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特定時点の地図を生成する時空間GIS

GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を用いることにより、従来の紙ベースの地図では困難だった地理情報の高度利用が可能となっている。例えば、過去の地図と現在の地図を比較して地物の変化を知る応用は典型的である。しかし、そのためには過去の地図をデータベース化しておかなければならないが、これは大変コストのかかることである。今回は、デジタル地図を更新するときに過去の地図データを捨てず、実在時間(validtime)を用いて通時的に蓄積していくことでこの問題をクリアするという、時空間GIS「STIMS」の研究/開発を紹介してもらう。

DB Magazine 2007年6月号より転載)

なぜ時空間管理が必要か

 GIS(地理情報システム)が扱う現実世界は日々変化しています。新しくビルや道路が作られ、昨今の市町村の合併では全国の市町村の名前も形も変わりました。

 しかし、多くのGISや地図情報サービスでは現在分かっている最新の情報のみが表示されます。Web上の各種地図サービスやカーナビでは、まさに現在の地図のみが表示されれば満足できるわけですが、一方で「特定の時間(年月日)の地図を見たい」「ある時の地図と現在の地図を比較したい」といった需要もあります。しかし、現在の多くのGISではこれらを行なえません。

 本稿で紹介する時空間GISは、常にデータ更新が行なえ、かつ必要に応じて過去の状況を自由に復元可能なシステムです。図1は東京周辺の1920年と2003年の道路網を示しています。時空間GISには存在時間の異なるデータが蓄積されていて、任意の興味対象時間(TOI:time of interest)を指定することにより、その時間の世界の表示や、その世界の上でさまざまな空間演算を行なえます。

図1 東京周辺の1920年の道路網(左)と、2003年の道路網(右)
東京周辺の1920年の道路網(左)と、2003年の道路網(右)

地物の実在時間

 時空間GISを実現するためには、各地物に実在時間を付与して管理します。すなわち、各地物に対して、それがいつ現実世界に現われ、いつ消滅したかを表わす2つのタイムプリントTsとTeを付与します。これを「実在時間(valid time)」と呼びます。ここで、Tsは調査すれば知ることができるかもしれませんが、Teは誰にも分からないのが普通です。例えば、今ある道路がいつなくなるかは分かりません。そこで、Teには常に将来に向かって伸びる時間(NOW)を与えておきます。

 図2は地物の実在時間を示しています。時空間GISは、指定されたTOIと交わる地物のみを表示したり、それを空間演算の対象とすれば実現できます。家の位置やレストラン、ホテルなど、ほかの地物と関係しない地物の管理ではこれで問題ありません。

図2 地物の実在時間とTOI
地物の実在時間とTOI

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