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Lotusphere Comes to you 2010 基調講演レポート 不景気の今こそ私たちの働き方を見直す千載一遇のチャンス~生まれ変わったLotusが日本のワークスタイルに貢献できること

  2010/03/25 13:30

日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は去る2月25日、Lotusソフトウェアカンファレンス「Lotusphere Comes to You 2010」を開催した。これは年初1月に、米国・フロリダ州オーランドで行われた「Lotusphere 2010」を日本市場向けにアレンジしたもので、日本開催は米国後では世界最初。基調講演に登壇したのは、米IBM ソフトウェアグループでLotus オンライン・コラボレーション・サービスを担当するショーン・ポーリー副社長。「Lotusソフトウェアで実現するワーク・スタイル変革」と題して、同社のLotusソフトウェア戦略の現在、そして未来を語った。

私たちは今、とてつもない好機を迎えている

米IBMソフトウェアグループ 副社長 ショーン・ポーリー氏
米IBMソフトウェアグループ
副社長 ショーン・ポーリー氏

 「今」という時代を皆さんはどう捉えるだろうか。多くの失業者が仕事を求めて都市に殺到し、政府は景気刺激プログラムに多くの税金をつぎ込んでいる。

 なるほど、経済状況は極めて厳しいといえるだろう。しかし、その一方でインターネットの世界ではかつてないほどの技術革新を遂げていることも事実だ。景気後退と技術革新という一見相反する二つの現象が同居している時代をポーリー氏は「改革の好機」と捉える。

 実は、私たちはすでに15~20年前にも同様の景気後退を経験している。当時、多くの企業は20~30%の大幅なコスト削減を余儀なくされたが、それは必ずしも単なる苦難の時代だったわけではない。コスト削減に向けた試行錯誤は、サプライ・チェーン・マネジメントという世界的な革命を巻き起こし、クライアント・サーバー・アーキテクチャを生んだ。

 私たちは、結果として、コスト削減は言うに及ばず、サイクルタイムの高速化や処理速度の向上といった恩恵を私たちは、結果として手に入れることになった。ポーリー氏の主張は、このような歴史的な背景を踏まえたものだ。

 「私たちは、とてつもない好機を迎えている。それは今日のホワイトカラーのビジネス、ワーキングスタイルの戦略を根本から改革するチャンスだ」。人間の知力とテクノロジーが洗練されることによって新しい機会が生まれるとポーリー氏は言う。

 身近な例で言えば、コピー機などはその典型だろう。かつて紙を複写するだけだったコピー機は、ITネットワークに接続されることで今や世界中にドキュメントを送信する装置へと変貌を遂げている。革新的なテクノロジーを活用することによって、今までのビジネス環境をより洗練されたものに作り変える。それがIBMの提唱する「Smarter Planet ― 地球を、より賢く、よりスマートに―」という考え方だ。

Lotusphere Comes to You 2010基調講演の様子
Lotusphere Comes to You 2010基調講演の様子

Smarter Planetビジョンで目指す4つの方向性

 Smarter Planetビジョンで企業のビジネスを支える。この理念を単なる一過性のものではなく、長いスパンで継続的に実現していくためにIBMが打ち出しているのが「New Intelligence」「Dynamic Infrastructure」「Smart Work」「Green and Beyond」という4つの柱だ。以下、それぞれについて簡単に見てみよう。

Smarter Planet実現のための4つの課題
Smarter Planet実現のための4つの課題

 まずは、New Intelligence。これは増え続ける情報量に翻弄されることなく、あらゆる場所から判断材料を収集し、賢く経営を行うための情報活用のこと。ビジネスにおいて考慮すべき情報は日々増え続けているが、私たちに許された時間はごく限られている。つまり、私たちは目の前に迫った課題を解決するためのヒントを瞬時に引き出すための新しい作法を身に付ける必要があるというわけだ。

 Dynamic Infrastructureは、ビジネスと連携した柔軟で効率的な企業基盤を指す。昨今の経済事情を踏まえればコスト削減の重要性は言うまでもないが、企業基盤の柔軟性を高めることによって、ビジネスの要請に対するレスポンスを向上させることができるという。

 Smart Workではテクノロジーの活用によってビジネスプロセスの変革を目指す。企業内で行なわれる業務の非効率な部分をスマートに効率よく組みかえることで、そこで働く人々を過剰な労働や過度な負担から解放する狙いだ。

 最後のGreen and Beyondは、エネルギーの効率的な活用や環境問題への継続的な取り組みにあたる。電力や燃料などの資源価格が高騰しつつある今、より効率的な使い方を考えるべき時代に突入している。特に先進国である北米や欧州、そして日本にとって重要な使命といえるだろう。IBMでも、企業の社会的責任に属する喫緊のテーマとして捉えている。

IT調査会社もLotusソフトウェアを高く評価

 IBMのソフトウェア事業はSmarter Planetビジョンの下、人々のコラボレーションや知識の共有、あるいはビジネスプロセスの統合や最適化、そして意志決定に資する製品群をラインアップしている。その中でも特に本質的なものとしてポーリー氏がその重要性を強調するのがLotusソフトウェアだ。

 「LotusがIBMの本質であり、戦略的コンポーネントであることに関して誰にも曖昧な意見を持ってもらいたくない。LotusはIBMにとって非常に戦略的なソフトウェアだ」という同氏の言葉を裏付けるように、IBMがLotusソフトウェア事業に対して直近3年間で行なった投資額は約1000億円に上る。その期待に応えるべく、ソーシャルソフトウェア機能であるLotus Connectionsを追加し、LinuxからMacintosh、モバイルに至るまで幅広いデバイスへのアクセスを提供するなどLotusは非常に意欲的な展開を見せている。

 すでに、数千のパートナー企業がLotusソフトウェアを再評価しており、複数のIT調査会社が評価的なコメントを発表している。例えば、フォレスターはポータル製品の分野について高い評価を与えているほか、電子メールを中核としたコラボレーションインタフェースとしてガートナーは、Lotus Notes/Dominoを非常に高く評価している。

 「Lotus Notes/Domino 8は、今までのバージョンの中で最も成功したリリース。それは、今までのバージョンに存在しなかった企業改革を促す機能がこの製品に備わっているからだ」と同氏は胸を張る。

各IT調査会社によるLotusの評価
各IT調査会社によるLotusの評価

多くの製品がリリースを控える2010年後半

 基調講演では、直近で予定されている製品のリリースについても、いくつか言及された。主要なところでは、Lotus Notesのオンライン版「LotusLive Notes」がある。企業利用で実績あるLotus Dominoのメールやスケジュールを、ブラウザベースまたはNotesクライアントからも利用できるようになるという。第二四半期にはβ版が登場、2010年後半に製品発表の見通しだ。

IBM LotusLiveファミリー
IBM LotusLiveファミリー

 また、LotusLiveは、自社保有型の業務システムやパートナー・サービスを「つなぐ」、統合プラットホームとしての位置づけを強化する。そのためのAPIが、2010年後半を目処にリリースされる。また、第二四半期にはセールスフォース・ドットコムやSkypeなど多数のパートナーソリューションとLotusLiveを統合する機能の提供開始も予定している。

 これらのリリース計画とは別に、スライドライブラリー機能などIBMリサーチによる研究開発の成果をいち早く取り入れ、実証する場としてLotusLive Labsを発表。そして、業務プロセスへのコラボレーションを統合する業界別アプローチとして、Collaboration Agendaを提案していく。

LotusLive 2010 - コラボレーション統合プラットフォーム
LotusLive 2010 - コラボレーション統合プラットフォーム

 進化を続けるLotusソフトウェアが目指すもの。それを具現化したものがProject VULCANと呼ばれる計画だ。Continuity(継続)、Convergence(統合)、Innovation(革新)、New Opportunities(機会)をキーワードとして、数年以内のリリースを目指して開発が進められているという。このプロジェクトが完了すると、既存アプリケーションの境界を越え、ユーザーが単一の画面をベースとして、統一された操作性の中であらゆるビジネス活動を完結できるようになるという。講演中に上映されたデモ映像では、電子メールコンテンツをドラッグ&ドロップでフォルダ移動させたり、あるいはキーワードをもとに全社システム上から自動的に情報を収集し、テキストやビデオ、ボイスチャットを行う機能などが紹介された。

 ポーリー氏は約1時間の講演を「IBMが世界をスマートにするのではない。みなさんの会社が世界をスマートにするのだ。ぜひ御社のビジョンをIBMに聞かせてほしい。それがIBMの課題となる。私たちは御社の企業を変革するために存在している」と締めくくった。

著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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