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端末の電力消費を考慮したアドホックネットワークDB

 無線LAN機能を持つモバイル端末にDECENTRAなどのソフトウェアを搭載すると、マルチホップ通信が実現されて1つのネットワークを構成できる。これはアドホックネットワークと呼ばれ、災害救助活動支援などでの応用が期待されているが、アドホックネットワークではデータの可用性を高めるため、データの複製を周囲の端末と共有することになるが、特定の端末にデータアクセスが集中すると、その電池はあっという間に消耗してしまう。それでは困るので、電池切れは全端末で一様に起こるようにしたい。今回は、データアクセスに応じてデータの複製をモバイル端末に動的に再配置することでそれを達成しようとする研究を紹介する。

DB Magazine 2007年1月号より転載)

災害救助支援などで注目

 最近、無線通信機能を持つモバイル端末(携帯電話やPDA、小型のノートPCなど)で一時的にネットワークを構成するアドホックネットワークが注目されています。アドホックネットワークでは、モバイル端末がルータの機能を持ち、通信パケットを中継することで、無線通信範囲外にあるモバイル端末ともマルチホップ通信できます(図1)。

図1 アドホックネットワーク
図1 アドホックネットワーク

 またアドホックネットワークは、インターネットなどの通信インフラがなくてもネットワークを構築できるため、災害救助活動や街中での情報共有、センサーネットワークなどへの応用が期待されています。さらに、各端末が共有データを少しずつ保持することで、全体として大きなデータベースを構成することも可能です。

アドホックネットワークでの複製配置

 アドホックネットワークでは、モバイル端末が自由に移動するため、ネットワークの分断などにより予期しないタイミングで通信不能になったりします。このような環境では、参照したいデータを持つ端末と通信できないケースが増え、データの可用性が低下してしまいます。このとき、各モバイル端末がほかの端末の持つデータのコピー(複製)を作成しておけば、データを持つ端末とつながっていない場合でも、データにアクセスできるようになります。

 アドホックネットワーク上でデータの複製を作成する場合、特有の2つの制限を考慮する必要があります。

 まず1つ目の制限は、ディスク領域です。モバイル端末のディスク領域はそれほど大きくないため、ネットワーク内にある全データの複製を作成することは不可能です。ここで、各端末が自分勝手に複製を配置すると、多くの端末が同じデータの複製を配置してしまい、データの可用性が低くなる可能性があります。そのため、ほかの端末と協力して、限られたディスク領域にできるだけ可用性の高いデータの複製を配置することが重要です。

 もう1つの制限は、電力容量です。アドホックネットワークでは、外部から電力を供給する手段がない場合、各端末のバッテリーのみで稼動することになります。ここで、各端末は自身の持つデータの複製がほかの端末からアクセスされると、データの送受信によって電力を消費します。言い換えると、ほかの端末からよくアクセスされるデータを持つ端末は頻繁にデータを送受信するため、消費電力が大きくなります。限られた電力を使い果たすとバッテリー切れを起こし、ネットワークから離脱してしまいます。そのため、多くの端末ができるだけ長い間ネットワークに参加するためには、アクセスされる回数を端末間で均一にする必要があります。

 そこで筆者らは、端末間の消費電力を均一にして、電力を使い切るまでの時間を長くするための複製配置について考え、その効果的な手法について研究しています。以下では、その方法について簡単に説明します。

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