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アドビカンファレンスで、今さら聞けないデジタルマーケティングの基本をおさらいしてみよう

2016/03/28 06:00

 先週は「Adobe Summit 2016」の取材でラスベガスに来ていた。アドビのデジタルマーケティングに関する年次カンファレンスであり、会場では最新のデジタルマーケティング、マーケティング・オートメーションの話題が多数飛び交うセミナーが行われた。そんなイベントに参加して、いくつか気になったことを取り上げつつ、DBオンライン読者にはまだちょっと距離があるかと思われる“デジタルマーケティング”の基本についてもお届けできればと思う。

マルチチャネルマーケティングとクロスチャネルマーケティングの違い

 今回のイベントでたびたび出てくるのが、デバイスが変わっても一貫したストーリーで消費者とエンゲージメントする話題。これまではデバイスが変わると消費者に提供するストーリー、あるいはメッセージが分断されサイロ化してしまう。これが、マルチチャネルマーケティングの課題でもある。

 最近なら、レスポンシブデザインなど1つのコンテンツを作ればそれを複数のデバイスに展開できるツールも流行だ。とはいえ、コンテンツは同じでも、デバイスが変わると別のユーザーと認識してしまうのが現状。これだと、たとえデバイスに最適化された同じコンテンツを展開できても、デジタルマーケティング的には別々の顧客として扱うことになってしまう。それを避けることができたのは、FacebookやGoogleなどが提供する巨大で閉鎖的なプラットフォームを持っている企業だけだった。

 これに対しアドビが主張するのが、クロスチャネルでの一貫したマーケティングストーリーの展開だ。デバイスではなく、複数のデバイスを使い分ける人を捉える。これを実現する要素としては、まずはデバイスが変わってもそれを同じ人が利用していると技術的に認識できることだ。これを実現する方法としては、Adobe Marketing CloudのAudience Managerであり、今回発表されたDevice Co-opというわけだ。

 もう1つの要素は、クロスチャネルを前提としたマーケティングキャンペーンを設計でき、それを実行できるキャンペーン管理ツールだ。これはAdobe Marketing CloudのCampaignとなる。買収したNeolaneが中核で、急速にAdobe Marketing Cloudの他のツールと統合、連携が進んでいるようだ。まだ完全にシームレスにとは行かないものの、定評あるAdobe Analyticsなどとの連携は使い勝手がだいぶ良くなっているようだ。

 それぞれのチャネルに最適なコンテンツを提供するために利用するのが、Adobe Experience Manager。これを使うことでコンテンツに利用する画像素材などの「アセット」を効率的に管理できる。画像などをExperience Managerに登録すれば、自動でタギングしてくれるようになりアセットのメタデータを容易に設定できる。メタデータを使えばアセットを検索したり条件に応じて絞り込んだりもでき、クロスチャネルで一貫したストーリーのあるコンテンツを作れるというわけだ。

エクスペリエンス・ビジネスにおけるアドビの優位性

 アドビには、一連のエクスペリエンス・ビジネスを実現するためのもっとも完全なソリューションがあるという。顧客に一貫したエクスペリエンスを提供するには優れたコンテンツ、キャンペーンの実行、判断を裏付けるようなデータ、そしてキャンペーンの結果計測の4つの要素が必要であり、これらすべて持っているのがアドビというわけだ。

 デジタルマーケティング事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのブラッド・レンチャー氏は、今回のSummitで発表したようなものが、どんどん利用できるようになればテクノロジー面の優位性はさらに大きくなると自信を見せる。

デジタルマーケティング事業部門担当
エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ 
ブラッド・レンチャー氏

 もう1つのアドビの優位性が、アドビという企業文化だ。企業文化とは具体的に、コンテンツからのアプローチができることを指している。

 「これは他のベンダーには真似できません」とレンチャー氏。たしかにアドビにはコンテンツを作るところにCreative Cloudという大きなアドバンテージがある。この実績に追いつくことができるデジタルマーケティングのベンダーは存在しないだろう。

 3つ目の優位点としてレンチャー氏が挙げたのが数多くいる既存顧客だ。

 「デジタルマーケティングの領域で先進的なデジタルプロフェッショナルともいうべき人々が、アドビのツールをすでに使っています。その先駆者たちのコミュニティがあり、これからデジタルマーケティングを活用したい人たちは、そのコミュニティの一員になりたいと思っている。アドビはそのための交流の場を設け、彼らからも学べるような機会を提供します」(レンチャー氏)。

 このSummitもそういう位置づけとなるイベントと言えるだろう。これまでデジタルマーケティングの世界では、どちらかと言えばデータ重視でビッグデータの活用が変革の鍵となる話が多かった。それが、顧客により良い体験をしてもらうには、コンテンツやストーリーテラーが重要になるとの話は、ある意味マーケティングの本質に戻ったようにも思えてくる。

 デジタルマーケティングで成功するかどうかは、データ分析だけで決まるわけではない。消費者に感動を与え続ける必要があり、この部分はある意味「コンテンツの力」で決まり人の感情的な部分に訴えかけることにもなる。もちろん、感情に上手く訴えかけるために、施策の評価や判断、キャンペーン結果などの分析のところではデータサイエンスやAI的なビッグデータ活用を行う。アドビもそのためにデータサイエンスや機械学習には力を入れている。これは汎用的なAIを作るような話ではなく、デジタルマーケティングの領域に特化したデータサイエンスだ。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにし...

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連載:週刊DBオンライン 谷川耕一

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