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クラウドの将来像は本当にハイブリッドなのか?

2015/05/14 14:50

 先週は「EMC World 2015」の取材で米国ラスベガスに行っていた。そのときの話題で興味深かった2つのことについて今週は取り上げる。1つ目がクラウドの話題。現状、Amazon Web ServicesやSalesforce.comなど「パブリッククラウドだけ」のサービス展開ベンダーを除けば、みな「ハイブリッドクラウド」を提唱している。すべてをパブリッククラウドに持って行くのではなく、セキュリティリスクやコンプライアンスの制約などを理由にデータやシステムを手元に置いておきたい。あるいは、莫大な量のデータがありそれをインターネット越しにタイムリーにパブリッククラウドへ持って行くのは、効率が悪くコストが高くなる場合もあるからだ。

第3のプラットフォーム時代に鍵を握るのはアプリケーション開発者、だからベンダーは開発者に歩み寄る

 EMCがハイブリッドを提唱する理由は、パブリックとプライベートでは、サービスレベルが異なるからだ。より高いサービスレベルを求めるデータやシステムは、パブリックよりもプライベートで運用すべきだという。なので、両方を組み合わせて活用するハイブリッドクラウドという環境は必然であり、ハイブリッドクラウドはパブリッククラウドへ行くための途中ではない。将来はハイブリッドであるというわけだ。

 現時点で、この考え方を否定するベンダーは少ないだろう。Amazon Web ServicesやSalesforce.comも、外部システムと連携するAPIなりを用意しているわけで、自分たちの環境だけですべてが完結するとは思っていないはずだ。

 ハイブリッドクラウドは、たんにパブリックもプライベートも両方使うだけではない。先週のEMCのイベントでも指摘されていたが、相互に連携し柔軟に移行できることがハイブリッドクラウドの必要条件となりつつある。この柔軟な移行を実現するのが、VMwareなどが先行してきた仮想化の技術だ。

 そして、将来的なハイブリッドクラウドの姿があるからこそ、EMCはいまプライベート環境のための強力なハードウェア群を提供している。それが今回発表されたオールフラッシュストレージ「XtremIO」のハイエンド版「The Beast」であり、コンバージドインフラに無限の拡張性を提供すると言う「VxRack」といった製品だ。

 EMCの主張ではあるが、たしかに、こういった高性能で高拡張性のあるハードウェアをオンプレミスに導入したほうが、数年間の利用ではパブリッククラウドよりもコスト性能面では優れる場合もあるだろう。

 ユーザーが考えるべきは、パブリックかハイブリッドかの2者択一の選択ではなく、自分たちの実現したいデジタルな世界に最適なITプラットフォームは何かだろう。正解が1つだけあるわけではない。少なくとも現時点ではさまざまな形がある。重要なのはユーザーに選択肢を与えることだ。EMCはVMware、PivotalとともにFederationでハイブリッドクラウドを提供すると表明している。3社のミッションは個別に存在するが、Federationの哲学は1つだと。それが選択肢を顧客に与えベンダーロックインしないことだ。

 個人的には、将来のクラウドはハイブリッドというのは、少し違うかなと思うところもある。それは法規制などの問題はともかく、サービスレベルの違いなどはやがて技術的に解決できると思うからだ。中小企業のITプラットフォームならば、むしろパブリックのほうがサービスレベルが高いなんてことは今や珍しくない。

 大量データの問題も、そもそものデータ発生源がパブリッククラウドに移行すれば、大量データの移動コストの問題も解決できる。ハイブリッドは当分の間の理想像かもしれないが、その先にはやはりパブリッククラウドがあるのではないだろうか。

 いや、もしかしたらパブリックとは違うかもしれない。パブリックでもプライベートでも、ハイブリッドでもない「ただのクラウド」かもしれない。各クラウドの違いを一切意識する必要のない環境。このデータは重要だからプライベートに置こうなんて考えずとも、重要なものは雲の向こうで必要なセキュリティレベルと信頼性のもとに管理される。その際にユーザーは、どんなプラットフォームで動いているかなんてことは、一切気にする必要がない。そんな時代になるのは、5年後は無理でも10年後くらいだったりするのだろうか。

EMC Federationのハイブリッドクラウドの構成イメージ
EMC Federationのハイブリッドクラウドの構成イメージ

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにし...

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連載:週刊DBオンライン 谷川耕一

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