのサービスも、組み合わせはさまざまです。Twitterは反応が早くブログ系などもっとゆっくりしたプラットフォームもあります。これらはどっちが良いか悪いかではありません」(ヴァレスキー氏)

 速さ以外にも、コンテンツの深さという軸もある。浅いのはTwitterで、深いのはYouTubeやTumblr、WordPressなどだ。速さと深さという2軸を組み合わせることで、新たな知見が得られることになる。

 実際のソーシャルネットワークのビッグデータ活用例としては、広報などの部隊が発表なりをした際にその反応をすぐに知るための利用がある。調達に関わるサプライチェーンの領域でも、製品なりの評判をすぐに知りたいという要望を持っている。一方で、製品開発などの部隊は、深い洞察を求めている。なので時間はかかってもいいのでヒストリカルなデータも利用し高度な分析をすることになる。カスタマーサービスの部隊では、速さも深さも求める傾向がある。

 「デジタル化した情報をアグリゲートすることで、人々が何を考えているかが分かります。Gnipのサービスは、金融、広告代理店などが数多く利用しています。その目的はBIやソーシャルメディアモニタリング、プロフェッショナルサービス、さらには研究といったところです」(ヴァレスキー氏)

Twitterとの融合で起こるであろう新たな動きには注目

 Gnipのインフラを使ってソーシャルモニタリングのサービスを提供するパートナーがBrandWatchやアドビシステムズだ。MicrosoftやIBM、PivotalなどはBIのサービスを提供するパートナーである。Gnipはあくまでも各種ソーシャルアクティビティのデータを企業が扱いやすいようにするインフラ提供にこだわっている。なので、ユーザーが知見を得るところはパートナーに任せており、ここにはすでにエコシステムができあがっているのもGnipのビジネスの特長だろう。

 さて、このGnip社だが、じつはTwitterによる買収が進められている。買収完了後には、各種ソーシャルメディアデータを企業が扱うためのインフラサービスを、Twitter自身が持つことになる。Twitterのつぶやきとそのほかのソーシャルデータを時系列で重ね合わせるなど、Twitterのデータ自体の価値を高めて新たな収益サービスを見いだしていくことになるのだろう。ソーシャルメディアのビッグデータを自社ビジネス拡大のために使いたい。そう考えている人は、Gnip統合後のTwitterの動きには注目している必要がありそうだ。



著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにし...

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連載:週刊DBオンライン 谷川耕一

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