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週刊DBオンライン 谷川耕一

クラウドの本命SaaS、ベンダー各社の戦略を読む―中堅中小、スタートアップ向けのサービスが充実


 ここでは何度も、クラウドの本命はSaaSだと主張している。ユーザーはクラウドを使うことが目的ではなく、便利なサービスを使いたい。もちろん、IaaSやPaaSを使って独自サービスを素早く構築する世界はたくさんある。けれども、多くの企業はすでにできあがっているSaaSの便利な仕組みがあるのならば、「作る」のではなくそれを「使いたい」はずだ。これは、手作りの独自システムからパッケージのアプリケーションに大きな投資をするようになった過去の経緯をみても明らかだろう。そして、ここにきてERPを提供するベンダーが軒並み、SaaS型のサービスに力を入れている。先日紹介したInforもクラウドのビジネスは順調に伸びている。さらにSAPもOracleもアプリケーション・パッケージのオンプレミスのビジネスは継続しているものの、マーケティング、セールス活動の中心はクラウドにシフトしているようだ。また中小企業に安価なSaaSサービスを提供しているZohoも、ビジネスは順調で元気なようだ。

中堅中小のクラウドERPを狙う、SAPの「今トク」キャンペーン

 7月21日中堅中小向けビジネスの最新動向について説明会を開催したSAPジャパン。同社のバイスプレジデントでゼネラルビジネス統括本部 統括本部長の牛田 勉氏は、中堅中小企業の顧客からSAPのBusiness ByDesignがクラウドファーストのサービスとして評価されていると言う。結果としてSAPジャパンの直近四半期の中堅中小企業向けビジネスも好調。全体の売り上げが28%成長という数字だが、これを大きく上回る実績を上げている。中でもクラウドの伸びはさらに大きなものがあるという。

SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長 牛田 勉氏
SAPジャパン 
バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部
統括本部長 牛田 勉氏

 中堅中小向けのクラウドERPのビジネスを拡大するには、全ての顧客をSAP自身が直接フォローすることはできない。なのでパートナーの存在が重要だと牛田氏は指摘する。そのために、パートナーには技術支援だけでなく営業支援策も積極的に展開している。その結果もあり2017年4月からの3ヶ月で、10社のBusiness ByDesignやHybrisなどを扱う中堅中小企業向けのパートナーが増えている。

 これらパートナーと共にSAPジャパンが取り組むのが「今トク」キャンペーンだ。これはハイエンドのエンタープライズ向け製品やサービスを展開するイメージが強いSAPとしては、これまであまりなかった形のキャンペーンだろう。今トクキャンペーンのページには、「先着10社様100万円OFF!」「本稼働後の運用保守コンサルティングを無償提供」「先着10社様限定!SAP Business ByDesignコンセプトトレーニング、無償提供」など、夏のバーゲンセールのような売り文句が並んでいる。

 中堅中小の企業では、ERPのアプリケーションが担う基幹系システムのところは、自社独自の仕組みを手間とコストをかけ作り込むよりは、すでにある世の中のベストプラクティスを活用する傾向は大手より強い。今回の今トクキャンペーンのような、クラウドERPの敷居を大きく下げるような施策は、オンプレミスのパッケージアプリケーションの更新時期が近づいている企業などにはクラウド移行を促進しそうだ。

 この動きをさらに加速するために、SAPではまずは製品のさらなる拡充をする。そして中堅中小の市場では改めてチャレンジャーの立場で、10社、20社ではなくもう1桁パートナーを増やすような施策を打っていく。それにより販売のためのタッチポイントを増やすだけでなく、SAPとパートナーが一緒になり売っていく体制を強化する。さらなるパートナーの拡充で「スケールするようなビジネスモデルにして、もっと速く、もっと安くSAPのERPを提供できるようにします」(牛田氏)

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Oracle ERP Cloudは白紙からクラウド用にリライトしたことが競合への大きなアドバンテージ

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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