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新たなフロンティア「新社会インフラ」でICT業界はビジネスチャンスをつかめるか?

2010/10/19 00:00

最近、TVCMをはじめとして「新しい社会インフラ作りにICTが大きく貢献します」といったメッセージがよく流れる。これからのインフラといえば、環境問題とも深く関わっているはずだし、人口問題などとの関連も深いはず……。と、ここまでは推理するのだが、ICT(Information and Communication Technology)が何をするのか、何をしようとしているのか、というイメージが今ひとつつかめない。そこで野村総合研究所の桑津浩太郞 主席コンサルタントに、産業としてのインフラビジネスとICTについてお話をうかがった。

ICT抜きには考えられないこれからの社会インフラ

株式会社野村総合研究所
情報通信コンサルティング部 主席コンサルタント
桑津浩太郎氏

 「これからのインフラ整備にはICTは欠かせません。ICT抜きのインフラ作りなどないといっていいでしょう。もちろん、ICTだけでなんでもできるというわけではないですけどね」

 「インフラとICTってこれからそんなに関係が深まるのですか?」最近の主要ICTベンダーが打つ広告についての素朴な疑問に対して、桑津氏は開口一番言い放った。

 「新社会インフラは新興国だろうと、先進国だろうと、従来型のものではあり得ない。10億人前後の人口を抱える中国やインドが100年前の先進国型の社会インフラをこれから築いていくのは無理です。石油などの化石燃料をふんだんに使ってもいい、かつての先進国なみの使い方をしても大丈夫です、という話にはならない。環境負荷を可能な限り抑えるインフラが必要になります。米国を中心として『スマートグリッド』などという言葉が流行していますが、どういう仕組みのものであれ、社会全体のエネルギー消費量を抑えることができなければならない。それには、まずICT抜きには考えられない」

 そう。今われわれは「交通、医療、金融、鉄道、エネルギーといったあらゆるインフラが一気に刷新され、更新される時代」を生きているのだ。かつて巨大なプロジェクトを立ち上げインフラ整備をしてきた先進国だけでなく、中国、インドなどの新興国も新しい社会インフラ作りの挑戦を始めている。こうしたグローバルな潮流の中で、ICTの存在が注目されているということなのだ。

 桑津氏は次のように話す。

 「インフラというものに対する、新しい考え方が必要になっています。これまでの延長線上で社会インフラを作ることは不可能なのです。なぜか。世界的な不況で先進国はインフラにそれだけのお金をかける財力がありません。水道で約200年、自動車関連のインフラは100年から150年経過しているけれど、同じような作り方はもうできないという事情がある。そして先ほども触れたように、環境に対する負荷をこれまでと同様にかけるわけにはいかない。新興国の数十億人の民が、かつての先進国の民のように多くのガソリンを消費する自動車を一斉に使い始めたらどうなるか。とても地球環境が持ちそうもない。だから、電気自動車などの代替手段が必要になる。仕組みを変えるしかないんです」

 「新社会インフラ」の「新」の意味は、単純に更新するから新しいのではなく、コンセプトからして異なるものだという意味で「新」なのである。先進国は財政面での事情を抱え、それはここ数年で解決できる問題ではない。もちろん先進国も新興国も環境に対する配慮をこれまで以上にしながらインフラを構築していくしかない。では、それを踏まえてICTはどうかかわるのか。

 (次ページへ続く)

 

 

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著者プロフィール

  • 大西 高弘(オオニシ タカヒロ)

    1988年、出版社で就職・転職情報誌および経済関連出版物の編集、執筆を担当。2003年から、IT系雑誌の編集部に所属。IT導入事例の編集記事などで、ユーザー企業への取材を多数経験。業務系アプリケーションなどに関する企画記事の編集、執筆にも従事。2006年からIT系Webメディアの編集部に所属。201...

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