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第10回 【拾】修正時の影響分析は有識者の経験やツールを駆使して入念に行う。

  2007/10/26 12:00

 保守作業において、プログラムを新設、修正する場合、その影響度の調査は念入りに行ってもしすぎるということはありません。ツールやドキュメントを駆使しながら、担当者の暗黙知も考慮しながら、慎重に事を進める必要があります。

毎年2万本のプログラム

 一つの画面の後ろに、数千本のプログラムが待ち受けている。と言ったら驚かれますか?

 損害保険、例えば自動車保険契約処理システムの契約内容チェックプログラムでは、新しく契約をいただいた自動車保険のデータを入力する時、まさに数千本のデータチェックのプログラムが動きます。町を走っている自動車には外国製のものを入れれば、実に多くの種類のものがあります。T型フォードはさすがに契約されないでしょうが、それらの自動車情報をきちんとシステムに登録し、入力された契約内容をきちんとチェックすると言えば、その複雑さがお分かりいただけるでしょう。

 自動車の種類だけではありません。自動車保険の保険料を決める要素はたくさんあり、組み合わせると天文学的数字になります。間違いなく、正しい保険料をいただいているか、チェックするためにこうした仕組みが用意されているわけですね。新しい車が発売される、新しい保険サービスが開発される都度、こういったプログラムに修正が入ることになるわけです。

 ということで、最大手の損害保険会社では、勘定系といわれる保守本流の業務システムについてだけでも、毎年新設、修正あわせて本番移行するプログラムが2万本程度発生する状況になっています。ちなみに、その中で修正の占める割合は80%程度です。残りの20%が新設ということになるのですが、しかし、この新設プログラム群も大きく見ると、例えば新商品の追加、特約の新設といった、既存システムの機能拡張追加がほとんどであり、新設といっても実質的には既存のシステムの保守・拡張といってよいでしょう。

 いまや、損害保険業界だけでなく、企業の業務は広くシステムに支えられ運営されています。そしてこれらの業務システムは相互に密接な関係を持って動くようになっていますから、どこの企業でも、一つの画面項目追加で数百本のプログラムに修正を加えるということが普通におこりえるのです。このような超大ともいえる仕組みを相手にして、業務の高信頼性を確保していくのは並大抵のことではありません。

 もちろん、システムを新規開発する際は、こういった改定作業が確実に楽におこなえるよう、各社様々な努力、工夫をしているのですが、システムに対する改定自体がなくなるということはないわけです。それは、本業の要請でおこるからです。

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著者プロフィール

  • 菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)

    独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。 1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管...

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