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クラウドの新たな可能性を広げるAzureアプライアンス

  2010/09/16 07:00

Windows Azureは、オンプレミスとのギャップが小さく開発者の参入敷居の低いサービスだ。さらに、パートナーや企業のデータセンターでもサービスを提供することで、一度作成したアプリケーションがどこでも動くというポータビリティ性が強化される。このWindows Azureの新たなパートナー展開の目指すところは何か、さらには今後の展望についてマイクロソフトの吉川顕太郎氏に話を伺った。

Windows Azureでパートナー展開という新たな選択肢を提供

―Windows Azureは現在どのような状況にあるのでしょうか。

吉川 顕太郎(よしかわ・けんたろう)
マイクロソフト株式会社
サーバープラットフォームビジネス本部
クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部部長

 Windows Azure は、いわゆるPaaS (Platform as a Service)に分類されるものです。したがって、顧客ターゲットは開発者が中心です。2008 年にサービスの発表を行い、その後は順次ベータ版の提供で市場からフィードバックをもらってきました。その結果を反映し、2010 年に市場提供を開始したところです。

 Windows Azureの開発環境は、.NET ベースのものが主流です。そのため、これまでWindows 環境で開発を行ってきたエンジニアにとっては、かなり敷居の低いものとなっています。

 また、本格的なリレーショナルデータベース環境のSQLAzureの提供は、他のPaaS ベンダーもまだあまり提供していない部分でもあります。クラウドの世界では、NoSQL(NotOnly SQL)と呼ばれるデータベースに注目が集まっていますが、すべてのデータ処理がNoSQL に向いているわけではありません。

 Windows Azure は、オンプレミスとのギャップが小さいことが大きな特長です。.NET 開発環境、SQL ベースのリレーショナルデータベースを提供していることで、これまでオンプレミスの環境で蓄積してきたスキルがそのままクラウドでも活用できる点は、多くの開発者から高く評価してもらっているところです。

― 今回、Windows Azure Platform Appliance という新たな形のサービスを展開する背景について教えてください。

 パブリック・クラウドのサービスとしてだけでなく、マイクロソフトが提供しているスケーラブルなPaaS環境を自社環境でも利用したいという顧客やデータセンター事業者からの要望がありました。この考え方の根底には、いったん開発したアプリケーションが、クラウドでもオンプレミスでもどこでも動くポータビリティを確保すべきということがあります。

 どの環境でも利用できれば、開発者のスキルセットを無駄にしません。さらに、ユーザーはそもそも新たなアプリケーション開発に投資したいのではなく、開発したアプリケーションを最大限に利用したいのです。そのためにも、一度作成したアプリケーションがどこでも動くというのは重要です。

 マイクロソフトは、プラットフォームソフトウェアベンダーですから、ハードウェアベンダーとの密接なパートナーシップが大変重要です。ただし、これまでのように、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを最適化するだけでは、Windows Azure を完成させることはできません。

 我々は今回、Windows Azure Platform Applianceという新たな形で提供し、マイクロソフトのデータセンター以外でもWindows Azureを利用できるようにする構想を発表しました。とはいえ、誰でもこれを利用すればすぐにWindows Azureを用いたPaaSを実現できるものではありません。PaaSサービスの拡張性を提供するには、最低でも1000 台規模のハードウェアを運用する必要があるでしょう。

 それができるスキルや企業規模が必要であり、その結果、まずはDell、HP、そして富士通がパートナーとして、そしてユーザー企業としてebayの4社が、先行してマイクロソフトのデータセンターではない環境で活用し、将来のアプライアンスとしての製品化を目指すこととなったのです。

 パートナーがWindows Azureのサービスを提供したり、アプライアンスを外販できるようになれば、顧客は選択肢が増えることになります。このように自社以外の選択肢を提供できるのは、他のクラウド専業ベンダーとは大きく異なるところです。Microsoftのオープンなパートナービジネスモデルは、クラウドでも同様なのです。

 さらに、日本を起点とするグローバル企業の富士通には、大きく期待しているところがあります。顧客の中には、当然ながら日本企業からサービスを購入したいという要望もあり、それに応えることができます。また、富士通にはハードウェアベンダー、データセンター事業者、SIer、グローバルな大企業という4つの顔があります。富士通がWindows Azureを扱うことで、それぞれの側面から様々なフィードバックがもらえると期待しています。得られるフィードバックをもとに、さらにWindows Azure にどういう味付けをしていけばいいかを考えることができますから。

次ページへ続く

 

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

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