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BPM Solution Forumレポート ビジネスの変化を瞬時にとらえて手を打つ~センス・アンド・レスポンド型ビジネスへ

  2009/09/29 19:00

プレッシャーやジレンマはビジネスにつきもの。それを跳ね返すには、さまざまな業務アプリケーションから取れるビジネス・イベントから兆しを検知するビジネス・イベント処理が有効だという。企業にあふれる一見なんということのない変化を組み合わせることで、無限大の価値を生み出すことが可能なこのソリューションについて、事例を交えて解説した。

ビジネスのプレッシャーをどう跳ね返すか?

 ビジネスにはプレッシャーやジレンマがつきもの。市場競争の激化、グローバリゼーション、経済危機、政権交代。事業環境が変化し続ける中で、ビジネスの進め方を改めずに杓子定規な対応に終始すれば、顧客離れや収益低下を起こしかねない。

 では、どうすればビジネスを取り巻くプレッシャーやジレンマを跳ね返すことができるのか。「その鍵はビジネス・イベント処理にある」と日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 テクニカルセールス&サービス 横谷信太郎氏は語る。

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業 テクニカルセールス&サービス
横谷信太郎氏
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 テクニカルセールス&サービス 横谷信太郎氏

解決策はビジネス・イベント処理

 ビジネス・イベントとは、ビジネス状況の変化を示すシグナル(メッセージ)のこと。たとえば、「顧客からヘルプデスクに電話が入った」「ユーザーがパスワードを変更した」などのさまざまな出来事(=事象)を指している。

 ビジネス・イベント処理は、特定のイベントが発生したときに、それを迅速に感知し、適切な対応を取るソリューションである。日々の企業活動においては、それこそ山のようにビジネス・イベントが発生している。これらの中から重要なものを自動的に拾い上げ、適切な対応をとるよう仕組み化するわけだ。

 例えば、“年齢58歳以上の顧客が、ATM Systemで50万円以上の振込手続きを行なった”という事象をイベント・パターンとして指定しておく。一方で、パターンを検知した場合に行なう対応も規定しておく。“調査室Systemに調査依頼アクションを送信するとともに、基幹ホストに取引中止アクションを通知する”といった具合だ。すると、振り込め詐欺を未然に防止する仕組みをつくることができるわけだ。

“収益の拡大”と“顧客満足度向上”を実現

 ビジネス・イベント処理ソリューションが活用できる局面は多い。横谷氏は、その一例として同社が提供するIBM WebSphere Business Eventsによる事例紹介した。

 まずは“収益の拡大”。ある欧米大手損保企業では、保険の見積もりをWebで行えるようにしたところ、たくさんの潜在顧客がこのシステムにアクセスするようになった。しかし、見積もり提供数とは裏腹に、成約にはなかなか結びつかないという悩みを抱えていた。そこで、ビジネス・イベント処理の活用に至ったという。

 “見積もり依頼があったのに、3日後も見積もり結果を確認していない”場合は、“お客さまに契約を促すE-Mailを発行する”などといった具合に、Web見積もりを適切にフォローする仕組みをビジネス・イベント処理で開発した。

 システムの実装自体は2週間程度で完了し、稼働1ヶ月で初年度に予定していたROI(Return On Investment)をクリア。また、ビジネス・ユーザーが独自に、ルールの定義・変更できるため、事業環境が変化しても迅速に対応できるようになったという。

 また“顧客満足度向上”の事例もある。ドイツのハノーバー大学病院は6000人のスタッフを擁する大規模な医療施設。毎日数万人規模で患者が訪れる同院では、医療上必要な患者の優先順位づけがうまくできず、長い待ち時間を強いてしまうという課題を抱えていた。

 ここでも、ビジネス・イベント処理が解決の鍵となった。位置情報を検知するためのGPS端末を使い、来院した患者の位置をトラッキングシステムでモニタリング。待ち時間と地図情報、病状による優先順位などとの関連づけを行った上でダッシュボードに表示できるようにした。

 医師は、システムにより提供された情報を見て、次に診察すべき患者を決定するわけだ。同システムの導入により、診察の優先順位づけが最適化されるとともに、患者の待ち時間も軽減。さらには患者の安全確保が高いレベルで行われるようになったという。

“イベントは関連づけでパワーの源となる”

 実は、ビジネス・イベント処理ソリューションは米国IBMでも導入されている。こちらは、“業務品質の改善”を目的とした活用だ。同社のソフトウェア製品の総数はエディション違いも含めると数百種類にも及ぶ。次々と新製品がリリースされる中で、一部の製品情報では整合性が取れていないというミスが発生していた。

 そこで、“製品発表日の14日前の時点で、製品ステータスがファイナルになっていないすべての製品に対してアラートを発生させる”などといったイベント処理を導入。カタログの間違いにつながるような状況を認識して抜け漏れを防ぐことにした。ビジネス・イベント処理の導入によって製品情報を統一できた結果、営業担当者が確認、訂正するといった無駄な作業が削減されたという。

 “イベントは、静かにあちこちへと受け渡されている…関連のないコミュニケーションの一部分として。それらは、偉大なパワーの源であり、関連づけがなされたとき、情報の富をもたらす”。横谷氏は、スタンフォード大学のLuckham教授の言葉を紹介。さまざまな場面で適用できるのがビジネス・イベント処理だと締めくくった。

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