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Oracle CloudならSoEはもちろんSoRもカバーする

2015/07/30 14:00

 クラウドではIaaSが定着した。新規にサーバーを用意するなら、オンプレミスと同時にそれがIaaSで賄えないかを考えるのは当たり前だ。日常的にさまざまなアプリケーションを開発しているSIやソフトハウスなどの企業でも、自社内開発用サーバーをすべて撤去し全面的にIaaSに移行したなんて話も耳にする。

PaaSなら5ステップ30分でアプリケーション開発環境が用意可能

 一方でPaaSはどうだろう。誰もがPaaSを利用しているという状況にはない。PaaSだけでアプリケーション開発をしている開発会社はまだ少ないだろう。とはいえ、セールスフォース・ドットコムのForce.comやサイボウズのkintone上での開発を主とするクラウドインテグレーターも徐々に増えている。さらにはIBMもBluemixで開発者へのアプローチを強化している。

 そんな中、PaaSでは少し遅れて登場した感があるOracle。前回はSaaS関連のサービスの発表を国内で相次いで行ったが、先週はPaaSに関する戦略説明会を開催した。日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原 博茂氏は、グローバルでOracle Cloudの新規受注金額が対前年比で200%だったと言う。日本でもPaaS、SaaSの成長率は前年比で440%だと。もちろん母数がまだ小さいであろうから、成長率も高くなるのは必然。とはいえクラウドビジネスはストック型、成長率の高さは時間経過と共にビジネスボリューム拡大に確実に寄与する。

 日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEO 杉原 博茂氏
日本オラクル
取締役 代表執行役社長 兼 CEO 杉原 博茂氏

 現状、ワールドワイドでOracle Cloudの成長を牽引しているのはおそらくSaaSだろう。PaaSはこれからの部分であり、SaaSを補完するところでの成長が期待される。そんなPaaSの良さはアプリケーション開発の敷居を下げられる点だと杉原氏。オンプレミスであればアプリケーションの開発を始められるまでにマシン導入から環境セットアップまで90ステップ余りで5、6週間かかるものが、PaaSならばほんの5ステップ、最短30分で完了する。この俊敏性こそがクラウドの力だという。

Oracle的に見れば既存のIaaSはSoRを軽視している

 すっかりOracleのクラウドの顔となった副社長執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括の三澤智光氏。既存のIaaSはSystem of Engagement(SoE)のプラットフォームで主に利用され、企業が抱えている基幹系システムのようなSystem of Record(SoR)のプラットフォームとしては積極的に利用されていなかった。そういう傾向があったからか「既存のIaaSのベンダーは、SoRを軽視している傾向があります」と語る。

 日本オラクル 副社長執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 三澤智光氏
日本オラクル 
副社長執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 三澤智光氏

 Oracleのクラウドは、SoRの世界にも注力する。SoRはもともとオンプレミスでOracleが得意としてきた世界であり、それをそのままクラウドにも展開するのだ。オンプレミスでもクラウドでも同じアーキテクチャでサービスを展開する。結果的にOracle Cloudでは包括的なクラウドサービスを用意しており、それでSoRもSoEもサポートすると三澤氏は主張する。

 三澤氏は、実際にSoRの世界のシステムをクラウドに載せる際に技術者の確保をどうするのかということにも言及した。現状のIaaSを中心としたクラウドのエンジニアは、どちらかと言えばSoEの領域を得意としていてる。SoRが求める堅牢性や信頼性、可用性の確保などは得意でないかもしれない。そんな際にOracle Cloudならば、オンプレミスで培ってきたエンタープライズシステムの経験が、そのままPaaSの世界でも活かせる。

 「OracleのPaaSではSQLとJavaが使えます。なのでオンプレミスのものをそのまま持ってきやすい。これが他社のクラウドとの大きな違いになります」(三澤氏)

 もう1つの優位性が、SaaSをPaaSで拡張できる点だ。Oracle Cloudならば、一部のSaaSを除けばSaaSとPaaSは同じプラットフォーム上で動いている。OracleのSaaSでは業種業態のニーズに応えるきめ細かいラインナップを備えるが、それでも足りない部分、あるいは他のシステムやクラウドと連携したいといった要求もある。それらをPaaSで簡単に構築できる点が、OracleのPaaSのもう1つの強みだ。

 これは、ある意味先行しているセールスフォース・ドットコムとも似たアプローチだろう。SalesforceもSaaSで基本的なアプリケーションを提供し、足りない部分をForce.comやHerokuというPaaSで補う形をとる。さらには、Force.comでSaaSにはない各種アプリケーションをパートナーが提供し、それとSalesforceのSaaSを一体化して利用するエコシステムが1つの成功パターンになっている。

 もう1つOracleのPaaSのメリットはコストだと言う。IaaSにOracleのライセンスを持ち込むと、以外に高くて遅いことがよくある。Java CloudなどはTCOの面でも優位性があるという。主には管理面でのコスト削減効果が期待できると。管理面での利便性向上は、Oracle Enterprise Manager 12cを利用するのがOracleのシナリオ。R2からはオンプレミスを含むハイブリッドクラウド環境の管理もできるように拡張が施されている。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにし...

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